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非正規雇用、貧困、29歳独身のリキが子どもができない夫婦の代理母として人工授精し子どもを産む話。初めは報酬のお金のために…と思っていたリキだが、次第に自分はただ産むための機械なのか、と葛藤していく。
不妊治療なども女性の方が痛みを伴い辛い思いをする。女性蔑視社会へも訴えかけているストーリーだった。
リキは代理母になることで自分がいる意味や価値を見出しているんだなと思った。
ラストはなんだか爽快。基が終始自分勝手で女性蔑視感が強かったからかな。親のエゴで生まれた子どもは本当に可哀想だけれど。
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地方出身、困窮している29歳、リキ。東京で代理母になるのを決意するが心は揺れ動く。だが自らの身体で代理母となりお金を貰う事を決めた。そこからも葛藤する。自分は子産みマシーンなのか…子供は誰のもの?やがて帝王切開で双子を出産。まだ葛藤は続く。自分の子の感じがしない、、そして退院。自分がどうしたいのか、、分からない。その気持ちが何なのか。そして産後うつなのだろうと分かった時、双子の1人を連れて出て行く。きっとこの時、母親になっていたのだと思った。長編。苦にならず読み応え十分。
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お金ないなら一念発起して勉強すればいいのに。
東京だったらいくらでも就職先はある。
子どもは誰のもの、というテーマよりも、こうなった過程が納得できないまま読了。
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一言で言うと《代理母出産》のお話です。んもう、めちゃくちゃ面白くって、一気読みでした‼︎
ちなみに、小説の中では「ダイリボ」となってましたが、私は「ダイリハハ」と読むと思ってました。ネットで見たら、どちらでも良いようです。
それはともかく…何も知らずに読み始め(本も映画も前知識なしに見るのが1番ですね)序盤で、そういう話か!となったらもう、まさにページを捲る手が止まりませんでした!
バレエ界のサラブレッドとして裕福ながらも、子どもに恵まれない夫婦。経済的困窮ゆえ、迷いつつも、自らの子宮をビジネスとして差出す女性。この二極化した関係と、それを繋ぐクリニックや、妻の友人である画家の女性など(この、りりこが抜群に面白い!)バランスよくテンポ良く描かれ、テーマとしては重いのに、ちっとも重苦しさを感じない桐野さんの文章で、あっという間にその世界に浸ってしまいました。
そもそも、当たり前だけど、人は機械じゃないものね。いくら約束や契約、お金のやり取りがあろうと、筋書き通りにはいかないものだと思う。この部分だけ私たちはNGだから、お金でこの部分だけ手に入れよう…というのがWINWINなのか?ということ。
しかもそれが、いわゆる「お腹を痛めた」と表現される出産に関わることだし。(出産は命懸けです)
「遺伝子を残す」ことって、人間の本能には備わっているとは思うけど、それがたまたま叶わない場合、どこまで人間が操作して良いものなのか?それを、深く深く考えながら読んでいました。
私自身はポジティブな人間だと思うけど、その分、欲が深いと思ってて、最近「足るを知る」ことって大事だな、といろいろ改めて考えることもあります。
今作の中で、出産シーンは、自分の出産のことを思い出したりもしてウルっとしました。
でも、子どもも産んで終わりじゃない。恋愛も結婚も出産も子育ても、これで終わりということはなく、誰しも予定通りにはいかないし、人生、こんなはずじゃなかったのに?ってことだらけかもしれない。
やっぱり桐野さんは凄いなあ。分厚いハードカバーだけど、買って良かった。残り数ページになった時「桐野さん、もうページがないよ、どうするの?どうするの?」と思いながら読み、ラストは「どっひゃー!」という感じでした。
(ネタバレしたくないので内緒)
男でも女でも、独身でも既婚者でも、子供がいてもいなくても、どんな人にでも一度は読んでみて欲しいなあ。傑作です‼︎
印象に残ったとこ、少し。
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リキの人生を語る言葉は、仕事への不満、劣等感、金がない欠乏感、そしてもうひとつ、苦しみを理解されない孤独だ。
小さな命の塊が自分の腹の中心にできて、それが成長して産道を通って生まれ、長い長い時を経て、やがて礒谷さんになり、大便をこねていた婆さんになり、惚けて若い女性スタッフの尻を触りまくっていた爺さんになるのかと思うと、何だか可笑しかった。人間は神聖というほどのものではないような気がした。
