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いじめの描写は生々しく、読んでいて気持ちが重くなった。あまり知りたくない世界、自分や身内は関わりたくない世界だな…というのが本音。これまで「いじめにあった」と訴える人に対する自分の態度が表面的なものだったのではと考えさせられた。
あんなに酷い目に遭わされ、人への不信感でいっぱいの典子が、クラスメイトの甘い言葉に舞い上がったり、手紙を出しても一度も返事の来ない父親に夢のような期待を抱くところは、とても滑稽で、悲しくせつなく感じた。人の心って、簡単に割りきれるものではない。
物語は、典子が負のサイクルのようなものから抜け出し、典子を受け入れてくれる人と出会って終わっているが、現実は、抜け出せず、人への不信感と人を求める気持ちがさらに大きく深くなっている人が多いのではないかと感じた。
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重い話だった。
最後にこれは実際にあったいじめの訴えを基にしているというようなことが書かれていたけれど、もし本当にそうならその子はどうなってしまうのかと思った。見ず知らずのおじさんに育ててもらうなんて、現実にはありえないし、ましてや猫たちが復讐してくれるなんてもっとないから。
それから、両親や友達の目線で書いている場面が、読み方によってはいじめられる側にも問題があるように解釈されることはないのかなと思った。
何度も読み返したい、とは思えないけれども、一度読んだらちょっとわすれられない話だった。
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この表紙絵で、黒い野良猫の話だと思って借りていく子がいて(ルドルフとイッパイアッテナみたいな本かな?と)、4年生くらいで読んでしまったりする。で、読んでしまってすごく怯える。仕方ないけど、表紙はもう少し「いじめ」を感じさせる絵の方がいいと思う。ちょっと可愛すぎ。
内容は被虐待児の典子(綽名がノラ)が中学でさんざんいじめられ、姿を消すという物語。
親からも、クラスメイト・先輩からも、教師からも暴力を振るわれるノラに救いは全くない。ラストで救済をしているが(作者の良心って感じで)、実際この環境にいる子どもが、まっとうな大人になれるとは思えないので、そらぞらしい感じがする。
猫のエピソードも、鍋島藩の化け猫やポーの黒猫みたいに愛する者の恨みを晴らすため、猫が復讐するって話は許容範囲なんだけど、猫が集団でいじめた者たちをやっつけるっていうのはあまり(猫好きとしては)いい気持ちがしない。
作者はモデルとなる女の子との交流からこの小説を書いたらしいが、これがモデルの少女の救いになってるようにも思えないな。
後味の悪い小説。壮絶ないじめの話『ヘヴン』なんかを読む方がずっといい感じ。
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表紙の絵とタイトルのノラというところで、猫が主人公の可愛らしい話だと思いきや、かなり重い話。いじめの描写はモデルとなった人物の実体験をもとにしているとのことで読んでいて気分が悪くなる。後半のホラー的な展開と合わない気もする。
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ここに登場する典子は人に対する対応は逞しいけど、日記の内容は自分とそっくりでとても共感しました。内容はどこまでがノンフィクションなのかよく分からない感じなのと、猫の件が謎のままなので少し面白味に欠けるかなとは思います。