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なくしものを見つけないと出られない島。安らかな生活。山の魔女。再会する彼女。彼女はどこまでも真っ直ぐでどこまでも正しい。世界は美しいと信じている。彼女=真辺はいつだって清らかで、いつだって誰かを敵にする。自覚なく、言の葉の刃で。
言葉は不完全である。何もかも伝えられるとは限らない。
学校が怖いのにどうしようもなく教師でいることから離れられなくて仮面をつけている先生。言葉が苦手で手紙を書く女の子、ゲーム音楽を聞いていないと耐えられない男の子、どこか欠点のある彼らが果てしなく愛おしい。
なくしたものを見つけるまでの理想郷、緩やかに流れる時間、世界と繋がっているのに世界から忘れ去られている。何にもとらわれず日々の暮らしには困らず、世界から忘れられて仲間と過ごす。ある意味理想郷に思えた。
空気が非常に良い。真辺の纏う空気と七草の語り口がごく自然でそこに当たり前にあって。世界にいると脆くて生きていくために色々なものを捨てていかなきゃいけない。私がなくしたものもこうしてどこかでひっそりと生きているのならば、どこか救われる気がする。
主人がなくしものを拾うまで待つ身としては救われるところじゃないのかもしれないけど、何も知らなければ幸せに暮らしていける。それは優しさだ。
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ポイントで購入。正直面白くなかった。設定とか分かりやすく文章も読みやすかったけど、登場人物が一方的で自己中心的で感情移入出来なかった。
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こんな風に一人の人間を洞察し、深く理解する・しようとする、そしてどうにかしようとするのは青春ならではだろうな。それでも自分が興味ある人物か、余程身近に関わる人物に限られるだろうな。私のように歳が行ってしまうと、そのような事に気も時間も割いていられなくって^^;「階段島」シリーズ開幕って書いてあるけど、この二人の話はこれで完結でも良い様な…。次は別の人物が主人公になるのだろうか?
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表紙見て買った本。
はじめは設定に戸惑った。
階段島というなんともイメージしにくかった。
主人公は七草くん。
高校生でこの階段島に来て平穏な生活をしていた。
ある日出会ったのが真辺さん。
ここから加速度最高速で物語が急変した。
おそらく私自身理解力がないのがいけないかもしれないが終始難しかった。
というより登場人物が年相応ではないことに違和感を感じた。
高校生なのにという言い方は良くないが
「君がいないと平穏な生活ができたのに君がいることが迷惑だ」と少し恋愛っぽい描写もありきでなかなか難しい。
でも気になるんです。この先が。
なので次も買ってみて読みたいと思います。
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20141022
私はいつも何かに憧れています。例えばそれは、前髪の短いのがとても良く似合うあの子であったり、一瞬を切り取った写真ですらキラキラ輝くあのアイドルであったり、好奇心の赴くままに「気になる」黒髪の綺麗なあの女の子であったりします。真辺由宇、見つけました。わたしの憧れの人。まっすぐでまっすぐで、なぜだか涙が出そうになるほどまっすぐな真辺。本当は真辺みたいに生きていきたい。人の感情を考えすぎて何も言えなくなってしまう、そんな毎日はもう嫌です。真辺みたいになりたい。そんな風に強く思いました。七草が真辺について語るシーンでは、七草と同じ気持ちだったからでしょうか、目頭が熱くなりました。
わたしはきっともう、真辺のようにはなれません。なれないからこそ、真辺のような人には強く生きてほしいです。真辺のような人には、ずっとわたしの憧れであってほしいです。
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独特の空気感がいままでの作品よりも強いと感じました。日本なのに違う国の話を読んでいるようでした。実際そのようなことを作中で主人公が言っていて、その通りだなぁと。ふわふわとつかみどころがなくて夢のような世界でした。主人公は高校生らしくっぽくて、だけどネガティブなところが高校生ではないような感じもして不思議でした。やっぱり河野先生の文体は好きです。ただミステリではなかったと思います。爽やかで暖かくて切ない、そんな青春ものだったと思います。七草くんはああ言っているけど、真辺のこと好きで仕方ないんだと思います。認めないところがまた高校生らしいなぁ、と。
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どこが青春ミステリやねん。
まぁミステリとは認めないけれど、それを除けばとても楽しめました。うーん。久し振りにこういう、シンプルな青春物を読んでしまった…
ラストの流れなんて結構好きで、読み終わったあとに耳が赤くなりましたまる
舞台こそ特殊だけれど、描いているのは成長、と、喪失。
それがどうしてお話になるかって、誰もが通ってきた道だから、なんだろうね。うしなう、なんて飾り立ててお話にしなきゃ、辛くて抱えてられないのかもしれない。そういう経験を持っているひとのほうが、どうにも信用できるけど。何も失わないで大人になった奴なんて、ろくなもんじゃないと思っている……かと云って、オレが何か失ってきたのかと云われると困るんだけど。いや、きっと失って取り戻してを繰り返しているのである。
みんなそうか。
シリーズ、ということで今後の展開を楽しみに待とうかな、と思います。
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独特の空気感がいい作品で、ラノベ的でシニカルな主人公が許容できるなら読んで損はないです。
