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斎藤環のひきこもりの定義はどれくらい普遍性があるのかわからない。
「社会参加をしない状態で精神障害が第一の原因ではない」というのは異論があるだろうし、「家族以外の対人関係が無ければどんなに毎日外出していてもひきこもり」というのは一般的なイメージと違うように思う。
ひきこもりが自信を欠いているのは業績がないからではなくて、子供の頃から親に誉められた経験が少ないからではないのか。
言葉は意味の代理物であり、意味の方が言葉より豊かであるように思う。
言葉を語らなくても人間は人間であるように思う。
「人間は言葉を語る存在である」という所から人間存在に他の生物と違う特権的地位を与えようとする意図があるように思う。
依存症は言葉と関係なく脳内の化学的反応により生じているように思う。
欲望は他者の志向性と関係なく生じるものもあるように思う。
プライドと自信を区別するのは宮台の考えから来ているのだろうか。
妄想と理想化した親のイマーゴの関係などについて書いて欲しかった。
「自己愛の病理」「人格障害」という言葉を医師による悪口としてしまうのはどうなんだろう。
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「ひきこもり」は統合失調症とは違い、人間関係そのものが治療的意味を持つとの考えから、精神分析家についても書かれていて、心理学に興味のある方は引き込まれると思われ。
「ひきこもり」についてだけを語っているのではなく、
日本的なダブル・バインド〜言葉で否定しながら抱きしめている二重メッセージが引き起こす危険な状態についてジャック・ラカン、ハインツ・コート、アウグスト・アイヒホルン、メラニー・クライン、ウィルフレッド・ビオンや等のフロイトに近しい分析家の学説を引用しているのだけれど、とても読みやすかったです。
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ラカン、コフート、クライン、ビオンなどの概念からひきこもりを説明。家族に求められる姿勢具体的に書かれている。
そのひきこもりの捉え方が正しいのかどうかはわからないが、斉藤環の治療実績から得られた実践的な考え方であり、参考に値するのではないだろうか。
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治療者、家族として実践的な事も書かれており、ラカン、ビヨンといった難解な理論も取り入れていてなかなかおもしろいし、参考になる。
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ひきこもりになるメカニズムやプロセス、ひきこもりに対してどう接するべきかが書かれたもの。
ひきこもりというのは自己の弱さだと思っていたがどうやら違うらしい。
自己愛が足りないからなるらしい。
そのためには自己愛つまりそれにつながる欲望(≠食欲や性欲といった本能)を引き出してあげる人や訓練が必要。
カウンセリングをはじめ心理学ではこういった手法がとられるが(実際経験)、こういった事情があったんだなと気づかされた。
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理論の裏付けがありながら、温かい心を持って治療に当たっている方なのだなぁと感じた。
一般の方向けの本、ということだけあって、とっても読みやすく、面白い。
ひきこもりのゴールは、心が自由になること。
自発性を大切にする。自分でやりたいと思うことは、なんでもやってみてもらう。
悩むぐらいなら現状維持を勧める。
などなど、共感できる言葉がたくさん見つかった。
治療にあたる者は、心を複雑にしておくこと、そうすることで、一種の慎重さが生まれ、アイディアが生まれる土壌となる、とも。形がなく、外からは見えない「心」を決め付けないために、必要なことなんだね。
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家族の対応方針の章は、分かりやすく参考になった。基本的に叱咤激励や諭すような対応は良くなく、自主性を大事にし、あいさつ、誘いかけ、お願い、相談だという。家族にとっても大変だが、まずは安心して過ごせる空間を作るということだろう。
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[ 内容 ]
100万人以上いるといわれる「ひきこもり」。
彼らはなぜひきこもり、家族はどのように対応していけばよいのか。
「ひきこもり」に関する研究の第一人者である著者が、ラカン、コフート、クライン、ビオンの精神分析理論をわかりやすく紹介し、ひきこもる人の精神病理を読み解くとともに、家族の具体的な対応法について解説する。
ひきこもりとニートの違い、不登校との関連など、「ひきこもり」の現在が解き明かされる。
[ 目次 ]
第1章 「ひきこもり」の考え方―対人関係があればニート、なければひきこもり
第2章 ラカンとひきこもり―なぜ他者とのかかわりが必要なのか
第3章 コフート理論とひきこもり―人間は一生をかけて成熟する
第4章 クライン、ビオンとひきこもり―攻撃すると攻撃が、良い対応をすると良い反応が返ってくる
第5章 家族の対応方針―安心してひきこもれる環境を作ることから
第6章 ひきこもりの個人精神療法―「治る」ということは、「自由」になるということ
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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前半は、精神分析の理論を活用して、ひきこもりの心理を巧みに説明していた。
後半は、精神科医である筆者がどのような心構えで治療にあたっているのかが書かれている。