紙の本
インターネットの歴史がよくわかる本
2015/08/15 15:29
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投稿者:きりすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の商用インターネットがどのように作られていったか、大変よくわかる本です。ページ数はありますが、読みやすく一気に読むことができます。特に大学で情報工学等を学んでいる人は、一読することをおすすめいたします。
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電車の中で、飛行機の中で、この本を手にしながら涙を流した回数は5回以上。
日本のインターネットプロバイダー業務を始めて23年、インターネットの伝道師が語るこの著者を鈴木幸一氏のファンである私は10年以上心待ちにしていた。
その過程で二度東京春音楽祭にて、鈴木幸一氏のお顔を拝んだことは嬉しかったのだけど、今年のワーグナーオペラにて、この著者のお礼を言えないのは心残りで仕方がない。
インターネットの本質を理解して、ビジネス展開している仕事人がどれだけ日本に存在するだろうか?
様々な情報は利用者にフラットであり、その伝達スピードは限りなくリアルタイムを目指していく。
情報伝達コストは下がる一方、情報自体の容量は莫大と増えていく。
あらゆる社会環境を変えてしまうインターネットに目をそらす人は数多いるけれども、世界中どこにいても、もはやインターネットの恩恵を得ないで生活することは困難になっている。
この著書を読んで、その意味、ワクワク感、悔しみを共感できる読者は極めて少ないどころか、この著書のタイトルを理解できる本読みは極めて少ないのかもしれない。
ただ、私は、富士通の子会社の新卒研修時代に読んだリーナス・トーバルズの「それが僕には楽しかったから」を読了した時と同じ高揚感を味わっている。
それとともに、我ながら微力だったとしても、この日本において、インターネットの活用法を拡めるための歯車の一つになりたい、という目標を改めて誓った。
加えての収穫は、鈴木幸一氏そしてIIJという彼が率いる企業チームが、本田宗一郎が見出したHONDAイズムを現代に継承しているという事実だった。
私がとっても大好きで、お手本にしている鈴木幸一さんの考え方が色濃く滲んでいるこの著者。
本当に多くの大学生以下の若い人に読んでほしい!
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ネットの草分けである鈴木さんでさえ、今後のネット技術の行く末について予測不能であり(あっても書かないだろうが)、迷いがあることが分かる。好著。
一点、面白いと思ったのは社の倉庫にしまいこまれた卓球台の話。社員に払う給与のめどが立たないとき、経理担当と卓球をして現実逃避した、と。いまどきのITベンチャーは、卓球台や遊びスペースがあることをウリにしたりするが、随分と会社経営に立ち向かう姿勢が変わったものだと。
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私は、1995年にある展示会場で、WIN95を試したときから、新しいウインドウズの素晴らしさに感動し、インターネットの面白さ・その可能性に、大きな期待を持ちました。当時からIIJ社のことは知っていたけど、これほどの苦闘があったことを初めて知りました。
その一方で、日本が抱える構造的な問題も浮き彫りにされており、これからの時代をどう考えていけばよいのか、大きな一石も投じられているのだなぁと感じます。
まずは、よい本を書いていただいたことに、感謝。
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インターネット接続サービスのIIJ、データ通信サービスのCWCを立ち上げて日本のインターネットを牽引してきた著者のそのまま日本のインターネットの歴史となる四半世紀を描く、これだけの偉業を達成しながらも現在のIIJは売り上げの80%がSIだという、確かに、某R社のインフラチームにもIIJからのエンジニアが多い、売上を得るにはこれがもっとも手っ取り早いのはわかりますが、何ともやるせない。
後に、ソニー・ミュージック・エンタテイメントの社長になる丸山茂雄さんとの出会いも書かれており、助っ人させて頂いたmF247の原点が分かったのが個人的には大きな収穫であった。
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日本のインターネットがいかに生まれたか、について、IIJの歴史で振り返る。当事者の話は、なかなか進まない規制との戦いやそのもどかしさ、自らが信じたインターネットの可能性についての話を中心に、モーレツベンチャーだったIIJのカルチャーやら、インターネットのこれからについて思うところみたいな話にも拡がっていく。
言葉が悪いけど、関係者が読んで、そうそうこうだったと楽しむぐらいには関係者が多い分野だとは思うので、そういう本としてはすごくいいと思うし、それでいいんでないでしょうか。あとは技術的なところで携わっている人、これから携わる人とか。
逆に言うと単なるインターネットユーザー向けの話ではないということ。そこはかとなく、日経新聞臭もするし。
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インターネット日本書紀。専門家でもある著者の本だけに、かなり手ごわい感もあったが、この領域に不案内な自分にも、一気に読み進められる魅力満載の本だった。
それは著者の文才によるところも大きいのだが、我が国のインターネット導入時、即ち創生時期の苦心、困難さが、そのインターネットという言葉自体から感じるスマートさとのギャップに面白さを感じられたためでもある。
ぜひ手にしてもらいたい本です!
