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佐藤正午のYを読みました。
konnokのお気に入りの小説である、ケン・グリムウッドの「リプレイ」を下敷きに書かれた小説でした。
主人公秋間は40代の会社員で、妻から離婚届を突きつけられています。
妻が出て行ったその日、秋間のところに高校時代の同級生と名乗る北川という男性から電話が入ります。
北川は秋間の親友だったと名乗るのでしたが、主人公は北川を覚えていないのでした。
ところが、北川の秘書と名乗る女性から渡されたフロッピーディスクに書かれている物語を読んでいくと、秋間は北川の物語を信じることになるのでした。
時間を遡ってまでかなえようとした北川の想いが心に余韻を残す物語でした。
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内容(「BOOK」データベースより)
ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。北川健と名乗るその男は、かつて私=秋間文夫の親友だったというが、私には全く覚えがなかった。それから数日後、その男の秘書を通じて、貸金庫に預けられていた一枚のフロッピー・ディスクと、五百万の現金を受け取ることになった私はフロッピーに入っていた、その奇妙な物語を読むうちにやがて、彼の「人生」に引き込まれていってしまう。この物語は本当の話なのだろうか?時間を超えた究極のラブ・ストーリー。
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リアルなのにどこかフワフワとした感じ。(村上春樹の小説を彷彿とさせるものがあった。)
主人公に舞い込む謎のフロッピーディスク。その中身を読み進めるうちに、主人公と同じく次第に不思議な出来事に心を奪われていく。
そのフロッピーの中身が語るのは、運命の分かれ道という意味での「Y」。18年前に起こった電車事故をひきずった男女の群像劇といえるだろうか。愛する女性が亡くなった現実を覆すために、18年前にさかのぼる北川。果たして現実を覆すことができるのか……
全編通して切ない思いがあふれる叙情的なファンタジーだ。
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ある事件の流れをかえたかったがために、どうしても過去をやり直したいと願った一人の男の物語。はじめは数秒、数分、やがて願った通りの18年前へ実際に遡った男は、1度目の人生を捨て、2度目の人生をやり直す。これは、その男の1度目の人生での親友だった男からの視点で描かれている。
最初の方は全体像がわからなくて混乱したものの、だんだん景色が良く見えてからは一気に読めてしまった。
人と人との出会いは、偶然でもあり必然でもある。
色んな分岐点で少しずつ流れが変わっても、出会う人とは出会える。
今、私自身の周りの人のことを考える。すれ違う人。意外に長く関わる人。
今少し遠のいている人とも、会いたい人には必ずまた会うことは出来る。
なんだかそんなことを強く感じる作品だった。
ミステリーというよりは、人との不思議な縁を改めて考えるような物語だったと思う。
彼と、彼の1度目の人生での親友、そして関わった人たちの3度目の人生はどんなものなのか。まったくわからないこの先を知りたい気もあり、あえて知らない方が良い気もあり。
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もしも、あの時に別の選択をしていたら…。まあ、想像するときりがないんですけど。そんな「仮に」が起きた話で、それなりに面白かったです。自分は今の状態が最高とは思わないけど、それでも、まあまあいいとこなんじゃないかな?
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「Y」佐藤正午
タイムリープドラマ。"鮮やかな"グレー。
「時間を戻って過去をやり直したら…」よくあるテーマ数ある作品の中で、本作の個人的な印象は次のような:
範囲がパーソナル。あんまり救いはない。男性視点・男性願望。'手紙'の形式で;主人公の疑念に感情移入される。叙情的。
1998年から1980年へ、ある列車事故を境に人生をやり直した「知らない親友。彼が語る「トゥルーストーリー」には、25-43-61歳の男の悲恋が紡がれている。
僕はこの作品で佐藤正午さんに入りました。
確か、中学生の時に初めて読んで、大学生の時に2回目を読んだのですが、28歳になって読むとまた全然気持ち入るところが違う。
上手いなあと思うのは男の中で変わるものと変わらないもの、の筆致。
タイムリープという時間軸の小道具がいい味になっている。
これは、あれですよ、細かい設定に突っ込まず物語に没入すべきタイプ、の小説です。(4)
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とっても面白かったです。使い古された設定だとは思うんですが、のめり込みました。今の私も過去の選択肢と違う選択肢を選んでいたら、どんな人生が待っていたのかなど、考えてしまいました。
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地味で淡々と話が進んでいくが、それが非現実的なストーリーに現実感を持たせているのかも。
自分は好きです。
