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2023.3.3 読了。
錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は密かに銀線細工の修行をしていたが、跡目争いのなか現れた謎の男・時蔵が江戸では見られない技で簪をつくり椋屋の職人たちに波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられる中、お凜や時蔵、椋屋の職人たちや取引先の生駒屋の娘・お千賀などと江戸の町に活気を与えようと悪戦苦闘する、職人世界の粋と人情を描く本格時代小説。
女性が修行などしないものと考えられていた時代に錺職に魅せられ細工に励むお凜が凛々しく、その友人である生駒屋のお千賀が一番にお凜の才能に気づき認めること、そしてお凜もお千賀の持っているセンスが世間より群を抜いていることを認め合い、精神的にも支えあっている姿に心惹かれた。
勿論お凜と時蔵が互いに錺師としての才能を認めだんだんと惹かれあっていくラブストーリーとしての面も面白かった。(そしてそういえばお凜はモテモテでした。才能も器量もあって気配りもできるこんな女性、現代でも絶対モテモテ!)
話は少しズレるが天保の改革で江戸の住民が息苦しい生活を余儀なくされる描写はコロナ禍で様々な職種が営業を続けるのが厳しくなり生活苦になったり人々との間がギスギスするようになったりする様に少し似ているように感じられた。
様々な登場人物の抱える事情や考え方の違い、切ない思いも交差していて読み応えたっぷりでした。
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時は江戸時代、天保の改革のころ。主人公は女錺職人・お凛。錺職の老舗・椋屋の四代目だった義兄が若くして亡くなり、五代目選びに巻き込まれる。四代目の指示に従い雇い入れた職人・時蔵への恋心。その恋は実らず、予想外の事態となるが、最後はほのぼの。読後感はとても良かった。
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時代とか環境とか、思うに任せない中で、やりたいことを貫いていく主人公もいい。
周りの人の理解や関わりで、人はどんな過去を背負ってても、変われるんだっていうところもいい。
その人の中にあるものを、誰が見つけてくれるのか。そういう出会いが全ての人に訪れますように…。
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天保の改革の頃、錺細工の老舗の跡目。五代目を誰にするか、剃刀のような鋭い職人を受け入れつつ、自分も細工作りを陰でするお凛。
巻を措く能わず。めちゃくちゃ面白かった。金属を使った江戸時代の細工なんて全く知らない。職人の世界も未知。跡目の話も。お凛を含む人物造形が素晴らしい。ストーリーも凄い。どんでん返しが何度もあった。
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ひとに疎まれてばかりの時蔵と女錺師として生きたい凛との出会い。悲しくもあり素晴らしくもあり、切なくもありといろいろなおもいを噛みしめながら読み勧めました。周りの人々との軋轢や気遣いも、凄く丁寧に描かれた素敵な作品でした。