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柴田宵曲の文章はほのぼのとします。こういう明治なら好きだなあ。
とはいえ宵曲は明治30年生まれ。内容は各書物の引用という随筆の王道スタイル。実体験ゆえの生々しさがないせいでそうおもうのかな。
明治についての本というと雑学を集めたものが多いのは、それだけ体系的に捉えるのが難しいのでしょうか。
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やたら高いと思うのだが、この人の本だと迷わず買ってしまう。それだけ魅力的なのだ。この本を読んでいると、明治ってあんがい最近なんだな、と自然に思えてしまうところが不思議なような不思議でないような。
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とにかく作者の半端ない知識量に圧倒されっぱなしだった。
明治の文学、ニュース、流行や、政治の人間関係まで、作者の愛する明治時代へと、縦横無尽に私たちを連れ出してくれる。
師匠・寒川鼠骨の師匠にあたる、正岡子規やその周辺の人々の、ちょっとしたエピソードが楽しかった。
「図書館」の一節、
(図書館を利用すると、)どんな本を借りてもかならず誰かがすでに目を透していることに驚くが、そういう単純な事実も図書館を利用しなくてはわからないのだという。
これも、上野図書館に日参して、独学に励んだという柴田の素直な感情なのだろう。
じわりじわり、味のあるよい本だった。
ゆっくり一年ほどかけて読むのに適していると思う。
百年ほど前の日本の、優しい一面が見えた。