投稿元:
レビューを見る
肥後の国の山中奥深く、彼の剣豪・宮本武蔵に育てられた松永誠一郎。彼には出生の秘密がある。武蔵の死後、遺言に従い山を下り、江戸の遊郭・吉原へと赴いた。
「ここは極楽だよ。そして地獄かな―――」謎の老人・幻斎が誠一郎を迎えたその時、吉原で何かが動き始める。自分が吉原に現れたことが引き金となり血で血を洗う暗闘が繰り広げられる。その原因と思われる「神君御免状」とは何か、自分の出生にどのような謎があるのか、何故裏柳生は自分を亡き者にしようとするのか。数々の謎に迫って行くにつれ、誠一郎は吉原誕生に隠された秘密を知ることになる。
当代随一の剣豪にして、女が放っておかぬ器量、清々しい魅力にあふれた若者誠一郎に切ない恋心を寄せる吉原きっての太夫の悲しくも切ない運命も読みどころです。
「優しいてえのは悪(わる)なんだよ。誠さんは、女に出逢うたんびに、その女のために何も彼も棄てようと思う。確かにそれが男の優しさだろう。だがね、たんびたんびそんなことをしてて、身が持ちやすか? 誠さんの身だけじゃねえんだ。女の身だって、もちゃあしねえよ」
これは作中、誠一郎を助ける謎の老人幻齋が誠一郎に言った言葉です。脆く美しい者を守る者は優しさを棄て、敵と同じくらい残忍非道にならなくてはならない。この悲しい矛盾が誠一郎の心を苛みます。まさにハードボイルド。そう、彼のチャンドラーが名作『プレイバック』の中で、探偵フィリップ・マーロウに語らせた「タフでなければ生きられない、優しくなければ生きている資格がない」という言葉と同じ命題です。
投稿元:
レビューを見る
恥ずかしながら、今まで隆慶一郎を読んだことが無かった。すごく損をしていたなと思いたくなるぐらい面白い。そして、著者の小説処女作!!しかも、60歳になってから書かれた作品!!!!だまされたと思って読んでください、面白いから。
投稿元:
レビューを見る
理由もなく歴史物を敬遠していた私が勧められて初めて手にとった「歴史モノ」。結果から言うとものすごく面白かったです。夢中になって読んで、次の日には財布を握り締めて本屋のはしごをしていました。
この人の作品はどれも、大胆な切り口と暖かいものの見方で、史実ではないにしろ、ここに真実があると思わせてくれるロマンがあります。そう、歴史にはロマンがあるんだなと、目からウロコをポロポロ落とした私。
その中でも特に吉原モノであるこの話が大好きです。人物の描写が素晴らしい。情景が目に浮かぶよう。賑やかさと物悲しさと雅やかさと血なまぐささが絶妙のバランスで同居しています。
投稿元:
レビューを見る
こいつは面白い。
面白いと思わせる部分は多数あるのだが、
単純に時代活劇として読んでみるのもオススメ。
松永誠一郎、カッコイイよ
投稿元:
レビューを見る
著者のデビュー作。それなりに興味深く読んだのではあるが、その前に「影武者・徳川家康」を読んでいたせいか、肝心の『神君御免状』の正体が先に読めてしまったかも。しかしながら、この作品があってこそ、あの「影武者~」があるのね、と思えばこのデビュー作の存在は大きいと思う。吉原のイメージも見事に覆された。史実にもきちんと基づいており、フィクションをフィクションとは思えぬほど文章に説得力があるのが見事。
投稿元:
レビューを見る
これの舞台を見に行った友人から貸して貰った。
確かに時代物好きだし貴種流離譚も好きだが、これは好みではなかった。
何故なら徳川に貴種を感じないから。
ただ主人公は良い奴だし、吉原のシステムにも詳しくなれるかも?
投稿元:
レビューを見る
長年の積ん読本。片付けものをしていて、ふと手にとって2,3ページ読んだら、止められなくなった。
吉原で剣豪で、となれば、色恋にチャンバラに、基本、男性向け娯楽本なのか?とどこかで思っていたのだが、一筋縄では行かぬ、力技の怪作だった。
こういうジャンルの本を数多く読んでいるわけではないので、感想がどれだけ的を射ているかちょっと自信がないけれど。
フルコースでメインに魚か肉か選ぶはずが、魚も肉も二皿ずつ出てきたような、てんこ盛り感満載の作品だ。史実が巧みに織り込まれた伝奇小説である。
冒頭からして、貴人の胤にして武蔵の秘蔵っ子の登場。ここで摑まれてしまった。だが、裏柳生・表柳生、討死したはずの戦国武将が実は生きていたと畳みかけるような展開に、「いや、いくらなんでもそりゃありえませんから!!」と途中でちょっと食傷した。そこでぐずぐずになるかと思いきや、傀儡子、吉原者の正体、そして御免状とは何だったのかと話が進むにつれ、多数の伏線が思いの外きれいにつながり、大きな力強い流れに心地よく流されてしまった。このフルコースには、やはりメイン料理が複数必要だったようだ。
但し、女性が襲撃されるシーンは必要以上に凄惨でちょっと辟易した。そういう意味では一般的に女性読者に諸手を挙げてお薦めはしません。私が一番引っかかったのは女御のシーン。残虐なのも嫌だったが、手籠めにされて我が子の居場所を白状する母はいないと思う。作戦が理に適っていないことに苛々した。残虐シーンが書きたかったからそうしたとしか、ここは思えなかった。
ストーリーにしろ登場人物にしろ、おおむね、人間愛に満ちているように感じられただけに残念。
