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GEはダウ30種平均に当初から組み入れられていた優良企業であった。家電から原発、メディアや映画、様々な金融機関を展開。それが現在は見る影もない状況。なぜそんなことになってしまったのか。
大きな要因の一つには、大掛かりな会計操作があげられる。会計基準というのは毎年のように変更される。その為その時点では違法な処理ではないものも多く発生する。GEでは会計担当者が新たな手法で利益を前倒ししたり、複雑なデリバティブ手法を駆使して損失を隠すような手段を考えだしたりすると高評価を得られる。例としては巨額な費用を使って制作した超大型映画キングコング。しかし予想よりはるかに入りは悪いことが明らかとなる。本来なら見積もっていた資産価値を大きく減損させなければならない。それを回避するためプレミアムDVDを発売することにして見込み利益を維持させるなど。また、日本で行っていた消費者金融レイク。日本の最高裁が過去の利息まで遡って違法(法学的には新法を遡及するのは有り得ないが…)としたため、これも本来なら巨額の見込み損失を計上すべきところ、レイクを「非継続事業」と位置付けて、その部分は投資家に開示すべき調整後利益に含めなくてよいとする勝手な独自解釈で隠蔽した。監査法人KPMGはGEの言いなり状態。それもこれも予算達成が絶対条件という社内風土によることが大きいようだ。
また、ろくでもない企業でも次々に買収して会社の資産価値を膨らましていくことも得意。結果的にキャッシュフローに行き詰まり安い価格で次々に売却せざるを得なかった。
自身の在任中だけ良ければ後は関係ないという上層部の集まりだったのだろう。実際役員は退職後も様々な利益供与を受けていた。GEの株が暴落して年金代わりに投資していた人たちには死活問題となった。株を買うなら企業の状況はよくよく厳選して分散してというのが基本ではある。
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長らく世界中の企業が経営のベストプラクティスとして認識していた総合家電コングロマリット企業のGE(General Electric)であるが、名経営者として名を馳せたジャック・ウェルチの後を継いだジェフ・イメルト時代から株価は低迷しはじめ、ついにはヘルスケア・航空・エネルギーの分社という結末を迎えた。
本書は主にジェフ・イメルト時代、さらにその後を継いだジョン・フラナリー時代を中心に、GEという企業がなぜ崩壊することになったのかを丹念に追うノンフィクションである。著者はウォール・ストリート・ジャーナルの記者であり、丹念に崩壊の様子を描いていく。
一言でGE崩壊の要因を語るのは極めて難しい。要素としては、偏重した株主至上主義による成長へのプレッシャーと偏執狂なまでにも見える自社株買いへの投資(成長投資を抑えてまで自社株に投資する必要性はどこまであったのか?)、違反とまではいかないものの極めてグレーゾーンな会計処理による利益操作、強すぎるトップダウンによる硬直的な組織風土、特にイメルト時代に行われた内実を伴わないマーケティング・ブランディングへの投資(この虚像が最も表れたのはGEがぶち上げたIndustiral Internetに特化したプラットフォーム”Predix”の無残な結末である)など、枚挙に暇がない。
そして本書が投げかけるのは、GEをベストプラクティスとして賞賛し、その模倣に取り組もうとした数多の企業や経営コンサルティングファームは一体何を得たのか、ということである。日本においてもGEはコングロマリット経営や、徹底したオペレーション力、経営人材の育成方針など、様々な観点でベストプラクティスとして取り上げられてきた。その問いを私自身も突き付けられた気がしている。
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周囲が「まずい」と認識してからの衰退は早かった。
しかし、その問題が発生し始めてからダウ工業株平均からGEの株が除かれるまでの間は約40年。
40年に渡ってゆっくりと衰退していった。
「経営者が無能」と一言で表される問題ではないでしょう。
外からは復活するかに見えたGEが、どうして衰退しまったのか、その歴史が書かれた本。
非常に読み応えがあり、読むだけなのに体力を使った。
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エジソンはお飾り、J.P.モルガンによる資金力で生まれた
どんなビジネスでも成功させる方法を知っている会社
ウェルチ
マネジメント効率 金融 ランキングによる人員削減
1980から2000年で売上5倍、株価40倍 企業買収
実質 全米7位の銀行 AAAのGEキャピタルと エジソンコンデュイット
利益平準化 本来のCP短期債券発行+GE資産の高値購入
2001年 イメルト
後継者選びを公開 営業力のイメルトへ
エンロン不正会計で 2002年 米国企業改革保成立にて 利益操作不可能に
ヘルスケア、再生可能エネルギー分野の企業買収
保険と再保険会社の売却 損失の可能性ある再保険は残す
オーガニックな成長 =既存事業の強化による成長 マーケティング復活
新たなタグライン Immagination at Work (創造するイマジネーション)
