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一篇、パオロ・ジョルダーノの短編「完璧な旅のおとも」を訳しました。実話っぽい、いかにも彼らしいクスッと笑える作品です(訳者)
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コロナ禍になって、昔の疫病に関する本がいつくか脚光をあびて、読まれている本の一つ、デカメロン。
古い本を紐解いてみたいものの、現在のコロナ関連の出版物だけでなかなか読めない。
29の物語。表題やそれぞれのタイトルであるこのフォントがまがまがしい。英語ならではといったところ。
起源の物語に日本の玄米茶が・・・
うん?そんな起源なのと思いつつ、アイスクリームは元気になる。
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バカ話集かと思いきやが、本当にコロナ小説だった。知らない作家が多いので、紹介は作品ごとに入れてほしかった。どこの国が舞台かわからない話もあり、イメージが掴みにくい点も。15ページ薄くなったのに。
ライトトラックを軽トラと訳してはだめだろ、白人のティーンだから、ピックアップか。
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面白かった。
ニューヨーク・タイムズマガジンが、現代のデカメロンを作ったらどうかと、作家たちに声をかけ、
7月には特集号になったというから、驚きのスピードだ。
ケイトリン・ローバーによる序文にこうある。
_人生でも指折りに恐ろしい経験のさらに深く放り込まれてはきても、作家たちが芸術作品を作っているのだと分かった。略
最良の文学作品とは読み手を遠くに連れていくだけでなく、自分たちがどこにいるのかをはっきりと理解させてくれるものなのだ_
合わない作者ももちろんいたけれど、
どれもこれも本当にあの2020年の春の事を書いていて、リアルだった。
不安と、現実逃避と、希望とが入り交じって。
短い作品ばかりなのに、漠然とした死を感じるからこわいほど興味深くておもしろい。
『既視感』
日に日に空き部屋になっていく、ニューヨークのアパートメント。人見知りの黒人女性と初老の白人女性。
彼女はピアノ教室を開いていたが、子供たちはもう来ない…仕事も家族もなく、どこにも行き場のない人たちのはなし。。
『ロサンゼルス川つれづれ話』
ゲイのカップルの日常?男女のカップルと変わらないんだと、知らされた。音楽、本、映画、どれも趣味が合わない。
お気に入りの作家は、愛する人と結ばれて、毎晩一緒に映画を観ている…。
歴史上の素敵なカップルを数えてみる…。
ある日、自転車をオンラインで注文した。彼は、イラつきながら自転車を組み立てる。自分は?私は、なかなかにダメな子で、そういった面倒からは逃げてしまう。そうして、彼の怒りをかいながらも、出来上がった自転車でロサンゼルス川を走る。
悪くない…のかな。こんな人生に甘んじても。
『石』
冴えない小説家が、トークイベント中に石を投げられたことで、気の毒な被害者として一躍注目されることになる。しかし、犯人は見つからず、人々はそんな事件も忘れてゆく。
忘れられた小説家は、これから書きたい本、文学的で真の自分の世界を…などと考えていると…。
これ、すごいな。
『スクリーンの時間』
テレビを見せずに子育てをしようとする、物書きの夫婦。しかし、彼らはテレビなしでは過ごせない大人になっていた。ロックダウンで外に散歩にも出られなくなってしまった子どものために、彼らはお互いの仕事を調整して、子どもと過ごす…
でも、日曜日だけ映画を観せたらどうかと話し始める。そこからの、二人の姿が、ユニークで、甘美で、だのに、あなたたちこそ大丈夫なの?という気持ちにさせられる。
一番お気に入りの短編。
『大きな赤いスーツケースを持った女の子』
これこそとてもデカメロン的なんじゃないかしら?
大きな赤いスーツケースを持った女の子だと思い込んでいた彼女は、作家のファム・ファタールではなかったのだ。。ラストになるほどと、うまいなぁと、なってしまった。
『完璧な旅のおとも』
4年前から別々にくらしていたマヴィ(妻)の息子ミケーレが、ミラノが危ないと言って夫婦の家にやってくるという。
夫婦の最後の夜は、失敗に終わっている。
ミケーレが来てからは、禁欲生活のままだww
若いミケーレに翻弄される僕が妙に憎めない、イタリア人の愛されキャラなのだ。
翻訳のリズムがすごく良くて、なんだか一瞬で読めてしまった。
『願い事がすべて叶うなら』
これは、ホテルに隔離されているの?
