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tofubeatsについては、水星の曲と、読書部のある学校へ通っていたらしいいいなぁ、くらいの情報しか持ち合わせてないまま読み始めた結果、私にとってこれはドーナツが食べたくなる一冊となりました。読んでる期間何回ドーナツを食べたことやら。。。feat.コーヒー。。。おいしい。。。
経営および経理の話、著作権の話、トラブル多い話、制作の話、徳利の話、耳の話、ヴィンチェンツォの話、コロナの話、、、いろんなこと淡々と書かれてて淡々とこちらも読めた。
が、ドーナツを食べる話は淡々としながらも何回も日記の中に出てきて、もはや刷り込みのようで気付けば私もドーナツを食べていました。岡山の肉まんもめちゃくちゃ気になる。淡々と文章が書かれてるからこそ、tofubeatsさんの食べ物に対する行動が情熱的とすら感じられて引き込まれたのかもしれない分からんけど。食への考え方向き合い方がその人を表す一つの要素やなと改めて思った。
食べ物以外では、欠席裁判で書かれてたtofubeatsを表す「実直」というキーワードと、自分メインのライブやのに皆と打ち上げ行かずに先帰る話、その打ち上げの様子がおもろくて印象的、あと2022年に出てきた「ブッタ切り」というキーワードが印象的。
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かなりボリューミー。約3年半分の日記らしい。
ピンクの表紙と氏の楽曲からは想像できないほど、文体が堅くて暗い。そこがおもしろい。
Twitterのボヤきでは物足りない人におすすめ。
事務所経営とか楽曲の権利のアレコレも書かれていて興味深い。トラックメイカーとしてのtofubeatsしか知らなかったが、こんだけこなしてすごいな、同世代…がんばろ。
トラックメイカー兼経営者、といえばなんだか胡散臭いが、tofubeatsの魅力は実直なところにあるのだろうなと、日記と欠席裁判を読んで思った。
どうでもいいけど、神戸よりも岡山の方がよく登場してる気がする。
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tofubeatsの新しいアルバムのリリースと共に発売された日記。2018-2022年までの音楽活動、私生活までまるっと収録したどストレートな日記でめちゃくちゃオモシロかった。法人を立ち上げて音楽活動しているのは知っていたけど、思っていた以上にガチ自営業でミュージシャン自身がここまで裏方業務をこなしている例が他にあるのだろうか…
生活のことが細かく書かれており、それだけで読んでいるのが楽しい。神戸→東京でいわゆるシティライフを謳歌している様子も楽しいし、事務所の漏水トラブルに悪戦苦闘している様はまさに人生。さらに2020年以降はコロナ禍の音楽家の苦悩がふんだんに書かれており、クラブミュージックが出自でここまで厳しくコロナに接していることにも驚く。自分で決めたルールとカルチャーに対する思いで逡巡しているところは真摯だと感じた。
音楽活動でリスナーが目にするのはステージ上できらびやかに歌ったり演奏したりする姿だけども、そこに到達するまでのタスクの量が想像以上。それらを文字通り1つ1つ潰してく様はプロダクティビティに対する執着を感じて愉快だった。自分も広い意味でプロダクトが世に出るまでの下準備の対応を仕事にしているので、その点では対象が異なるだけで近いものを感じた。
この日記の一番の醍醐味は音楽業界やコンテンツに対する実直な気持ちの表現だと思う。日記の合間に挟まれる関係者の各コラムで言及される「実直さ」が存分に発揮され「そうなんや…」という話の連発で驚く。それはここまで言っていいのか?というレベルで本を読んだ人だけが楽しめる最高のギフトとなっている。ここが変だよ音楽業界、とこれだけ言える人が今いるのだろうか。結局自分でコントロールしている領域が広いからこそ自由に物が言えるのであり自分も意識していきたい。ちなみに神戸の1003という書店で買うと特典で直近の日記がついているのだけど、そこで言及される松任谷由実の発言にまつわるDTMミュージシャンの矜持がめちゃくちゃ良かったので1003から買うべき。
今回のアルバムはむちゃくちゃかっこいいのだけど、本著を読むとアルバムがさらに肉薄してきて違った響きになって二度美味しい。次は好書好日で取り上げられていたECDIARYを読もうと思う。
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フラットに日々をつづっている日記。仕事、引っ越し、結婚、コロナ、犬を飼う、など次から次へと事件が起きているのに、淡々としているので、読み手も地味に生きてる気持ちになった。
