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「鎌倉殿と13人」を欠かさず見ている身には、まるでスピンオフ作品を読んでいるよう。
幼い時のまま義高への想いが止まってしまった大姫がその幼さゆえ、母をも想い、心を殺す。
一方、子を想うが故の自らの強さに気付かぬ政子の傲慢さ。
その親子のすれ違う想いと軋轢が招いた悲劇。
これが親子の愛なのか。
それにも増して周子の強かさに天晴れ!
同じく義高に対する後悔の念に悩む海野幸氏と結ばれ、鎌倉に生きることを選ぶとは。
あー、面白かった!
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”オグシュン”がいつ出てくるのかと思いながら読み進めたのですが、なかなか出てこない。。。200ページを過ぎてやっと出てきて、一応満足。なんといっても、現在進行形な大河ドラマの副読本みたいなお話だったので。
といっても、あちらがオグシュン目線なのに対して、こちらは大姫入内計画を都側からサポートする女官目線。
なにせ、ドラマで記憶に新しい知ってる武将がいっぱい出てくるので、楽しく読めました。ドラマでは小池栄子がややコミカルに演じている政子ですが、”尼将軍”の名に恥じない強い女なキャラとして描かれているのが印象的でした。
直木賞にはちょっと手が届かないかも。
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直木賞候補作。続けて鎌倉モノだから一瞬失敗したかなと思ったが、何が何が、素晴らしい作品に出会えた。女人入眼とは初めて聞いた言葉だが、鎌倉と時代の、権力を争うのは男性だけでなく、女性もまた同じなのだとしみじみ思った。大姫の切なさが哀しかった。
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直木賞候補作。初めて読む作家さんで少し手こずった。政子の「強さ」「情の濃さ」は、わかるような気がした。そのモンスター味を含めて、「こういう親(人間)って実際にいる」と思わされた。
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直木賞候補作品で、頼朝と政子の娘の大姫入内騒動を描く歴史小説。
著者の作品は初めて、書下ろしということで、大河ドラマに便乗したのかと思いましたが、京から入内準備のために下る女房視点ということで面白かったです。
ドラマでは頼朝が入内に固執していたのに対し、本作は政子が娘のためと言って入内に固執する毒親として描かれているのも現代にも通ずる親子関係のようでした。
丹後局と政子、京御所と鎌倉幕府、囲碁と蹴鞠のような対立軸の描き方もうまいと思います。
大姫死後の描き方は端折りすぎとも思えましたが、長すぎても主題がぼけるかもしれないので、それならばむしろもっと短くても良かったかなと思います。
通説では病死とされている大姫の死因は大胆な発想だと思いますが、自分としては生き延びるという展開も期待していただけに哀しかったです。
歴史好きとしてはあまり有名でない海野幸氏も描かれていて勉強になりましたが、逆にスポットを当てすぎていたのて、後の展開は読めてしまいました。
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情のまま、己の正しさのみを信じて生きる母、思いやり深く、自分の感情や行動による他者への影響に怯え、諦めて生きる娘とのどうにもならないすれ違いが悲しくなりました。自死の前に書いた相手を思いやる歌を読む場面では思わず泣けてしまいました。
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女性の強さ、しなやかさ、したたかさ。都と鎌倉幕府を舞台に政のかけひき、勝ち負けとは、幸せとはを考えた。
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源頼朝と北条政子の娘・大姫をめぐる物語である。戦略的に大河ドラマに合わせて発表したのだろうか。
まず本筋とは関係ないところで、ストーリーがシンプルな割には登場人物がそれなりに多いので、人物相関図は必須だったように思う。
時代小説に慣れていない読者は人物の見分けからして大変ではなかろうか。文庫化の際は検討して欲しい。
内容についてだが、当時の時代背景に詳しくない人にも間口を広げないといけないとはいえ、状況の説明に終始している部分が多かったのは少々気になった。
また吾妻鏡に書かれているからしょうがないんだけど、入水騒動を起こして大姫の縁談を諦めたはずの頼朝と政子が、ほとぼりも冷めないうちに入内を計画したっていうのはにわかには信じられず、それに対する親の思いみたいなものもあまり汲み取れなかったので、当時の人々の心情を理解するのは難しいなと思った。
それでも、大姫が徐々に心を開いていく過程は結構読ませて面白い。悲劇の末に精神を病んだ女性、としか歴史に名を残されていなかった人物に対して、こういった形で光を当てたのはとても良かったと思う。
しかし驚いたのは最終章。展開的に第五章で終わらせるわけにはいかないから終章は必要なんだけど、これはちょっと・・・
