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一般市民に限らず大小に関わらず兵器による犠牲が出ることに強く反対する。その上で起こっていることの背景に何があるか知るのに大変役立つ一冊だった。
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武器供与でロシアを後方支援する中国。勝手に戦費と武器提供で弱体化するアメリカ。
長期化すればするほどその見方も正当性が増してくるのは間違いなさそう。
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ロシアとウクライナの間で起こっている戦争について、普段テレビのニュースを見ているだけではなかなか見えてこない視点を授けてくれる一冊。
情報にはそれを提供する側のバイアスが意図的にせよ無意図的にせよかかっている。
改めて、様々な意見をもつ人の意見に耳を傾けることの大切さ、議論することの大切さを感じる。
共通の敵をつくることこそが人々を団結させる一番の近道なのかも知れない。それは小学校の教室でも、国家でも…。おそろしいことではあるが。
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ほとんど西側からの情報にしか接していない我々には、何とも親ロシア的な内容(アメリカが仕掛けた戦争であり、ロシアはそう簡単に負けはしない)であったが、一々肯ける箇所は多くあった。
とはいえ、心情的には否定したい。
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今回のウクライナ侵攻や、世界史の考え方について、新しい考え方を知った。著者のトッド氏はフランス生まれの家族社会学者。
題名の示すところは、2014のクリミア併合以降、アメリカとイギリスの軍事援助で指導と訓練がなされ、脆弱だったウクライナ軍は強くなった。侵攻が始まってからはアメリカの軍事衛星による支援がウクライナ軍の抵抗に決定的に寄与している。こうなると、「我々はすでに第三次世界大戦に突入した」とトッド氏は考えている。
また、本来、この戦争は簡単に避けられたと言う。
アメリカの政治学者ミアシャイマーは「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない、というロシアの警告を無視したことだ」「ウクライナはすでにNATOの事実上の加盟国だった」と述べ、「NATO拡大がロシア国境にまで拡大することはロシアにとっては、生存にかかわる死活問題だ、という主張をロシアは繰り返し強調してきていた」・・というミアシャイマーの考えと同じ考えだとする。ロシアの国境保全に関してロシアを安心されていれば、何も起こらなかった、という。・・う~ん、そうは問屋が卸さないのが人間関係、その総体の国家関係なのでは?とも思うが・・ 難しい。
そして、「ウクライナに兵器を送るべきだ」「ウクライナ兵は最後の一人になるまで戦うべきだ」などと西側諸国が声高に叫ぶことがいかに冷酷か、これに気づいていない。この戦争にブレーキをかける要素は、人口減少、である。これはロシアでもウクライナでも西側でも同じで、「兵士の命の価値の高さ」へ意識が向けば、人々に理性をとりもどせるだろう、としている。・・では今ウクライナに兵器が送られなくなったら、それはそれで壊滅してしまうのだろうし、これも難しい問題だ。停戦交渉で互いに接点をみつけられれば・・
・「文芸春秋」2022.5月号に「日本核武装のすすめ」2022.3.23収録
・2022.4.20収録
・「Aspen Revier」2017.3.15
・「Elucid」2021.11.22
メモ
・トッド氏は40年前に家族構造と政治経済体制(イデオロギー)は一致するという研究をした。
「外婚制共同体家族」(父権が強く妻帯兄弟が父の元に同居。兄弟は平等)こういう家族形態のところで工業化していなかったところが共産主義をとった。ロシア、中国、ベトナム
「広義のロシア」の中心部はロシア(大ロシア)、ベラルーシ(白ロシア)、ウクライナ(小ロシア)。ベラルーシとロシアは外婚制共同体家族だが、ウクライナは核家族社会。ソ連時代、農業集団化はロシアではさほど苦労せず進められたが、ウクライナでは難渋しホロドモールの悲劇を生んだ。ピラミッド型社会のロシア人からすると、ウクライナ人は「自分勝手で、アナーキーで、ポーランド人みたいだ」と見える。
