紙の本
ラストに衝撃
2022/09/26 14:13
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投稿者:キレイな富士山 - この投稿者のレビュー一覧を見る
被害者家族と加害者家族。剣道の試合を通じて顔を合わせることになるが、お互いが勝負以上の想いを抱えて、試合に挑むことになる。
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3年前に刊行された単行本に加筆修正した文庫版。単行本は未読なので詳細は不明だ。
殺人者の父親を持つ岳と、父親を殺された和馬。加害者の家族と被害者の家族という違いはあるが、2人には共通点があった。その象徴として剣道がある。
本書は父親を失った家族の物語、少年の成長譚、贖罪の行方など様々な読み方ができるが、ぼくは本作を“ハードボイルド”と捉えた。ミステリーの1ジャンルではない。男の生き様の話だ。人はいかに生きるのかという話なのだ。
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警察官を殺した父を持つ岳と,遺児の和馬。岳は目立たぬよう生きてきたが,和馬は父殺しの息子を許さない。剣道の才能に秀でていた二人は,やがて試合で相見えることになる。和馬の父が自らの命を顧みず撃たれなければならかったのは何故なのか。/岩井圭也を読むのはこれが3冊目,多分野にわたって力作を発表し続けているようで,感心する。
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父親を殺害された和真とその犯人の息子の岳。犯人とその家族に憎しみを抱く和真。剣道にその憎しみをぶつけるように生きている和真と生きている資格がないと思いながら剣道をする岳。何のために剣道をするのか、生きているのか。この思いを抱えた先にあるのは何か。二人の思いは違えど抱えてる痛みや苦しみはどこか似ていてだから理解し合えない。その二人が交わる終盤の展開と剣道の試合の描写はなかなか圧巻でそれまでの二人の人生がそこに凝縮されている。著者の作品はまだ数作しか読んでないけれど読むほどにハマっていく面白さがある。
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話しの設定は良いが、もう一つのめり込めない。
主人公の2人とも共感出来ないし、好きになれないからなのか?岳が剣道に対し努力をしている姿が見えてこないのが原因かな。
プリズン ドクターで心を揺さぶられただけに、残念。
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加害者の家族、被害者の家族。それぞれ違うはずなのに、どちらも生きづらさを感じる。どちらも過去に囚われてしまう。
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殺人加害者の息子と、殺人被害者の息子が剣道を通して向き合う話。
うーん、正直、殺人加害者の息子に恨みを抱く気持ちがわからなかった。だって、事件当時、息子は中学生だよ?しかも父親に暴力を受けて育っている。
それを知っていてそいつも加害者家族だから謝るべき、加害者の子どもがのうのうと生きているのが不快、という気持ちが理解できない。
加害者の親なら憎む気持ちはわかる。だってそいつを育てたのだから。高齢父が加害者で成人した息子なら、それはそれで監督責任を考え憎むのもわからないでもない。
でも、当時中学生の子どもに親の犯罪の責任を問う?しかもそのために人生不幸になるべき?
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という気持ちなのかな、と想像はできるけど……。
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警察官殺しの父親をもつ岳、父親を射殺された遺児和馬。加害者の家族として、被害者の家族として、自らの責任で無い苦労を背負いこんできた二人が、剣道の道を歩み、全国大会京都予選で竹刀をまみえる。
加害者の家族なんだから罰を受ける…そんな考えはナンセンスだと思う。そういう考え方は明らかに差別だと思うが、反面、家族を殺された被害者の家族からしたら、一体誰にその哀しみをぶつければいいのかという気持ちになるのも当然である。
岳が可哀そうで和馬は身勝手…そんな単純なものではないことは、被害者や加害者の家族になったこともない一読者の俺でもとてもよくわかる。正解はない話なんだろう。重たくて読んでてツラい。でも読んでおかないといけない物語なんだとも思う。
最終章は偉大なる蛇足だと思った。
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加害者の子と被害者の子。
二人に降りかかる出来事がどうしようもなく理不尽で辛い。
孤独と虚しさと憎しみに蝕まれながらも、剣の道に生きる二人の邂逅に引き込まれた。
最後は思わず涙した。
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互いの人生を狂わせた忌まわしき事件から15年、加害者の息子と被害者の息子は剣を交え、対峙する―。日陰に生きてきた第一章の主人公・岳が新たな一歩を踏み出す姿に思わず胸が熱くなるし、彼を支える柴田の役回りも物語に奥行きを持たせている。しかし、第二章の主人公・和馬とその周辺人物のキャラクター造詣は前者に比べて詰めが甘く、両者の対比は物語の牽引力としてやや脆弱な印象を受けた。両者が対話する第三章の試合場面や、取って付けたようなエピローグも些か凡庸的。期待値が高い作家だけに、小さくまとまってしまったのが惜しまれる。
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こちらのアプリが履歴を見ておすすめしてくれたので読みました。岩井先生は初読です。
結論からいうと、面白くて一気読みでした。被害者の息子と加害者の息子の両面から描くことで、どちらの苦悩にも思いを馳せることができました。
事件の真相が段々と明らかになりますが、最後まで読むと様々なことが腑に落ちます。
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殺人犯の息子
vs被害者の息子
剣道を介して出会ってしまった岳と和馬。
ラスト2ページで必ず涙する、罪と赦しの物語!!
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岩井さん4作品目です。
突き抜けた落差が激しい(心が揺れる)のは「文身」が一番でしたが、私は本書も好きでした。
被害者と加害者の家族。
どうしたって切れない縁。
だけど、「その日」を境に決定的になる。
それを著者は本書のなかで、
自分に名札が付く日と表現していました。
たらればが溢れて、
当人たちの気持ちなんて関係なく、
周囲は騒ぎたて、
嫌な目で見たり、誹謗中傷したり、
怖がって近寄らない人も。
だけど、
家族は家族、
自分は自分で。
死ぬまで囚われ続けるのか。
どうしようもない父に暴力を振るわれ、
家庭をめちゃくちゃに破壊された岳。
立てこもり事件に駆け付けた機動隊として、
殉職した父を持つ和馬。
和馬の父を殺したのは、岳の父。
人の気持ちや感情は、
正論では片づけられない。
何とも言えない気持ちでしたが、
読後は良かったです。
お互いずれてたフォーカスが合った瞬間、
二人の青年の未来が見えたような気がしました。
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殺人犯の息子と その男に警察官の父を殺された息子。
父親の虐待に苦しんできた息子と 庇護されて育った息子。
加害者の息子として 被害者の息子として 二人はそれぞれの苦悩の中、大人になっていく。
そして、亡くなった警察官を想い二人は剣道に打ち込んでいく。
加害者の息子が社会で息を潜めながらも 真摯に生きる姿に苦しくなる。
理不尽な父親の死を受け入れられない心情も苦しい。
過去の清算の意味も込められた二人の一度だけの試合まで とても引き込まれて読みました。
このラストが相応しいと思いつつ、もう少し救ってあげてほしい気持ちもありました。