本作では北条政子が徹底的にヒール役として描かれているし、そもそも主人公の女性を襲わせた本人である。何食わぬ顔をして談笑するというのはどうなのだろうか。
このラストに関してはモヤモヤしたものが残った。
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2022.9 大河ドラマではサラッと流れた大姫はこういう人だったんだな、と解説本のようでした。でもしっかり読ませる小説でしたので星4つです。
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まず思ったのは、この時代20歳にして、既に政治に影響するような仕事をしていることに改めて、感心した。
自分なんて、大学生活を楽しんでいただけ。
男性も女性も家を背負っていたり、自分の役割をきちんと理解していたり。
選択肢がないから、迷いがないのだろうか。
鎌倉時代の小説などは今まで、あまり読んだ記憶もなく、前回の大河ドラマも見ていないので、教科書レベルの知識で読んだが、興味深かった。
見聞を広めることで、力を持つということに納得。
北条政子はイメージ通りだった(笑)
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放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」と時代が重なる。登場人物がドラマの役者と重なり、すっと映像が頭に浮かんできた。それにしても北条政子のキャスティングは見事だなあ。政子を完全に小池栄子のイメージで読んだ。さて、作品自体は、女性視点の鎌倉時代の政治物語といってよいと思う。朝廷での政略、鎌倉幕府での政略、ところ変われば政治も変わる。そしてドロドロとしたところは同じで、これは時を超えて現代でも同じだろう。人間関係で国が動き、人が死に、その中で女性も巻き込まれたり巻き込んだりする。特にこの時代の生き死には現代では考えれなくらい厳しいものだ。そんな厳しい時代だからこそ、生き残るために政治が重要になるのだろう。
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現代の悩みと何ら変わらない。女性のそれこそ妃がねには今はなくなったとは思うが、企業の政治家の駒として縁を結ぶために婚姻を決定される事もある。時代は人の死を命令できる殺伐とした空気が、無力感があって辛い。
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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が面白いので、これも読んでみた。
朝廷内での対立、鎌倉幕府内での対立、朝廷と鎌倉の対立。その裏の、政治の実権を巡る女性たちの対立。
北条政子の強さ・激情と、娘大姫の苦悩。
大姫死去後の承久の乱まで。
大江広元の娘周子によって、感情を解放されるときの大姫がいい。
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尼将軍政子のひととなり、当時の政略結婚が主軸であっはあったが、個人には不幸=呪いの概念がかなり浸透していて面白かった。
政子とのコントラストをつけるためか、頼朝がだいぶ穏やかだったのは少々違和感を感じた。
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初読作家作、まあ、そこそこ面白かった。大変ゾッとする。ただ、前半波にのれず苦戦した。
北条政子はもともとエキセントリックで恐怖なイメージを持っていたが、本作に描かれる政子の怖いことといったら、何度もゾッとさせられた。これは、ホラー。毒親(毒母)政子の描かれ方がほんとに恐ろしい。
そして、大姫の最後が
全て政子に責任が被さるように逝くところが
結構むねがすいた。
言葉はわるいが”ざまぁ”って感じではある(正直なところ)
とはいえ、政子にはたとえ大姫が死をもった訴えをしたところで、
全く理解はしていないだろうというのも窺える。
個人的に、うちの母とまったく同じタイプなので
身につまさるというか、トラウマが蘇りまくる。
こういう人、
なにをどうしても、自分の中にあるフィルターを通して理解し、
そのフィルターに恐ろしいほどのブレがないので
いつまでたってもどこまでたっても理解しあえることがないという。
パレXチナとユXヤみたいな、、
結局、
話し合いで理解し合うことは無理な場合が多々ある。
たとえ、家族であっても、
どうやっても理解し合えない、ということですな。
無駄。
「しかし、あの御方は過たない。何故、過たないかご存知ですか」
「過ちを認めず、誰かの責にするからです。(中略)己を責めて嘆く人の心など分からぬのです。」
超個人的読了感→脱力感
地雷だった、、。
鎌倉関係は10年ぐらい前に仕事上の理由もありこってりと学習したときに、自分なりの解釈が出来上がってしまっているので、なかなかそこらへんを打ち破るのが難しい。逆に違うイメージや見解の書籍など、ギャップはとても楽しめる。