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命を救ってくれた姉と、叔父。
ありがたいけど、苦しい存在。
結構ヘビーな話。
最後は決してハッピーな終わり方ではない。
こういう関係で利益なしに
善意だけで絡むのは難しい。
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12年前のマンション火災事故の生存者、ユ・ウォンは18歳になっていた。
彼女の命を救ったのは、その火事で犠牲になった姉と
ウォンを受け止め障害を負ったおじさん。
検索するだけで関連記事を読むことができる。
P138〈罪悪感を抱いて然るべき人間〉がウォンだった。
両親、姉の幼馴染など
ウォンの周りにいる人たちのあたたかい眼差しがいい。
おじさんの存在は少し面倒だが
それぞれの人物像が丁寧に描かれているため
ストレスを感じることなく読むことができた。
韓国文学、ドラマなどが好きな人も気軽に楽しめる作品だと思う。
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ユ・ウォは幼いころ、自宅が火事になり姉に布団にくるまれ11階から投げ落とされ、下にいた男性に受け止められて一命をとりとめた。
その時、姉は死亡、受け止めた男性は足をけがして後遺症が残る。そんな事件の生き残りとして、ずっと世間からは注目され、英雄化された姉と男性を引きずり、生きにくさを感じていた。
そんな中、一人の学生と知り合い、自分とは違うものを感じて、やっと心を開ける友達ができたと喜ぶが・・・
話は思わぬ展開に向かう。
子供のひとりを亡くし、一人はそのおかげで助かったその両親の心情も複雑で、亡くなった子供ばかりを考えるのは生き残った子供に対してかわいそうだし、亡くなった子供はさらにかわいそうだし、という何とも言えない感情の中で過ごしてきた家族、どこかにあるような話で、皆の気持ちが想像できて辛い。
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登場人物たちの描写にリアリティがあった。設定は特殊なのに普遍的な心理の機微をうまく描いている。ラストも良かった。スヒョンの生き方についての説明がなかったのは残念。
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暗黙のルールに触れたような作品。
「この状況に於いてどうすべきかは実質選択の余地はない」話を人生というスケールで描かれている。
善意の押し付けなど恩返しを誘導させることは現実にもある。
生きてるだけで常にそんなことを考えさせられるのは辛い。
両親やシナ姉さんはウォンを好きでいるようで、そこを通して姉を見る。
見返りを求めない間柄でもウォンを見ていない。
慎んで生きてなくてはいけないウォンであるべきだと強制されている。
つまりそれはウォンではない。おじさんに落下したあの日にウォンは死んでいる。
そんな中、自分の中の姉や事故を抜きにして、感情を表していくシーンはとても良かった。
悪い風にも見えるけど、これから新しく人生が始まりそうで清々しいと感じた。
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隣人の失火から燃え広がったマンションから、2人の善意がユ・ウォンを生かした。
1人は命を落とし、1人は身体に障害を負った。
命を落としたのは、誰からも愛された実の姉だった。
生き続けることは2人のためにもまっとうで、
誠実で「あまり幸せではなく」暮らさなければいけないとユ・ウォンは思う。
笑わず、全力で楽しむこともなく、日々をやり過ごす。
そんな暮らしを大きく変える出会いが彼女を変える。
やりきれなさと向き合うには彼女は幼すぎる。その小さな背中で背負った
ものの大きさを知る。
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「ユ・ウォン」は主人公である高校2年生の女の子の名前。
12年前の火災事故の奇跡の生存者として
誰もが知ってる有名人。
12年前、保育園にユウォンを迎えに行ったあと一緒にお昼寝をしていた高校生の姉とウォン。ところが上の階の12階に住むおじいさんがベランダで吸っていたタバコの燃え殻が、11階のユウォンの家のベランダに落ちて火種となり火災が発生。
気付いた時には逃げ場もなく、姉は炎に包まれながらも幼い妹を助けるために布団でぐるぐる巻きにして11階のベランダから落としたあと、亡くなってしまう。
そしてマンションの11階から落下する布団の固まりを全身で受け止めた40代のおじさん。
トラック運転手だったおじさんは布団の衝撃で脳震盪で意識を失い、手足も骨折。職を失い1年以上リハビリを余儀なくされるも後遺症が残って障害者となってしまう。
しかしおじさんは、少女の命を救った奇蹟のヒーローとして一躍有名になり、人々から多額の寄付金を受け取った上に命の恩人としてウォンの両親に金の無心をし続けている。
このおじさんが、ものすごーく嫌な感じ!
ひどい悪人ではない、むしろ善人なんだけど、計画性のない生活ぶりや口先だけのちゃらんぽらんな性格で何をやっても長続きしない、だけど世間では英雄扱いされていて、ウォンの両親は娘の恩人のおじさんにお金を渡したりご飯を食べさせるために休みなく働いているという悪循環。
ウォンは自分を助けるために犠牲になった姉と、自分のせいで障害を負ったおじさんに、負い目と苛立ちを感じながら生きている。
また、周囲から寄せられる同情は逆に彼女を追い詰め、誰にも本音も言えず、真の友人もつくれずに、孤独を選んで生きている。
そんなウォンが初めて心許せる相手と出会った違うクラスのスヒョン。
ストレートな物言いをし、はっきりした性格のスヒョンはいつしかかけがえのない、理解者と呼べるような友だちとなる。
んだけどーーーーー!
実はスヒョンはウォンが心の奥底で殺したいとまで思っているおじさんの娘だった。
はぁ〜っ、韓国ドラマあるある〜〜
でも、決してドロドロ物語ではなく
スヒョンと父親(おじさん)との関係も複雑で…。
後半はウォンとスヒョン、そしてスヒョンの弟ジョンヒョン3人の成長物語にもなっていて、それがすごく清々しくて、なんか泣けた。青春バンザイ!
大きな事件があると、残された人を気の毒に思い同情してしまうことも多いと思うけど、
残された人は、生き残ったことへの罪悪感や自己嫌悪、葛藤やいろんな矛盾を抱えて生きているんだなぁ、としみじみ痛感。
なぐさめようと思ってかけた言葉が逆に傷つけることもある。
言葉に無神経な人にならないように気をつけたいと思った。
いやぁ〜、すごく好きな小説でした!