努力をして報われた成功体験を持つ人は、努力を信仰するようになる。
こんな心配が���る、あんな不安もある、と基にいくら言っても無駄なのかもしれない。女と男の感覚は、どこまでいっても平行線で、交わることはないから。だけど、私たちは、それでも夫婦なのだ。
いろいろな人間がいて、いろいろな形の欲望があり、いろいろな関係がある。だから性にも生殖にも、ひとつとて正解はない。
独身女に比して、人妻という身分がどれほど楽で、恩恵を被っているのかが、よくわかったような気がする。夫がどんなに冴えない男だろうと、妻という身分を得れば、世間ではでかい顔ができるのだ。
「そうだよ。夢の世界はそれぞれ違う。だけど、私は夢の世界は、他人に負担を強いてまで作るものではないと思ってる」
その「何か」とは何か。プライド?いや、そんな自分本位のものではない。もっと根源的な何かだ。敢えて言えば、人間としてどう振る舞うのか、というような類の難しい問題。そう、倫理か。
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妊娠できない妻の代わりにその夫から精子を貰い、代わりに妊娠して出産するという代理母の話です。貧困が原因で代理母となる主人公、代理母を依頼する夫婦、金銭的負担をする姑など、各々人物の心理描写が各視点で描かれていて、出産に対する価値観、親子の血縁関係の重要性、子を持つことによる夫婦関係の変化について考えさせられました。
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リキは北海道で介護職をした後、東京で病院の事務をしてる。金がない。エッグドナーの話が知り合いから持ち込まれた。草桶基はバレーダンサーとして人気かあったが怪我で引退したあと指導に回った。子供が出来ない。リキが代理母の候補にあがった。
桐野夏生にしては読みやすい。ずっと読みにくいので避けていたけれど。
女性の妊娠、出産、子育て、男性のエゴについて物凄く考えさせられる。物語はそれほどでもないが、ラストは好き。
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人はやはり理屈では割り切れない心の動きをするものだ。女性は、妊娠出産という病気ではないのに多大なリスクを冒す必要があるにもかかわらず、未だ、性的搾取の対象で、貧困率も高い。最後に「燕は戻ってこない」ー自由に飛び立って行けるほど、女性は強く、生きていけるはずという一縷の望みを賭けた結末。桐野夏生さんは、今回は結末を決めて書いた気がする。何度も出てくる「子どもは誰のもの?」という答えはわからないが、生まれた環境に関わらず、生きて、幸せだと思える人生を送ってほしいと思った。
今回のテーマは、不妊治療、LGBTQ、代理母、若者の貧困、女性蔑視と、相変わらず欲張っていたが、今回は、なさそう、実は現実にあるような人々が淡々と描かれていて、面白く読めた。
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桐野夏生の生殖医療の小説。
読まない選択肢は無いよね、なんだけど、最近の桐野さんの作品は、よく言えばテンポが良く飽きさせない、悪く言えばテーマに比して軽い。
桐野夏生ファンとしては、もう少ししんどくてもいいですよ、ついていきます!と言いたいくらい。
悠子もぐらぐらと意見が変わるのはある意味リアルではあるが、もう少し感情移入させてほしいし、りり子という魅力的な友人も、一読者としては内面に入っていきたかった。かなりの分厚さの本なので、これ以上深掘りすると上下二巻になってしまうのかな。
最終的にどうなってしまうのか?と前半ハラハラしながら読んだが、途中から大団円になりそうだなと、ある意味安心して読めてしまう(のは精神衛生上はありがたいのだが)それにしても、双子ちゃんが出来て、一人を自分で育てるというのも、うまくいきすぎで、生殖医療に斬り込むには鉈が甘いのでは…。
とはいえ、桐野夏生さん大好きなので。
そして今回も一気読み。楽しい読書でした。
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女性の貧困や不妊など重いテーマだけど、結末がどうなるのか気になって止められなかった。久しぶりの桐野夏生だったけど、やっぱりすごいなと。
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ノンストップ・ディストピア小説と書いてあったので、もっと悪い組織とか出てきて、わやくちゃになるのかと思ったらそうでもなかった
子どもって誰のもの?
