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表紙とあらすじで「これ絶対好きなやつ!」と思った。
間違いなかった-。
江戸が終わって十数年というところか。
大阪の元揚屋の料理屋に居候することになった幽霊絵師と、胸を患ってやけに夢を見る料理屋の娘が出会う不思議な絵と事件たち。
いいなー、これ。
シリーズ続いて欲しい!
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旅籠に居候する怪異が見える絵師と怪異に繫がる夢を見る旅籠の跡取り娘。
二人が絵にまつわる怪異を紐解き、昇華させる短編集。
旅籠に取り憑いた守護霊のような、娘の実父である若女形の心残りも汲み取られ、落ち着きの良い結末となった。
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夏に読むのにふさわしい怪談かと思ったが、なにやら肩透かしをくらったような読後感だった。
時代が明治に変わった頃、大阪の料理屋「しの田」のひとり娘・真阿と、そこに居候する絵師・火狂が遭遇する怪現象を綴る8篇からなる連作短篇集。火狂は「幽霊絵」が人気の絵師だが、実際に“なにか”を視る能力をもっているらしい。
うーん、ぼくが読みたかったものと、近藤さんの書きたかったものがずれていたとしか思えない。これはこれで楽しく読んだが、怖さはまったく感じなかった。
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幽霊絵師火狂が描く掛け軸の絵がもたらす様々な怪しい(妖しい)事件。彼が居候している料理屋の娘真阿の夢がその事件の鍵を握り、人々の禍々しい有り様を解いてゆく。どこか人を惹きつける幽霊絵師火狂や思春期を生きる真阿の姿がとても印象的。江戸から明治へと大きく時代が移ってゆく中での人々の生活も土台になっている素敵な一冊でした。
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短編のような話の展開になっているので、読みやすいと思います。明治なりたて頃の京都、主人公は料亭の娘、真阿で身体が弱く家に籠もっているところに、幽霊絵師の火狂が居候してくる。母は娘いるからと居候に反対だが、店主は火狂の絵は人気あるから、それを見るために客くるし、部屋は余ってるし、食べ物は賄いで良いから損はしないと。そんな状態なので同じ家に住んでいても自由に会える訳ではないけど、この世のもの以外が見える(らしい)という感覚から繋がり始める二人。
章が進むにつれ、二人の生い立ちなど少しずつ分かっていくのや、二人が心通い合わせる様が面白かったです。
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有名な幽霊絵師と言われる「火狂(かきょう)」大阪のある料理旅館の二階で居候することになる。
その旅館には真阿という一人娘がいる。
火狂の描く絵は、怖くて美しくて、そして火狂には、普通の人が見えないものや気配を感じているようだ。
真阿は真阿で、予知するような夢を見たり、火狂の絵の真実を見抜いたり、いつしか一幅の絵を巡って繰り広げられる謎を解いたり、自身の複雑な生い立ちについての謎を解いてもらったり、大人と子供ながら立派なコンビとして、活躍する。といってもそんなに華々しいものではないが。
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料亭に居候することになった絵師と料亭の一人娘のお話。ホラーというほどでもない、ちょっとほんのりとした怖さと不思議な短編集。
なかなかに良い雰囲気のお話が多いですね。各話共通して登場する人物が概ね善人なのでちょっと怖かったり嫌な話であってもそこまで暗くなっていないのがいい塩梅。ただ一編一編が結構短めなのでさらっと終わってしまうのが残念。もっと読み応えのあるボリュームのある話が好みではあるんですが・・・いやでもこれくらいあっさりとしていったほうが各話の余韻を感じやすいのかもしれないな。。。
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筆のみが知る
近藤史恵
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料理屋の娘の真阿と、その料理屋に居候する絵師の興四郎。
真阿は両親に「体が弱いのだから部屋から出てはいけない」といわれて育てられてきたけど、とても好奇心旺盛な女の子。
興四郎は火狂という雅号を自分につけ、ぞっとするような幽霊絵を描くという人なのに、とても人柄が良くて真阿にも周りの人にもとても親切。
怖い夢をよく見て、幽霊も出てきて?ホラーっぽいのだけど怖くない。人が亡くなってた(なら、この前来た人は?)って言う場面ですらほのぼのと感じてしまったり、安心感さえ与えられた。
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-座敷小町-
興四郎と真阿の出会い。真阿がよく見る火事の夢、部屋から出ては行けない謎。
-犬の絵-
犬が何故夢に出てくるのか。真阿には悲しそうな表情を見せるが、犬の絵を置いて行った男は犬に食いちぎられる夢を見る。
-荒波の帰路-
土佐で手に入れた錦絵を手放したい男。男と真阿は「帰りたい」という夢を見る。興四郎は土佐へ。真阿が男の部屋に飾った興四郎の舟の絵は...
