投稿元:
レビューを見る
著者のことを乱暴に表現すると、とても拗らせている人という印象。でも、何か満たされなかったり惨めな思いをすることって、自分を客観的に見つめたり、世の中を冷静に捉えることに繋がって、大事なことなんだなと実感する。そんな拗れた思いを抱いた経験こそが人を強くするんだなと実感した。
就活において自己分析と業界・企業研究は基本だけど、人生においても同様に、自分のことと他者および世の中のことを考えるのは、いろんな矛盾や理不尽や退屈やストレスに折り合いをつけて逞しく生きていく上で大事だと思った。
そして、自分のこと、世の中のことを考えるきっかけとか材料として、やはり読書はとても効果的だと実感した。
我が娘たちに対しても、力強く生きていってほしいと願うからこそ、ときには不満を抱いたり惨めな思いをしたり悔しい気持ちになる経験もたくさん積んでいってほしいと思う。
投稿元:
レビューを見る
筆者は元AV女優で、慶應卒、東大院卒、そして日経の記者という、一見異色の経歴を持つ作家さん。人と自分を比べて卑屈になるのではなく、特殊な経歴をもてはやされても決して思い上がらず、相手を尊重しつつ自分にも自信を持つ。ごく普通で何の変哲もない人生を送った人に対しても敬意を払う、そんな筆者のサッパリとしたスタンスが心地良い。
そして、語彙力の豊かさは人としての魅力に比例するものだと思う。自分だけにしか経験出来ない物事とボンヤリとした感覚や想いを、その場その場で言葉にして記録する。刹那的な快楽の瞬間も、苦しく惨めな日々も含めて、生々しい現場と感覚を鮮明に残しておく。その繰り返しにより、言葉の一つ一つが血肉となって残り、自分の人生が厚みを持ち、後々になって生きてくるのだろう。
意外にも、AV業界では読書家が沢山いるという記述が興味深い。筆者のその方々に出会い、影響を受けているわけである。心身共にハードな仕事をこなす中で、文学によって自分を保っていたとも予測できる。けれども、日本の古典名作(源氏物語はじめ平安文学)に、色恋や逢瀬シーンが多かったことを考えると、古来から感性豊かな人達がその経験を言葉で記録していたという事実に納得がいく。
投稿元:
レビューを見る
この本を読んだ理由は、単純にファンである鈴木涼美さんのバックボーンがどのような本によって形成されたのか気になったから。
鈴木涼美さんの文体、語彙力、表現力が大好きで、その文章力には毎回感服させられる。
なんなら文章を浴びるためだけに読んでいる時すらある 笑。
この本では自身の体験をもとに、その当時影響を受けた本との出会いや解説などを流れるような文体と核心を突いた持論を交えながら展開されていく。
筆者も述べているように、これは社会に出てどんな道にも進めるようになる20歳までの女性が読むと大変参考になるのではないかと思う。
投稿元:
レビューを見る
画一的な新書の中だから尚のこと目を引く表紙と、挑発的なタイトルに惹かれ、新刊発売時、何度か手にとっては書棚に戻した一冊。この度、中古で入手・読了。前半が自身に纏わるエッセイ、後半が各書のブックガイド、っていう構成で統一されている。前半のエッセイが面白くて☆4つ、後半は総じていまひとつで☆2つ、で、平均取って☆3つ。読み物として楽しめたけど、ブックガイドとしてのピックアップはなし。
投稿元:
レビューを見る
エッセイをメインに構成されている1冊。なかなか共感できなかったが、母に対する考えをみて、仲がいいだけではないんだなと思った。性と夜に溺れそうな人に。