紙の本
夢幻紳士、奇異な夢みる
2009/12/04 19:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:牛久保 - この投稿者のレビュー一覧を見る
20年以上前に発表された過去の“怪奇篇”の12エピソードを著者自ら現在の“回帰篇”として文芸誌「ミステリマガジン」で連載。
本書はプロローグとエピローグを描き下ろした平行世界的な物語なのでしょう。
★プロローグ
“彼”には珍しい女性の友人が出てきます。
読み方によっては“彼女”は読者自身に置き換えが出来そうで、これから始まる物語に深みが増します。
★蝙蝠(こうもり)
正体が何であれ、どうやら夢幻紳士は女性には優しく甘い果実の味がする様です。
男友達にとっては頼りになるのかならないのか。。。?
★首屋敷(くびやしき)
旦那さんの表情が登場の時点でイッちゃった感じが奇妙さを倍増させてくれます。おまけに夫婦そろって「家政婦は見た!」状態です。
夢幻君の全てを見透かした上で浮かべる微妙な表情の変化と行動が見所です。
★沼(ぬま)
これが本当の「沼ガール」です。だって沼に棲んでいるのですから。
しかし男女の愛憎は物凄いです、愛しき人を追いかけて最終的には一緒になってしまったのですから。
★吸血鬼(きゅうけつき)
ラストシーンは感動的です。この辺りから彼の喜怒哀楽がはっきり出てきている様子です。
珍しく?夢幻君はお仕事の探偵業にいそしんでいます。
“吸血鬼”VS“探偵”の緊迫感あるやりとりには息をのむ迫力があります。
★蛇(へび)
冒頭に出てくる女性のポーズは女の自分でも艶っぽく感じ、見惚れてしまい
ました。
主人公よ、あなた仕事と結びつけてナニをヤッているんですか!?
★夢魔(むま)
子どもには無限に優しい夢幻紳士。
今回は一人の少女を徹底的に守ります。この世ともあの世ともつかない不思議な世界から体を張って守りきったり、トレードマークの帽子が無い彼は人間らしくて親近感がわきました。
★木精(すだま)
「禁断の恋」というのにピッタリな作品。人間と美しき山の精です。
お互いの想いは通じ合っているのにおそらく二人は結ばれる事はなかったでしょう。
後半の夢幻君は自身の無力さを悔いている様な切ない表情が多く、印象的です。
★鬼(おに)
この回の表紙絵は美しさの中に残酷さを持ち合わせている印象がして見ごたえがあります。
ふとしたきっかけで出会った夢幻君と女性。。。そして、鬼。
“彼女”が夢幻紳士に触れ、流した涙と哀しくて切ない表情が救われた気がしました。
★蜘蛛(くも)
ゲストキャラクターのさやかさんが少女というより「オンナ」になっています。
でもまだ「コドモ」な目線も持ち合わせてる微妙な時期、ふたつのヒトの形が重なって“合計手が4本足が4本”が彼女には「大きなひとつの蜘蛛」に見えても不思議ではありません。
★夜会(やかい)
夢の様な美しく恐ろしい一夜の話。女は何か得体の知れないモノに殺される幻影を。男は女を殺してしまう恐怖を。
それぞれ長い間、抱えていた物を夢幻紳士が溶かします。
結果はどうあれお互い救われたのでしょう。
★花火(はなび)
夢幻君の友人、吉岡さん兄妹が視た“花火の幽霊”にまつわる話。
花火の絵はとても華やかで奇麗に描かれていて、まるで命の儚さが描かれている様子でした。
彼にはきっと独りで“行って”しまう吉岡さんの妹を見送る役目もあるのでしょう。
★幽霊船〔前編〕(ゆうれいせん)
終焉へ向かう為に出航しなければいけない、そんな後悔に憑りつかれた人々が集う船に乗り合わせた夢幻紳士。
そこで一人の女性と共に行動していくのですが女性が違和感を感じ。。。
★幽霊船〔後編〕(ゆうれいせん)
夢幻紳士が女性に「ある言葉」を投げかけると彼女も前編に出てきた人物たち同様、後悔を抱えていました。
後に女性が下した決断には色々と考えさせられます。
回帰篇の夢幻君は今までで、もっとも強い能力を持ちながら同時に優しく人間らしいキャラクターの様な気がします。
★エピローグ
清々しい表情で“彼の夢”を視終えた女性の満足げな様子が素敵です。
そして最後に画面に現れた、大きな帽子に黒ずくめの格好とくわえ煙草の誰か。
物語はまだまだ続きそうですね。
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「怪奇篇」を元に作られた「回帰篇」、文芸雑誌月刊ミステリマガジンで連載していた作品+@。
後半の作品は映像作品の様な流れるようなコマ運びが好きです。
10/31/09のサイン会、さやか嬢を描いて頂きました♪
夢幻君は「禁煙しろ」とお茶目なイラスト色紙で高橋先生に言われてるみたいです(笑)
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「怪奇編」夢幻紳士のセルフリメイク版。結末などオリジナルと異なる部分多々あり。ファンなら読んで損はなし。
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怪奇と回帰は、やっぱりかけているんでしょうね。
ということで、昔の「夢幻紳士」のセルフリメイク。
話は、けっこう忘れているのもあれば、好きで覚えているのもあります。「木霊」とかは、すごい好きです。
ところで、絵以外、ストーリーって、かわってますっけ?