冷酷で現実的な「社会」と折り合いをつけて成長していくのでも、理想を押し通して一時的に社会の壁を打ち破るのでもなく、社会の壁に破れてバッドエンドでもなく。社会を外側から眺め、理想を理想のまま保ちながら煩悶した挙句、解決したのかどうかよく分からない口上で綺麗にまとまってハッピーエンド(それでも筋が通っていて違和感はない)という形態は新鮮で、非常に面白かったです。
ただ、設定上仕方ないんですが、主人公の思想が完成されすぎており、作品を通じてほとんど変化しなかったのは残念かな。まあ、シリーズ物のようなので、これは次巻以降に期待ですね。
難点は、未消化の伏線こそあれ、しっかり答え合わせをしてしまったこと。世界の構造についてもうちょっと曖昧にして、読者の考察・想像の余地を残しておいた方が、青春モノとしては良かったかなと思います。
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最後まで読んでみると、物語としてはよくまとまっていると思えるのだけど、読んでいる途中ではかなり不快感が大きかった。
主人公の感情や思考を、語り部として最低限の部分しか表現していないから、読者の側としてはただ変な女の子に付き合ってあげている変な主人公という印象が強くなってしまう。
最後まで読めば、結果としてその表現方法も一定必要だったのだろうと分かるけれど、それにしてももう少しやりようがあったのではないかなと思う。島の設定とかそうした部分が魅力的だっただけに残念。
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どうしようもない、と作中の要点で反復されるが、作中人物は、綺麗ゆえ、純粋ゆえ、優しさゆえ、どうしようもなくこうなったのだと思わされる。随所に埋め込まれる比喩が流れるように自然で、透明な球を投げられて気付かぬ内に三振を取られた気分。面白い。 余談)読む前の評判で聞いていた「小説として完結していない」という感想。確かに解決されてない伏線はあるが、ファンタジーとして捉えれば物語は綺麗に完結している。解決されていないのは設定であり、だから続刊では別の主人公で設定の深掘りがされていっても不思議ではないな、と妄想。
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○どうしようもなく、君に出会った時からはじまるこの物語が好き。
七草は、四日分の記憶がない中で階段島にたどり着いた。
階段島は、「捨てられた人たちの島」だ。「自分が失くしたものを見つけなければ、出ることができない」のだという。
その階段島に、幼馴染の真辺由宇が来た。
真辺は納得できないことが嫌いだ。学校の先生から説明された、「少しずつここで納得を見つけるのだ」ということにすら、納得がいかない。
そんな七草と真辺が、周りのみんなにヒアリングをしながら、なぜこの島を魔女が作ったのか、どうやったらこの島から出ることができるのかを調べていく。
トクメ先生、タクシーの運転手、郵便局の時任さん、遺失物係、相原大地くん、謎の星と拳銃の落書き、堀、配電塔の中田・・・そして、七草と真辺。
誰と誰が、何を結ぶのか?
七草と真辺の過去に何があり、なぜここで巡り合うことになったのか?
謎が謎を呼び、謎のままでしばらくあり続けるこの物語は、最後に急き立てられたかのように、七草の口からいろいろな謎が語られる・・・!
階段島とは何だっただろう。
そこに込められた真実を七草と真辺が解きほぐしていく様はとても青春小説であった。真っすぐすぎて正しくありたい真辺と、自分の意思を選び続ける七草。
この物語の特徴は、真実とは何か、わからなくなること。
何がオモテで何がウラなのか。失くしたものとはなんだったのか?
いなくなってほしかったものはなんだったのか?
群青とは?
小説の中では、七草は落書き「ピストルスター」を昔、父親から見せられた記憶がある。吸い込まれそうな群青色の、その夜の空に浮かぶきれいな星たち。
きれいな星たちがそれ単独で主張し合っている姿を想像すれば、それがあまりに哲学的な真辺の姿と重なっていく七草も想像に難くない。
階段島の意味が理解できた最後に、七草の物語が真辺と出会った時からどうしようもなく始まったことだって、悲しい結論が待ち受けたことだって、理解できて、どうしようもなく、悲しかった。
でも本人たちが思いのほか前向きにこの結論に取り組もうとしている姿に、心打たれる。
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不思議な世界観だけれどすらすら読んでいけた。
主人公二人の距離感がくすぐったかった
2人の気持ちが揺れ動きながら階段島の謎を解いていく。
設定は現実にはないけれど、懐かしい感じがした。
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君が君らしく生きることこそが、自分の本当の望みなのだ。そのためには、自分は見捨てられた島に閉じ込められたままでもかまわない。主人公のそんな気持ちは、「愛」という言葉ではもの足りない。
村上春樹っぽい青春作品だと思った。
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「でもね、その旗の下で丸まってりゃいいってもじゃないんだよ。そこがどんな楽園でも、満ち足りた場所でも、停滞していると幸せとは呼べない。旗に向かってにじり寄っていく、その移動こそが幸せの本質だ」
「でも君はちょっと極端なんだ。正しいことの正しさを信じ過ぎている。他の人はもっと、正しいことがそれほどは正しくないんじゃないかって疑ってる」
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基本的な文体はあまり好みではないけど、気に入った言い回しもいくつかあったし、描写自体は情景がよく伝わってきてよかった。ストーリー展開も一部読める部分があったけど、おっと思わせるような意外な展開もあってそれなりに楽しめた。