投稿元:
レビューを見る
全1巻。
隆先生デビュー作。
デビューからすでに、
隆先生ぽさが濃厚にただよう。
歴史の裏側を伝奇的手法で書き上げる感じ。
そして自由ってテーマ。
すでに確立されてる感じ。
ただ、やや伝奇っぽさが強い。
話としては、
影武者徳川家康の元ネタ的な部分が根っこにある感じ。
影武者読んでたので特に驚きはなく、
むしろそこらへんの描写が長くてやや回り道な感じ。
まあ。
こっちのせいだけど。
こないだ柴錬武蔵を読んでたので、
冒頭に出てくる武蔵の感じが楽しかった。
対比が。
柴錬版との。
投稿元:
レビューを見る
宮本武蔵に育てられた松永誠一郎という剣士が、実は後水尾天皇の隠し子で、吉原を巡る争いごとに巻き込まれていくお話。
作者の思う吉原の本当の姿を、面白い角度から描いている。徳川家康の影武者説も、明智光秀の南光坊天海説も恥ずかしながらこの小説で初めて知りました。
歴史小説だけど、殺陣のシーンなんかはすごくスピーディーで心躍ります。文章もお固めで史実に基づいて小難しいことも書いてあるにも関わらずすらすら読めるし、しかも続きが相当気になる。
文献からの引用も多く、初心者にも分かりやすい導入がきちんとあって非常にしっかりとした読みやすい作品でした。
誠一郎の人柄にはびっくりするほど惹かれます…あと勝山太夫はほんといい女だなー。
投稿元:
レビューを見る
江戸切絵絵図の下谷浅草界隈を眺めていたら再読したくなった。登場人物、あらすじは覚えていた通りなのだが、初読時(約15年前)は時代背景、風俗、人物に興味(知識)がないままに(面白いという先入観で)読んでいたようだ。というのも読み終わってみるとたしかに吉原の新解釈や徳川家康影武者説、明智光秀生存説などいろんな薀蓄が盛り込まれているのだが、言ってしまえばそれだけでそれ以外はこれといった、こんなにつまんない話だったっけと感じられるからだ。
それでもおもしろいとおもったのだから、当時面白いといっていた人たちとその面白さには差があったことに思い至った。
投稿元:
レビューを見る
エロい!!高校時代にフランス書院文庫を愛読していた僕だが、まさかいい大人になって活字のエロスに再び興奮するとは!
ジャンルは剣豪小説。別にエロスが前面に押し出されている訳ではないが、僕の印象にはエロスしかない。
主人公は宮本武蔵の弟子で二天一流の剣豪、武蔵の死後、自分が何者か知るべく吉原へという設定があるのだが僕の印象にはエロスしかない。
展開上、別に詳細な性描写は必要ないように思うのだが、やたら親切に描かれている。ちょっと目を離すとすぐ主人公が羨ましい事になっている。
とは言っても痛快な剣豪小説を読みたいと軽い気持ちで手に取り、不意打ち的にエロスの洗礼を受けたが故の印象である。油断した僕も悪いのである。
この作品に中学時代に出会っていればさぞ素晴らしい朝の読書の時間がおくれたことだろう!つまり僕の印象にはエロスしかない。
と、こんな事ばかり書くとファンの方に怒られてしまいそうなので客観的なレビューもしときます。
別に作者や作品が際立ってエロい訳ではなく剣豪小説や時代小説での詳細な性交描写はそこまで珍しいことではない。一つの演出、または読者サービスなのだろう。現に僕はしっかりそのサービスを享受した。
作品自体はいたって真面目で、剣豪小説として実に面白い。
また作者の知識の深さは、小説の時代背景、世界観を精緻に表していて素晴らしい。
登場人物も魅力的で主人公も格好良く、剣豪小説、時代小説に慣れてない方も苦なく楽しめる作品だと思う。興味がある方は是非!!
ファンの皆様、こんな感じでいかがでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
最初の100ページから200ページくらいまでぐいぐい惹きつけられ、どうなるかと期待していたが、伝奇性が色濃く表れ始めてから途端に印象が散漫となった。
後半もパーツパーツでは興味深いのだが、物語としての一貫性に欠けている感あり。
前半の期待感からすると少々歯痒い結末。
投稿元:
レビューを見る
天皇の子孫「松永誠一郎」の話。
宮本武蔵を師にもち
師が亡くなって吉原へ。
誠一郎さん、すんごい強い
さすが山育ち。。
んで、御免状をめぐっていろんなことあります。
大好きな隆先生の作品の中で
非常に色っぽいというか
艶っぽいといいますか。
花魁の切ない一面とか、なんか誠一郎さんのピュアなとことか。
すごくすごくイイです。
「主さんに、惚れんした…」
しびれます。
投稿元:
レビューを見る
誠さんは限りなく強くてかっこいい!
話しも面白いし良かったけど、なんと最後が尻切れトンボ----
エエッって感じで終わった。
残念----
投稿元:
レビューを見る
この人の作品は2作目。
1作目は「影武者」
この人の歴史物って現実の歴史と上手くリンクさせて話が進んでいくから、フィクションであっても「実際はそうだったかもしれない。」と思わせてしまうものがある。
そこがこの人の作品の魅力かな?
ちょっと生々しい所もあるけれど、読みだしたら(文字小さくて言葉づかいとか難しい言葉が度々でてくるけど)割と嵌まって読んでしまうのであった。