電子書籍
沖縄……
2022/07/18 18:18
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄というと、私の世代では、アメリカという印象はあまりないのですが。しかし、日本に復帰の前夜、こんなこと起こっていたのですね……。単なるフィクションではなく、裏では、有りそうな……。
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沖縄返還前夜の物語。ドルを円に置き換えるために、日銀から円が輸送され、沖縄ではドルを集める作業。ここに起こった犯罪。
それ自体はそれほど難しそうに思えないが、実は戦後のアメリカ支配のアメリカ軍兵士による日本人への乱暴から長い歴史を経て浮かび上がって来るという設定。
警察も返還によってアメリカ配下の琉球警察から警察庁の沖縄県警に変わるというその日の物語も。
沖縄返還50年を意識して書かれたことがよくわかるし、当時の沖縄県民の気持ちも想像できるような内容でした。
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沖縄返還50年の年です。
その特集コーナーにあった本です。
当時の沖縄には、こういう悲しいことが
ある程度あったのだろうとおもってしまいます。
読んでいた時に、ファンである野球のホークスが
沖縄で試合をしていて、沖縄出身の選手が活躍
しているのを見ました。
全く関係はないですが。
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戦後のターニングポイントにおける物語を偶然続けて読んだ。戦中から戦後、未だに癒えることの無い沖縄の悲しみの一端に触れる。タイトルにつながるエピソードがラスト描かれる。とても印象的なタイトルです。
ただ、現金強奪と復讐がいまひとつ結びつかず、その必然性に疑問を感じた。玉城の役割は意味不明な結果だし、イシザワも思ったほど活躍せず肩透かしって感じ。宮里の思い対して作戦が不自然でチグハグです。
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本土復帰を前に100万ドル強奪事件が起きる。
ラストでたたみかけるように明らかになる真相に驚愕。
沖縄本土復帰50周年を迎える今この時期に読めて良かった。
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沖縄の本土復帰を直前に、100万ドルの強奪事件が起こる。警視庁に出向していた琉球警察の真栄田警部補を班長に極秘任務で事件解決を命じられる。終戦から本土復帰までの沖縄の現状を知ることができました。基地問題、本土との経済格差、沖縄の犯罪傾向・・・。今年で本土復帰50年になり、このタイミングで読めてよかったと思います。真栄田の抱える「自分とは何者か?」という葛藤から、沖縄(琉球)、本土、米国の間で振り回され生きてきたからこその想いなのかもしれません。
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沖縄が本土復帰する直前に起きた現金強奪事件を追う琉球警察の話……ではあるのだが、なんとも散漫な印象だった。話が盛り上がったところですぐに横道に逸れてしまい興味を削がれる。四苦八苦しながらなんとか読了したが、あれもこれもと盛り込み過ぎなんでは。
本筋の捜査は、日米関係の悪化を危惧する上層部の意向でたった数人しか当たらないのにも関わらず、たちまち犯行グループの素性が割れ居場所も突き止められるなどご都合主義が目立つ。
真藤順丈さんの『宝島』 と似たような設定だが、残念ながら読後感はまったく違った。まあ、どちらも読みにくかったというのは共通するが。
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p42 アギヤーとは、米軍への略奪行為のことだ。焦土と化した戦後の沖縄で誰もが極貧に晒されるなか、命知らずの男たちが米軍の警戒網を潜り抜けて、豊富な物資を略奪してきた
p138 数字と書類が嘘をつくんじゃない、嘘をつくのはいつも人間だ
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本土復帰前の沖縄を舞台した昭和史サスペンス。1972年の5月に、沖縄の施政権がアメリカから日本に返還される直前に起こった100万ドル強奪事件を、琉球警察のメンバーが極秘捜査する。本土復帰前はドルが使われていたのを円に切り替える最中で発生した事件であり、アメリカ・日本両国の陰謀が渦巻く中での捜査になる。真藤順丈さんの直木賞作「宝島(本土返還前の沖縄が舞台)」と共通部分が多いので好きな人にオススメ。