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テーマの重さに比して読みやすく400頁超を一気読み。
不妊治療の末、子を持てないという現実を突きつけられた夫婦と、貧困から逃れる手段として「代理母出産」という選択をした女性の物語。
子供がいない人生を覚悟した妻・悠子に対して、自分の遺伝子を残したいという思いを捨てきれない夫・基が押し切る形で始める代理母出産プロジェクト(このネーミングにも違和感)。
一千万円という報酬に目が眩み、さして深く考えることなく代理母に名乗りをあげるリキ。
悠子の優柔不断さにうんざりし、リキの軽々しさには呆れ果て、基の自己愛には嫌悪しかない。
揃いも揃って身勝手で誰一人として共感できない。
札びらで頬を叩くように貧困女性を「子を産む機械」にしてしまう生殖医療ビジネス。
大人の事情で蔑ろにされる子供の人生。
子供を自分の思うように育てたい基、基と別れると言いながら目の前の子供の可愛さにやっぱり育てるとコロリと態度を変える悠子、寂しいからと産まれた子を連れ去るリキ。それぞれの子供そっちのけの姿に気が滅入る。
「子供の人生は子供自身のものだよ」
りりこの言葉が胸に響く。
終わり方はすごく桐野さん的で読者をスカッとさせる効果があるんだろうけど、リキが連れ去った子をまともに育てられるとは思えず、暗い現実しか想像できない。浅はかすぎる。返す返すも子供たちが可哀想。
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面白かった。
1千万円で代理母。
お金が欲しいから?
子宮の搾取。女の人生の搾取。
リリこさんは、LGBTQIA.アセクシャル。これは初めて聞いた言葉。
春画のアーティスト。
りりこさんの家に行ってからは、グッと面白くなった。
リキも元気が出たし。
とても楽しく読んだ。
本当の妻の気持ちがぐるぐるするのも、よくわかる。
ラストの展開は、
そうこなくっちゃ!と思った。だって桐野夏生さんの本だもの。
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リキ、ペラペラ喋りすぎ。あまりなおバカと桐野さんらしいエグさに醒めた思いで読み進めていたが、最後はみな少しだけまともに。やっぱり自然がいちばん。いろんな思いはあるだろうが、そこで折り合いつけるしかない。でも生物としては、大奥もまた自然の流れかも。優生思想と生殖医療は、人間だけの驕りでトホホ…だけど桐野さんの問題提起にいろいろ考えさせられた。
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代理母の話。
双子を妊娠して、最後に一人の子を選んで旅立つ。
終わり方の想像はつかなかった。
依頼者の夫と妻、産む女性、傍観者、色々な目線で語らせるのは流石。
物語が進まないのは、そういう話ではないからだろうけど、少々退屈してしまった。
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この結末にはびっくり。
まさか、ぐら(愛磨えま)だけ連れて出ていくとは。
代理母出産、闇が深そう。
学歴も才能もない地方出身のリキは北海道から上京してきて地味な病院の事務をしてカツカツの生活をしている。
お昼がコンビニのおにぎり1個とカップスープのみ。
あー手っ取り早くお金が欲しいと思ってもそれは当然のこと。
元バレエダンサーの草桶モトとイラストレーターの悠子の代理母になってお金を稼ぐことに決める。
私からみれば、この夫婦ものすごく良心的でリキにとってはいいクライアント?に思うけど、それを裏切る裏切る。
契約を結んどいて、違う男性ふたりと関係を持って、妊娠したわいいけど、モトの子がどうかわからないって
そんなひどい話しはなないと思うわ。
いくら代理母だって感情はあるし、行動を規制されたらたまらないってあなた、お金もらってしてる仕事でしょ。
しかも破格の。
プロじゃないわ。
そこを誰の子でも責任もって育てるって言ってくれた夫婦に
後ろ足で砂をかけるようなことを…。
自分が産んだ子を手放したくないってのはわかるけどさ。
双子でよかったね。
でもあの夫婦と姑があきらめるとは思えない。
小説はそこで突然終わっちゃうんだけど、続きが読みたい!