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申し訳ないが、私はこの本を勧めることができない。
半分しか読むことができなかったのだ。
読んでいる最中に、数日体調をくずし(これはこの本が理由ではない、念のため)、本を開くことができなかった。
その後、再び手にとったのだが、どうにも進まない。
私は、作中人物に感情移入しないと読めないという性質ではない。
そういう人もいるのだなと思いつつ読みすすんでいくことができる。
しかし、本を再開する時に、あの人、どうなったかな? この人、大丈夫かな? いったいどこに行ったのかな? どこに向かっていくのかな?
そういうわくわく感、ハラハラ感はほしいと思うのだ。
それがさっぱりわいてこない。
捜査にあたるのは、二人の人物である。
これがどちらも陰気でこじれて、面倒くさい人物なのだ。
アレック・ニコルズ部長刑事は、自分が人に好かれているか気にする男だ。
クーパー・アレンは獣医学の専門家で、二十歳の時に特に理由もなく自殺しようとして、し損ねた経験がある。
どちらも人とのコミュニケーションがうまくなく、それを自覚してもいる。
彼らだけではない。
登場する人物の誰もが、コミュニケーションがうまくなく、心に環境に問題があって、病的だ。
会話がうまく成り立っていないので、読んでいてイライラする。
成り立たない会話に囲まれて、事件の謎はまーったく解かれることなく、動物が――馬、犬、猫、鹿、鳥がバッタバッタ死んでいく。
そこに、回想だの、過去だの、手紙だのの断片が、思わせぶりに散りばめられ、差し挟められる。
イマジネーション膨らまして察しろ?
うまく書いてから言え。
そんなわけで、私は読み続けることができず、読み終えることができなかった。
本は、寝込んだ私の枕元で、コップのふたとして役立ってくれた。
たいへん重宝した。
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16の馬の頭部が円形状に並べられていたのが見つかったという、ミステリーではごくありふれた?発端だったのだが、話が進むにつれて訳わかんなくなり、イングランドの田舎町という設定も相まって場面の映像も話の内容も深い霧だか靄だかがかかっているような、とても静かに奇妙な物語であった。
どうもスッキリしない。
作中「(事件解決の)助けになりそうな人たちはみんな、死んだか、嘘をついているか、行方不明になっている‥‥」とクーパーが語った言葉がこの作品の混沌感をいみじくもあらわしている。
事件が起きて誰かが解決して、という単純明快でスッキリした後味のミステリーが私は、好きだ。
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原作がそうなのか、翻訳のせいなのか、散文的で主語も省略が多くて読み難かった。泥や腐敗臭の描写はしっかり伝わった(苦笑)
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早朝の通報に駆けつけたアレックが目にしたのは地中に埋められ片目だけ空を見上げる16の馬の頭部達。
誰が何の目的でこんなことをしたのか。
獣医学の女性専門家クーパーを捜査に招き入れ、事件の解明に努める。
オカルト宗教儀式めいた猟奇的シーンに始まるものの、殺人事件に発展する気配もないし、何かを要求するような声明もない。
大掛かりで残忍な動物虐待かと思われるところでの、虚を衝く悪意のもたらす展開には新鮮味を感じた。
ただ、全体的には意味深なシーンや抽象的な思考遊びが多くふわふわしていて何かよくわからない。
どこかできっちり回収してくれればよかったのだが、どうもそれが作風らしく、犯人&事件の全容解明に至っても事実は押さえられるものの、その目的や意図していたものがふわっとしか伝わってこず、ちょっと消化不良。