それともドラッグの常習犯である俺の幻覚なの?
分からなくなってくる…
オチがやっぱり!えウソ?!というおもしろさ。
キリがないのでこの辺りで。
俄然、本家の『デカメロン』を読みたくなっている。
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文学ラジオ空飛び猫たち第67回の紹介本 https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/67--29-e1dk9dc ニューヨーク・タイムズ・マガジンがコロナ禍の2020年に緊急出版された本書は、29名の作家が参加し、パンデミックにより一変してしまった日常・世界を描いています。錚々たる作家が寄稿していて、日本初翻訳の作家もいるので、海外好きにはたまらない一冊です。
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短編集なので、読み飽きなくて◎
コロナに直接的に関係する話から、そうでないものまで意外にもバリエーションがある
疲れや緊張を和らげてくれる
癒しのある話が多いのは、よかった
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短編小説になると、自分の場合各話の背景を探るのにいちいち時間を要してしまう。
しかし本書に関しては、その心配をする必要はない。どの話の背景もパンデミック中の出来事だから。
1348年ペストから逃れるため、フィレンツェ郊外に逃亡した男女による創作話をまとめた『デカメロン』に倣い、21世紀を生きる計29の作家が本書のために29の物語を提供した。アメリカをはじめ、英語圏でも評価を得ている他言語の作家も参加しており、なかなかに国際色豊かだった。いつものように、心に引っかかった何篇かを引っ張り出したい。
思えば2020年の惨めな生活を振り返らないまま、今日まで来てしまった。当時の自分のみならず、似たような或いはそれ以上の苦難を味わった海の向こうの誰かにも、そろそろ目を向ける時なのかもしれない。
・『臨床記録』(リズ・ムーア)
看病に奔走する夫婦と熱を出した赤ん坊の闘病記録を第3者の言葉で報告書風にまとめたもの。
役割分担はしているが、やはり切羽詰まっている。熱もウィルスによるものでないとは言い切れない。
辛くて見るのを断念した、新生児を抱え動揺を隠しきれない母親のニュースが頭をよぎる。今回も辛いのには変わりなかったが、最後まで目を逸らさなかった。
・『死の時、時の死』(フリアン・フックス)
たったの4ページで詩を読んでいるみたいだった。
前代未聞の出来事に気持ちが追いつかず、「意味を失った」、「無気力な時間」を経験する人々の描写とでも言おうか。
元々詩の読解は苦手で、特に「時間」を扱ったものは一層難しく感じる。しかしふと外に飛び出して人と会うことで、再び時間が動き出したという著者の話は容易にイメージ出来た。少なくともあの頃の時間には、生気がなかったんだな。
・『起源の物語』(マシュー・ベイカー)
短編集の中で一番好きな話。
「配給制や絶望の中から偉大なものが生まれることがある!」という始まり方から、既に良い予感はしていた。ひいおばあちゃんとひ孫の不和にハラハラしつつも、ひいおばあちゃんが考案したある発明品とそれが導く明るい未来にほっこりすること間違いなし!2年前に知ったら尚更気が楽になっただろうな。
「『デカメロン』の若い男女は(自分たちの街に)戻ることにする。(中略)彼らが戻ったのは、笑い、泣き、生きるうえでのまったく新しいルールを想像した後、ついに現在を見つめ、未来を考えられるようになったからだ」
『死の時、時の死』と若干被るけど、あの頃モチベーションを上げて人間らしく生きるというのは、どう頑張っても難しかった。
今なお終わりが見えない中「未来を考える」のは困難だろうけど、あの頃を振り返り現在に立ち戻るところまでなら今の自分に出来る。
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ボカッチョのデカメロンをオマージュして、コロナ禍でのロックダウンの中で世界の作家たちが紡いだ短編集。それぞれの感性での物語は興味深いが、悲劇的なストーリーが多いような気がするのはパンデミックのせいだろうか。