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印象に残った点
・日本にはリスクマネーがない。辛うじて商社が若干供給している程度。その商社も,ITに関しては積極的に出資していたとは言いがたかった。
・新しい事業に対しては投資家も省庁も保守的に過ぎる面がある。郵政省(当時)との折衝で事業スタートが遅れたところなどは,ヤマト運輸の宅急便事業を彷彿とさせる。前項の点も併せて考えると日本で前例のない事業を起業するのは困難(巨大資本会社がバックアップしている場合は別)。
・通信は総務省,情報は経産省が管轄。通信と情報が一体化すべきIT業界において縦割りの弊害は根深い。
・インフラ事業を貧乏人が行うと破綻する(未来を見通せる投資家が集まれれば別)。
・ソフトウェア業界は人工単位で売上を計算しているが,そんなことをしている間は未来がない。
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"日本書紀"を掲げるなら、電話回線に音声信号以外はNGとか、大規模オンラインシステムは東京五輪(1964)の記録からという前史もやって欲しいものです。
インターネットではないですが、VAN、MSN、CAPTAINシステム、各社パソコン通信があって、ネットワーク=TCP/IP(オープン)一択というわけではなかったはず。
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雇用の流動性の高いアメリカ、経理や会計のバックオフィス業務についても
パッケージソフトを多用したシステムを利用することで業務によってプロセスが標準化される。日本企業はこぞって情報システムの自前主義を貫きたがる→ガラパゴス化
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NHKのスクープドキュメンタリー平成史という番組をずっと楽しみに見ていました。令和になる直前の最終回は「情報革命 ふたりの軌跡~インターネットは何を変えたか~」というテーマで「Yahoo!JAPAN」を作り上げた井上雅博とファイル共有ソフト「Winny」を公開し、「情報」の所有/非所有の関係を一気に変えた金子勇という今は亡き二人の先駆者を取り上げていました。www(ワールド・ワイド・ウエブ)の発明が1989年、平成元年ということで、なるほど、この平成の30年はインターネットという嵐に日本というガラパゴスが翻弄され、負け続けた時間だったのだ、という総括が身に染みて、そういえば、ということでずっと積読だった2015年刊行の本書をやっと開きました。「Yahoo!」の井上さんも「Winny」の金子さんも死んでしまって今、語る言葉を持っていませんが、著者「IIJ」の鈴木さんは生きていて、その当時の苦闘を強い悔恨とともに振り返っている、それだけでも価値のある本だと思いました。ものすごい未来志向の楽観主義者である本人は、過去を振り返ることをかなり嫌がったようですが…この本の帯にある『インターネットは21世紀の産業のエンジンである。だが、日本に「IT産業」はない。あるには「IT利用産業」があるだけだ…』この惹句が、内容のすべてを物語っています。特にCWCの蹉跌の経緯は当事者による第一級資料だと思います。当事者としての夢とロマンと、そして歯ぎしりとため息が聞こえてきそうなストーリーです。「インフラ事業を貧乏人がやろうとしちゃいけないんだよ。~貧乏人にしては、よくやったけどさ。」NTT相談役の愛の籠った実直な言葉が日本の現状を表しています。日本のインターネット・ドン・キホーテの挑戦と悔恨についてのすがすがしい記録として楽しんでしまいました。でも一番楽しかったのは著者のキャラクターかも。