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5月15日に復帰50年の沖縄に行ってきたばかりで、その情景、空気感頭の中に漂わせながら没入出来た。まさに「本質は変わらない。彼らがこの地の支配者であり、我々はその使用人」50年経っても3者、4者?の関係は変わらない…。差別の構造も。
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昭和に生きた沖縄庶民の生活を背景に、沖縄本土復帰の裏事情をサスペンス風に描いた物語。戦争が招いた庶民の貧困や常に犯罪や危険と隣り合わせの女性や子供たちに遣り場のない痛みを感じた。
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沖縄本土復帰ちょうど50年。
これは、1972年の5月15日の復帰日直前に起きた100万ドル強奪事件を早急に解決すべく、琉球警察の捜査員が密かに動く物語である。
日米両政府に知られぬよう指示され、少人数で動く捜査員。
彼らの個性が際立っていて、ぶつかり合いながらもまとまっていくのをみることは気持ちが良いが、もやもやが残るのは、ラストになり真実が明らかになってからで…やはりこういうことか、と。
そして、復讐というより愛情が優っていたが故に起きた悲劇かもしれないとも思った。
だが単純にそれだけではなく、いやそれ以上に
裏に隠されていた闇や日米の間で翻弄され続ける残酷な島の現実があるが故に起こったことかもしれない。
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沖縄の返還前夜の様子が当時の風俗、文化、歴史背景と共に描かれていて勉強になった。若い作家さん。これからが楽しみ。
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戦後、返還など沖縄の大変な歴史を改めて知りつつ、話はテンポよく進んでいく。
結構なハードボイルドであった。
ジャンルはミステリーだが、戦争に翻弄された悲しい悲劇、やはり文字の力で残していける小説は必要だ。
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1972年5月15日の沖縄の日本本土復帰を目前に控えた4月、円ドル通貨交換のための100万ドルが突如強奪される強盗事件が勃発する。
この事案が明るみにでればせっかくの施政権返還にアメリカ側が難色を示す可能性があるため、琉球警察が極秘チームの本土復帰当別対策室を発足させ復帰までに解決させる至上命題が下される。
その担当となったのが警視庁出向から戻って来たばかりの真栄田太一、上司の室長が皆に慕われている老刑事の玉城泰栄、事務補佐が刑事希望の新里愛子、そして応援としてかり出されたのが謹慎中で真栄田の高校時代の同級生で天敵の捜査一課班長の与那覇清徳、強盗事件の初動に関わった石川署の比嘉雄二の5名。そして米国側からCIDの憲兵で日系二世のジャック・シンシケ・イケザワ大尉が加わる。
強盗事件と戦後すぐに起こった女娼殺人事件が絡み合い、かつ日本復帰を巡る国防総省を含めた米国の縄張り争いなども加わり、事件はスケールが大きくなっていく。
作者は県外の方だが、東大で近代史を専攻していただけあって、資料を丹念に読み込み、今の沖縄の若者が分からないぐらい当時の状況を正確に描写している。
ハリウッド映画が描くなんちゃって日本や、日本のドラマや小説で描かれるなんちゃって沖縄を一線を画している。
特に歴史的描写、地理的描写には舌を巻いた。
ただ校閲もれが一箇所だけ。強盗に誘拐された琉球銀行の西銘勉次長の自宅が「豊見城村小禄」という描写があった(単行本90ページ)が、豊見城村と小禄は隣接しているが別の行政区域なのでここだけは地元の人が読んだらひっかかると思った。
また、主人公の真栄田が父親が台湾出身で戦後は石垣島に暮らし、本人も学生時代は沖縄本島で暮らし東京へ派遣ということで、琉球警察の中でアイデンティティの相克に悩む描写があるが、自分も父親が元々は宮崎出身で台湾で生まれ育ち、終戦時に祖母の出身地である石垣島に引き上げ、その後沖縄本島に移住したことから、その気持ちが痛いほど分かった。
映画化されたらなかなか見応えがあると思った。