ベラルーシのルカシェンコ大統領も独裁的だが、ロシアもベラルーシも(その家父長的家族形態が源泉にあるので)社会自身が強権的な指導者を求めている。
・ロシアは孤立していない
この戦争は「西洋の民主主義対ロシア中国が代表する専制主義」の構図で捉えられているが、「父権制の強度」で見ることもできる。侵攻に対し、「非��して制裁を科す国」は米、欧、日、韓という広義の「西洋」で、それ以外は静観である。それらの国は父権制が強い。「人類学」と「地政学」は驚くほど一致する。
・日本とドイツは「直系家族社会(父権強度1)」である。~「核家族社会(父権制強度0)」と「共同体主義的父権制社会(父権強度2~3)」の中間に位置する。トッド氏はドイツと日本、特にドイツは「西洋の国(核家族社会)」のふりをしてきた、と見る。ドイツと日本が「西洋世界」に所属している(=西洋の国であるふりをしている)というのは、人類学的な基盤ではなく、第二次世界大戦で敗北してアメリカに”征服”されたため。
・ウクライナで戦っている外国人兵士の多くはポーランド人とラトビア人
・なぜ中国よりもロシアが憎悪の対象になったのか
ヨーロッパ人にとって、ロシア人は人種的な外見は自分たちと同じなのに、自分たちと同じ考え方をしない。一方、中国人はアジア人で、そもそも我々(ヨーロッパ)と同じではない、という前提がある。
2022.6.20第1刷 2022.7.30第4刷 図書館
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ウクライナとロシアの戦争の本質が書かれています。読めば、ロシアに対しての見方が少し変わりました。戦争は絶対に許されない。では、なぜロシアはウクライナに侵攻したのか?その背景を知ることができます。読む価値ありです。
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我々には西側のウクライナ情報しか入ってこないが、この著者の冷静な視点は新鮮である。ロシアを追い詰めて戦争を始めさせたのは、真珠湾攻撃を思い起こさせる。必読の書である。
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本書の主張は、元米空軍軍人で、現在、シカゴ大学教授の国際政治学者ジョン・ミアシャイマー氏の説に基づいて展開される。曰く、
「いま起きている戦争の責任は、プーチンやロシアではなく、アメリカとNATOにある」ということです。」
今、これを声高に言える人は少ない。
でも、意外と、ストンと腹落ちするのだった。
その他、腹落ちした箇所を以下に;
「要するに、ヨーロッパとロシアの接近、日本とロシアの接近 — ユーラシアの再統一 — は、アメリカの戦略的利益に反するのです。そこで平和的関係が築かれてしまえば、アメリカ自身が“用済み”になってしまうからです。」
「「世界の安定にアメリカが必要」というレトリックが真に言わんとするところは、「世界の不安定がアメリカには必要」ということなのです。」
著者のヒトトナリをよく知らない。トンデモ本の類なのかもしれない。そこは要注意だ。
でも、
「ちなみにソ連邦が成立した1922年以前に、ウクライナも、ベラルーシ―も「国家」として存在したことは一度もありません。」
そんな小さな国が、今、国家として経済的に破綻しつつも、軍事的に成り立っている悲劇を思うと、イタタマレナイ。要は、武器を与えられて”人間の盾”となって、アメリカ・イギリスに代わってロシアに立ち向かわされているのだ。
著者もこう記す。
「現在ウクライナの人々は、「自分の国のために死ぬこともできる」と見られていますが、この戦争が、ウクライナの人々に「国として生きる意味」を見出させたと言えるかもしれません。実に悲しいことです。」
ウクライナ人自身も、これは何かおかしい!?と気づかないといけない。いや、気づいているからこそ、25%もの人口が国外退去しているのか?! もう、そのこと自体が国家として破綻している証左でもある(なのに軍事的にロシアとタイマン張れている異常な状態)。
本当の原因、諸悪の根源を、もう一度改めて考え直してみてはどうだろうか?