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日本にインターネットを持ってきたIIJの鈴木幸一さんによるタイトル通りの「インターネット日本書紀」。私NTTグループの社員ですが、「打倒NTT」を掛け声に90年代にWEBストリーミング配信・2000年代初頭にクラウドを見据えたデータセンター建設など、先見の明に感服したのです(時代が追い付かず結局うまくいかなかったのが残念。。)。
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インターネットの黎明期を生きた、いや日本に連れてきた筆者の言。
色々な経営者の本を読んでみたくなる。
通信とデータはインターネットにおいて一体であるのに、日本では管轄の省が総務省と経済産業省とに分かれる不合理さ、非効率さ。インターネットを、電話と同じ中央集中管理の発想でしか見れない総務省の古さ。
※いまプラットフォーマー規制などには、総務省と、経済産業省と、あと公正取引委員会が合同で取り組んでいるようだ
インターネットにはいずれあらゆるコンテンツが乗る、音声も放送もすべて。ビッグデータビッグデータと今騒がれているが、インターネットの本質から考えれば当然の帰結‥筆者の先見の明とその圧倒的な行動力、熱量には圧倒される。
高すぎる壁に打ち当たり続ける。インターネットの可能性を確信して、投資家を集めようと、役所を説得しようと奔走するも門前払い。インターネットに乗るデータが大量になることを見越してデータセンターを建設するも、時代を先取りしすぎて撤退を余儀なくされ。会社更生法申請にまで追い詰められ。広域イーササービスといういまでは広く普及した業界スタンダードなサービスを作り出したにも関わらず、そのコンセプトを独占しなかったことで他社からも同じサービスを次々出されてシェア独占とはいかず。
画期的コンセプトを最初に打ち出したのはこの人なのに、結局体力に勝るNTTに全て後からかっさらわれている。
NTTに転籍になった社員が結局肌に合わず会社に戻ってきた、というエピソードがある。また、打倒NTTを目指してきたけれど、通信の未来を一番考えていたのは結局NTTだった、というエピソードもあった。
当然のことながら、他人と自分を同一視する気は全くないのだけど、NTTにいたのでなんとなくわかる。社風とか、人の感じとか。
筆者はこんなふうにぼやいている。
もしかしたら広域イーサで特許を取っておば、もっと稼げたのかもしれない。そうしなかったのは、オープンであるというインターネットの精神を信じ、技術を囲い込みたくなかったから。
いまの大抵のベンチャーがするように、会社を売り抜いてしまえば、巨万の富を得られたのかもしれない。そうしなかったのは、巨大なNTTという壁を倒して、新たなインターネットのインフラを自分たちが作るのだという夢を、若い技術者たちと一緒に見ていたから。
役所の無理解だとか、色々な困難にぶちあたってきたのは事実だが、インターネットの可能性は疑いようのないものだし、技術者のレベルも、決して世界と比べて劣っていないのに、世界に冠たるインターネットインフラの技術を発信して、NTTに取り変われなかったのは。
自分の経営者としての手腕が所詮そこまでだったのだという思いに駆られる、と。
そんなぼやきがとても切ない。
なんかとても応援したくなる会社である。
そんな筆者にはいまのインターネットがどう映っているのか、とても気になる。
まだまだインターネットのインフラ技術そのものは実は成熟してないんだと、どこかで読んだけど。
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実際に手を動かした人にしかわからない生きた経営学。忸怩たる思い、この言葉が全てを語っている。やったものにしかわからない、伝わらない金言。
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