忘れているので、良くわかりません。「吸血鬼」の結末って、ひっぱたかれて終わりだった気がちょっとします。
絵はなぁ、今の方が濃い絵なんだけど、前の方が好みかも。
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大好き夢幻シリーズ。
新作・・・かと思いきや、外伝のリメイク・・・!
フルリメイクでしたが、新作を楽しみにしていた私にとっては少し期待はずれ・・・。(´・ω・`)
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《内容紹介
〈夢幻紳士シリーズの新境地〉夢幻魔実也による怪奇物語の名篇の数々を著者がセルフリメイク。絵柄、構成、結末等を一新した、まさに幻想怪奇漫画ファン必携の一作。著者があたためてきた渾身の試みが遂に実現!
内容(「BOOK」データベースより)
夢幻魔実也による怪奇物語の名篇の数々を著者がセルフリメイク。絵柄、構成、結末等を一新した、まさに幻想怪奇漫画ファン必携の一作。
著者について
1956年生まれ。1977年《マンガ少年》誌に収録された「江帆波博士の診療室」でデビュー。ファンタジイ〈ヨウスケの奇妙な世界〉シリーズ、スプラッタ『クレイジーピエロ』、ホラー『学校怪談』など著者多数。とりわけ〈夢幻紳士〉シリーズは、著者のライフワークとしてファンに長年愛されている。最近作は『もののけ草紙』。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高橋 葉介
1956年生まれ。1977年『マンガ少年』誌に掲載された「江帆波博士の診療室」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)》
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謎の青年、夢幻魔実也の関わる奇怪な出来事を集めたエログロホラー短編集。
ホラー書ける人ってのは、構成力があると思います。
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作者本人による夢幻紳士シリーズのセルフリメイク? って言うの?
変化した絵柄と構成を間違い探しのように楽しめる、マニア必携の1冊。
高橋葉介は、やっぱりオチの1コマがすごく上手いんだと思う。当時も凄かったが、更にそれが洗練されて戻ってきた感じ。言葉以外、絵だけで物語る、という方法が更に高められているようだ。
そして夢幻君はやっぱり相変わらずなのだなあ。
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2010 4/7読了。WonderGooで購入。
初見ではリメイク前との違いがわからなかった・・・後で確認してみる。
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個人的に怪奇篇よりいい話もあるし、あっちの方が好きなお話もあり。
全体的にはいいリメイクだと思いました。
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怪奇編のセルフリメイク。
元々、24P程だった作品をさらにコンパクトに
纏め上げた作品集。
オリジナルが良かったと思える1編もあったし、
回帰編も良いなと思える1編もあったし…
評価としてはまあまあかな。
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オチが変わっているのが「吸血鬼」と「幽霊船」。
「吸血鬼」は夢幻くんが人でなしじゃなくなっている。
「幽霊船」は元が残酷なオチだから、こちらがいいか。
「蜘蛛」も微妙にテイストが違う。
「幽霊夫人」「サトリ」「老夫婦」「昇降機」がないのが残念。
元の「怪奇編」がハズレ無しの傑作なので、はずれようがない。
今の絵でリメイクされた作品なので、比較してみるといいかも。
作者自身も怪奇編の間に思いっきり絵が変わったことを認めている。「幽霊船」の夢幻くんなんか元はタバコ吸ってええんかいって子供顔だし。
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新作が出る度に色気が増す最近の魔実也さま。
僕には出来るのさ!とか言ってちゃちゃっと解決してしまうちょっと強引な魔実也さまも素敵です。
夜会は色気有りすぎでした。色気ばっか気にしてスンマセン。
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夢幻紳士 怪奇編を高橋先生がセルフカバーされた、回帰編。
今の高橋先生の絵で昔の話かいたらどうなるのかなー、というファンの欲望の具現化。
*元の怪奇編を読んだ方
基本的には、今の絵柄で怪奇編を書き直したイメージですが、収録されてる話は2/3くらい。なので、お好みの話がなくてがっかりされるかもしれません。マミーが人間くさい話はカット多めな気がします。サトリとか、エレベーターとか。また、収録されている話も、一部、展開やニュアンスが変わっているものもあります。一番変わったのは蜘蛛の話かな?全般的に魔実也は少し優しくなってる気がします。
でも、妖艶で、かっこよくて、薄情で、優しい魔実也と、夢幻紳士独特の雰囲気は十分堪能できると思います。
*初めて読まれる方
お勧めです。フルスイングでオススメです。
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改訂版らしく、タッチの異なるお姉様方多数。こういう優しい感じの繊細なペン入れよりも、いつもの力強くて元気のいい線の方が好きかも。