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不思議な魅力を感じてしまう大人のファンタジー。傑作「身の上話」と同様に、読み進めながらもいっこうに行き着く先が見えてこない。物語はこの先どこへ向かうのか?着地点はどうなるのか?そんな気持ちでページを繰る手が止まらない。ここでは、結果どうなるのか、といったことは問題ではない。読者の興味を引き付けて離さない、「身の上話」と同様のこの手法に僕は魅せられた。日常の中のおとぎ話といってもいい。SFといってもいい。くらいの、大人のファンタジーである。
僕なら両親を救いに1両目へは行きませんけどね(笑)
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この手のものは大好物なので色んな映像作品も観ている。
その上で本作は文句なしに面白い。
ただこの手の物語は集中して読まないとすぐに色んなことがこんがらがるので要注意。
与えられた情報を整理しつつ読む手を止められない素晴らしい読書体験でした。
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北村薫の時と人の三部作『スキップ』『ターン』『リセット』、浅田次郎の『地下鉄に乗って』、重松清の『流星ワゴン』とタイムスリップ物をはしご再読。そして最後がこの『Y』です。
グリムウッドの『リプレイ』に似た設定の面白さの割に物語に乗り切れないのは、登場人物の多くが人格的な問題を持っているせいでしょう(裏の主人公と言うべき北川健は誠実な人柄なのですが)。特にヒロインとなるべき女性像を裏返してしまったのは如何なものかと。
裏表紙には「究極のラブ・ストーリー」とあります。確かにタイムスリップは背景であって、主題は恋愛小説でしょう。しかし爽やかさはありません。薄暗く、ドロドロした感じです。
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05-044 2005/04/22 ☆☆☆☆
何故かここの所タイムスリップものに良く当ります。「流星ワゴン」「地下鉄にのって」、そしてこの「Y」。 タイムスリップと聞いてケン・グリムウッドの「リプレイ」を思い起こす人も多いでしょうが、この話は最も近いでしょうね。実際、この本の中でもリプレイの話題が出てきます。 18年前にタイムスリップした男。そしてそこで一人の女性のために運命を変えてしまうのだが。。。。筋立ては完全にSFですね。でもちょっとSFには分類し難い。むしろ恋愛小説なのでしょう。 なかなか面白かったですね。次はどうなるのか知りたくて、次々とページをめくらさせる小説でした。
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『僕の話を聞くとき、決して君は余計な口をはさまなかった。気休めや、慰めの言葉も吐かなかった。いい加減に忘れてしまえと短期に決めつけることもなかったし、ありきたりの、「どんな過ちも時が解決してくれる」式の忠告でお茶を濁すこともなかった。
「話してみろよ」
と、会えば必ずきみは言って、僕の話の聞き役を飽きずにつとめてくれた。』
「お父さんは確か、鉄道に勤めておられたんだよね」
「JRの前身のね。知らないかもしれないから教えてあげるけど大昔には国鉄って呼んでたのよ。それで秋間くん、この百年ぶりの電話はいったいどんな風のふきまわしなの?」
「実は、高校の卒業アルバムを見てみたい」
「いま卒業アルバムって言ったの?」
「言った。高校の卒業アルバム、それを見てみたい。いや、その前にきみに見て確かめてもらいたいことがある」
「あたしたちがあの高校を卒業したときに、記念に作られたアルバムのこと?」
「うん」
「うんって、秋間くん ー あたしたちがあの高校を卒業したのはもう二百年ほど前よ」
「いま思い出したけど、秋間くんのご両親はふたりともNTTでお仕事されてたんじゃなかった? ご健在?」
「浦安に建てた家にいまも僕の兄夫婦と暮らしてる。知らないかもしれないから教えてあげるけどNTTは大昔には電電公社って呼んでたんだぜ」
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生きていればもう取り返しのつかない場面がいくつもある。
そのどれかにもし戻ることができるなら。
佐藤正午が描いたタイムリープは甘酸っぱい青春模様ではなく
もう取り返せないものへの失意と疲労が滲んだ切実な願いの物語。
その現象が起きたとき、運命にYの文字が浮かび上がる。
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この本から感じたことは、
・人生の岐路は必ずあるが、実は今の現実を受け入れ、それをどのように生きるかを決意することが大切であること。
(タイムマシン的な小説や映画がそうであることが多いように、自分の都合の良いように現実を変えることは、結局は難しいのではないかと思います)
・人の縁があるということ
(「誰かにとって誰かは変えることができない」・・というような言葉が出てきます。両親も妻も子供も友達も自分にとって、大切な縁で結ばれているように感じました。自分の縁が結び付けたものなのでしょうね)
※再度の答え合わせは大好きな場面です。最後はとても面白かった。
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どこかで読んだような、映画で見たような、既視感を感じる内容。
でも内容よりも、この主人公の苛立ちを隠しもしない物言いが成熟してなくて生理的に受けつけない。こんなイヤな主人公いたなあ、確か「鳩の撃退法」の精神年齢中学生の主人公。
と、思ったら同じ作者だった。