-彫師の地獄-
その彫師は興四郎の絵を彫りたかった。彫師の兄弟子らしき男が彼に絵を書いてやって欲しいと頼みに来る。版下絵を渡すが、一向に連絡がこない。
-悲しまない男-
妻が亡くなったのに悲しいかどうかが分からない自分は、息子を育てる自信がないという男。実は子供の頃に親に売られていたという過去があった。
-若衆刃傷-
興四郎の絵には振袖を着た少年が描かれていた。その絵を頼んだ女性は、絵の少年に似た男に殺されたと、女性の夫は言う。絵の少年は若き日の夫だった。
-夜鷹御前-
元藩のお抱え絵師だった男は夜鷹を描いた絵を売りたいと言うが、その絵は持ち主に不幸が続き戻って来るという。自らを不幸にしているのに絵を手放せない絵師と、夜鷹には不相応な打ち掛けを着ている絵の女の謎。
-筆のみが知る-
興四郎が病に伏せる。赤ん坊を背負い怒りながら不動明王を描く女性や女形役者の舞台の夢を見た真阿。興四郎の部屋で筆を見つけ供養しなければと感じる。興四郎も真阿と同じく辛く重い過去を背負っていた。
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近藤史恵さんのミステリーなのに心が温まる系短編小説がとても好き。パ・マルとかシャルロットとかとちょっと似てるかな、内容全然違うけど。
2022/10/01 読了(図書館)
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幽霊絵師として名をはせる飄々とした大男と料理屋のひとり娘が不思議な絵を通して、さまざまな人々の想いのあり方を知っていきます。
淡々と明かされる真実のなかには、まだこの少女・真阿には辛いかもしれない人の醜さも隠れているものもある。けれど、彼女は彼女なりの感性でそれを理解し、柔らかく受け止めていく。そんな、成長しつつある少女の内面が、一見淡泊な筆致の中でしっかり描かれているのが良いなと思いました。
どちらかというと人の業を描いたものが多いですが、「悲しまない男」は温かくなれる話で、好きでした。真阿が共感して言うように、赤の他人との真摯なかかわりあいこそが、この世の中の在り方をとてもやさしいものにしてくれるのだと、そう信じたいと思いました。
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真阿ちゃんは賢い子だなぁ。
少し不思議で物悲しくて、どのお話もとても面白かった。
ぞわりのするような怖い絵、見てみたい。
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8話+序章、終幕からなるホラーミステリー時代小説短編集。
夢で何かを感じ取る料亭の少女とそこに居候の視える絵師
2人が体験するホラー風な不思議なお話。
絵師がだいぶ年上なのでそっと見守っている感じの距離感が読んでて心地よい。
ホラーは苦手という人でも読める内容だと思う一冊。
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【収録作品】序幕/座敷小町/犬の絵/荒波の帰路/彫師の地獄/悲しまない男/若衆刃傷/夜鷹御前/筆のみが知る/終幕
大きな料理屋「しの田」のひとり娘である真阿は、十二のときに胸を病んでいると言われて以来、部屋にこもり、絵草子や赤本を読む生活を送っている。
あるとき「しの田」の二階に、幽霊絵で有名な絵師の火狂が居候をすることになり、真阿は興味をもつ。
真阿の過去は辛いが、今の境遇は幸せ以外のなにものでもない。それ以外を知らなければわからないことだろうけれども。
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※
幽霊絵師 火狂(かきょう)
序幕
座敷小町
犬の絵
荒波の帰路
堀師の地獄
悲しまない男
若衆刃傷
夜鷹御前
筆のみが知る
終幕
人には見えないものが見える絵師 興四郎。
彼が描く絵は恐ろしくて美しい。
絵に込められた悲しくて切ない想いは、
ある人には恐ろしく、別の人には美しく見える。
生者と死者の想いを絵が紡ぐ、不思議な物語。
空気になって漂いながら、
違う時代を覗いてきた不思議な気分です。
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なんかちょっと馴染みが薄い時代というか、着物で生活しているけど「警察」は存在するし、行灯を使ってるけど十年以上前に遊女が消えた時代。絵をめぐる不思議な連作で、面白かったんだけどちょっと物足りなく感じた。どの短編も結構あっさりと終わってしまう。
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幽霊絵師火狂と料理屋『しの田』の娘真阿が幽霊たちの心残りと謎を解き明かす連作短編集。未練を残す者たちを絵にする火狂。絵の者が真阿に訴える真実。火狂と真阿の霊感は亡き者の魂を救う。