そんな思いに駆られる一冊。
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西側の情報しか入らない日本だからこそ読むべき本。
とても読みやすく数時間で読めるので、ウクライナが正義でロシアが悪と考えている人に読んでほしいです。
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ウクライナ問題について、アメリカやイギリスの問題が大きいと述べている。
メディアではロシアやプーチン大統領に対する批判が多くウクライナを被害者と扱うことが多いが、それとは違う視点を持つことが出来てよかった。
世の中、単純に加害者と被害者、善と悪に分けることが危険であることを改めて教えられました。
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ロシアのウクライナ侵攻に関するニュースは毎日入ってくるが、フラットな目で見ると、単純に「プーチンの狂気」だけが原因とは言えないことが分かる。勿論、国連決議ではロシアを非難する国の数は多いものの、実はロシアをシンプルに非難する国は、西欧の一部だけにすぎないことに注意を払う必要がある。
特に「アメリカがウクライナ人を盾にロシアと戦争をしている。自国領土から離れた場所で戦争を行うのが常套手段」「戦争ビジネス」という表現には納得できる。
そして、実は「西欧社会が常に理想像であり先進的」という考え方が誤りであることを、面白い指標を用いながら指摘している。過去に共産主義を受け容れた国々の家族構成、宗教、肌の色など、新たな切り口が提示されている。
日本にいると、どうしても「西欧」の立場から見たニュースばかりを目にするもので、そのコメント欄まで読んでしまい、賛同しがちである。実は、世界を広く見渡せば、この戦争を冷ややかに見る国、あえて距離を置いている国など、各国の思惑や立場が微妙に異なっており、第一次世界大戦のときに類似した状況であると筆者は指摘している。
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ロシア対ウクライナの戦争だと思っていたが、実際はもっと複雑であり、あらゆる国を巻き込んでいる。西側諸国の私たちに欠けている視点を突きつけられたように感じた。
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戦争を仕掛けた方が悪いのは確かだが、今の日本には欧米とウクライナからの情報がほとんどであり、何となくロシアは悪、アメリカは善と言うような色分けがされているが、本当にそうなのだろうか、と考えさせられる内容であった。確かに第二次世界大戦後に常に戦争をしてきたのは米国だった。
ソ連崩壊時にNATOは東に拡大させないと約束したと言うが、これは合意されたものだったのだろうか?これが真実であるならば、確かにNATOの責任を問われる事になるだろう。
思うに、ソ連崩壊のドサクサにウクライナとの国境が決められた話は、日本の敗戦のドサクサに「李承晩ライン」が引かれてしまった話を想起させる。それを考えると、クリミア併合も少し理解出来るような気もする。
【追記】クリミアは元々ロシア領だと主張するならば、北方領土は返還するべきだ。
いずれにしても、早期の停戦を願ってやまない。
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ウクライナは善、ロシアは悪、は果たして本当だろうか?テレビニュースしか見ていない人たちはそれ以外の判断材料を持っていない。しかし限られた、そして一面しか見ていない中でどれだけ正確に真実を見極められるだろうか。
第三次世界大戦がすでに始まっている、とのエマニュエルドット氏の言葉は衝撃的てはあるが、本書を一読すれば頷ける点は多い。
ウクライナにいるネオナチの存在。
今回の戦争が始まる前から、ウクライナ東部で内戦が始まっていたこと。
ウクライナの背後にいるアメリカとイギリスの存在と、その目的。
陰謀論で片付けられられてしまいがちな内容ではあるが、綿密な調査と研究に裏付けられた内容は説得力をもつ。
賛成反対様々な多様な意見や考えに触れる中で真実は見えてくる。
陰謀論と切り捨てず、何を語っているかを聞く耳をもつことが真の平和へと繋がるはずである。
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エマニュエル・トッド氏の新刊ということで購入。
読了後と感想として、ウクライナ-ロシア問題について、ニュースで言われていることとは異なる見方を理解できて良かった。
今回の戦争におけるアメリカ-EU-ロシア-アジア各国の関係性と背景がよく分かり、多面的にウクライナ-ロシア問題を捉えたい人には、おすすめ。
印象に残ったのは、以下の通り。
(特に、ウクライナ戦争の人類学は、印象深かった。)
・現在の英米は自由民主主義とは呼べない。
・リベラル寡頭制陣営vs権威的民主主義陣営
・高度な軍事技術よりも兵器の生産力
・軍事支援でウクライナを破壊している米国