水星をはじめとする、アンセムを何曲も生み出す天才トラックメイカーのイメージだったけど、会社にまつわる事務的なことを一人でこなす姿が意外だった。
アーティストは音楽以外のことは何もできない…ってそれは私の古い固定概念なのかもしれない。
とにかく真面目で気難しい人、というのはイメージ通り。この気難しさは、私も周りも持っているので勝手に親近感が湧いた。
我が家でも、映画「花束みたいな恋をした」に出てくる固有名詞が記号的な使われ方していることに、憤りを感じていたので、そのあたりは楽しく悪口言っている感覚で読めた。
あと、よく行く場所や知っているお店が出てきたりして、tofubeatsの日記を通して、自分の地図をスケッチしている感覚があった。奥さんがお皿好きなのも、私と同じなのでうれしい。
なかでも、かなり共感したのは、クラブで踊っているときに、もし殺人鬼が来たらの妄想をする、という一文。社会のバランスは絶妙なところで成り立っている。それを壊すことは、想像よりも小さな力で可能なる…といったようなことを書いていた。
話はそれてしまうけど、森達也が、相模原の殺傷事件のコメントで「特異性より普遍性について話し合うべき」といったことを思い出した。
今ここで殺されたら…という不安は、楽しい時でもふと我にかえってしまう、誰しもが持つ普遍的な想像なのかもしれない。いやなことに、想像で終わらない社会が地続きで存在している。
tofubeatsの日記からも、社会で生きていくことが、彼にとってどんなふうなのかが、垣間見えた気がした。
後日「オタク IN THA HOOD」を見る。難聴日記に出てきた作業部屋は実際はこんな感じだったんだね、と文字が映像化された感覚を味わった。
余談ですが、間違えて特典のダウンロードコードが載ってる注文票を捨ててしまった。とほほ。
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氏の日常をまとめた文字通りの日記だが、一定のリズムとテンションで綴られる日々は非常に読みやすくなぜか手を止められない。tofubeats好きなら間違いなく楽しめる。
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久しぶりに本を1冊読み終えた。tofubeats周辺の人間関係は今までのインタビューや、「HARD OFF BEATS」「THREE THE HARD WARE」などでかなり承知していたので、とても読みやすかった。本を読むことの一つの障壁は、前提知識があるかないかにかなり左右されるのだとあらためて感じた。
内容としては「FANTASY CLUB」のブックレットに載っていた洗練されたエッセイを期待して読むと、どうも粗が多く感じた。その粗の多さが逆に記録性を高めているとも言える。最新アルバルのインタビューを踏まえるとあえて粗を残したのかもと考えたりした。
こうして偉そうに感想を記しているが、自分の文章の稚拙さに恥ずかしくなる。それでもこうして読書の記録をつけ、人に読まれたり後で読み返すことで自分や他人の人生を変えてしまうかもしれない。そんなことを考えさせられる本だった。
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大好きなトーフビーツの日記を読み終えた。さらっとお土産をあげれたり、関係者が多かったりと優れた社会性と参照点(経済だったり芸術だったり)の多さが特徴的だった。きちんと自分の感性、価値観をもって事象に応答してる感じがよかった。「証言モーカツ」を読みながら、「資本主義だけ残った」を読むような固さと緩さを自由に往復するようなところにいわゆるTofubeatsみというかぶち上がる部分を垣間見た。
最後のほうで西山くんの悩みに喝を入れていたのは笑った。し、まさに社会人らしさの中にいる側としては同情なり、シンパシーを感じたし、自分に牙が向いたようで、ドキッとした。
なんというかどんだけ優れた人でも24時間しか与えられていないし理不尽を被ることもあれば、ペットに懐かれないこともある。当たり前に生活がある。その中であれだけのパフォーマンスができるのはかけてきた時間と労力がある、生活の中でどんだけコントロール良くしていくかをじっくりゆっくり上げていくしかないのだなと思った。
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難聴の話から始まるけれど、それは少しずつ薄れていく。時期が時期だけに、コロナ禍の日常を生真面目に記録する。音楽家として、また、新婚家庭として。そういう制限のある条件下だけに、とても誠実な振る舞いが心に残る。