Borg 全社的ハブ機能 (スタートレックの異星人から命名)
中国市場開拓
サブプライム市場への投資
素材部門、GEプラスチックス(→Sabic) 売却
Ecomagination 自然と調和するテクノロジー ハドソン川浚渫
2008年 リーマンショック CP危機
GEキャピタルの鍵=信用のある低調達コストのCPでニッチ顧客へ貸し出し
株価 就任時38ドル→2009年1月12ドル ひと桁まで下落
NBCユニバーサル売却
2010年 ドッド=フランク法 金融システム刷新 政府の毎年のチェック
キャピタルの利益率低下
2015年 GEキャピタル売却 ~デジタルインダストリアル企業へ
GECASは残す 航空機ジェットエンジン リース 発電システムや医療機器融資
工業系事業90%へ 350億ドルの現金取得
GEデジタル 「プレディクス」センサーからのデータ分析
2016年 GEパワー 仏アルストム買収
倒産危機の会社からガス/風力タービン、送電網などの電力事業買収
子会社PSMも併合すると反トラスト法に違反
アルストムの賄賂の罰金、フランス政府の介入により買収額増加
伊アンサルドに売却するがタービン技術は上海電気に渡ってしまう
2016年 コネチカットからボストンに移転 株価30ドル越え
市場シェア獲得優先
GEパワー 将来の利益を見込んだ帳簿の操作によるサービス契約
債権のキャピタルへの売却
1株当たり利益2ドル未達
イメルト 11年間で1億6800万ドルの報酬
2017年 GEヘルスケアトップのフラナリーがCEOへ
独裁者から議論の集団へ
2機体制の自社ジェット機を廃止
世界の開発拠点を米ニスカニアとバンガロールの2か所に集約
介護保険の残滓 規制当局からの150億ドルの準備金の要求 配当金の4年分
2018年 ハーバードビジネススクールのカルプへ
株価7ドルを割り込む 1400億ドルの市場価値が消える
ボトムアップへ
運輸交通事業、石油ガス事業、バイオ医薬品事業、小計機器部門の売却
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世界の経営者必読の書 MBAのテキストとしてBest
GEの経営情報が満載で質がExcellent しかも理論的バックボーンのレベルが高い
GE個別企業の物語ではなく、「世界企業の経営」をテーマとした総合書 類書にない
経営は結局「人の問題」「CEO選抜は絶対」
1.GE版失敗の本質 ウェルチ経営に失敗の萌芽 四半期業績
M&A No.1と2 VISION無き経営管理
2.GEという優良企業の劣化過程
収益至上主義 金融事業・インフラ事業の将来利益に手を出す→ドラッグ・麻薬
ストックの毀損は✕ 取り返せない
3.エリート養成プログラム 社内MBA◎ (124)
「松下の経理社員」を連想 財務は必須 財務管理より成長戦略はいかがか
4.キャッシュフロー収支の時間軸(128)
取引新規は大赤字 メンテナンスで回収 競合を排除 ex航空機 発電所 金融
5.金融ビジネスへの依存 死に至る病
財務・金融への理解は✕ イメルダ・ウェルチ 金融業の特異さ
自動車の販売金融依存をどうみるか? 高い格付に依存
6.経営者の業績評価
事業ポートフォリオの改革
経営改革
それにしても本書の深さは素晴らしい 和書にはないのはなぜか?
4.5.
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GEのことは、仕事の一部が競合することもあって、何かとベンチマークの相手としつつも到底叶わない相手と思ってきたのに、内情はこうだった、と知って、ガッカリすることしきり。
違法ギリギリの会計手法については、JPモルガンがせっせとレポートを出していたので、新しい話ではなかった。やはり、キャッシュフローが大事という当たり前の真実に行き着く。
Oil & Gasの分野のことは、あまり良く分かってなかったので、為になった。
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最近は個別株に投資することはほとんどないので気が付かなかったが、GEがすごいことになっていて驚いた。ジャック・ウェルチの頃から比べると株価は10分の1だし、無配だし、いったいどうなちゃったの?という感じ。
前任者が悪かった、というのは簡単だし、イメルトも就任四日目で911に遭遇したり、不運な面も多々あったのだろう。これからはガスの時代だ、とばかりにシェールガスやオイルに大きく投資するなど読み違えた部分も大きい。が、一番は金融に頼りすぎたところなのだろう。GEは家電メーカーでなく、GEキャピタルを中心とした金融業だ、と以前から言われていた通り、GE本体は将来のメンテナンスなどを約束して(実際は負債なのだが負債としては計上せず)売上を上げ、CPなどをGEキャピタルを介して売りさばいて手に入れた現金で安定した配当を出していたことなどが詳細に描かれる。
イメルトはGEのPERが低いのは金融業と見られているからで、これを製造業、ゆくゆくはテック企業並みの高PERとして市場に認めさせることで株価の上昇を企てたがうまくいかず、こうした現状を比較的正直に公表したフラナリーの時代に一気に暴落してしまう。
GEの企業統治上の問題、取締役会長とCEOが同一人物であるという形態もCEOに権力が集中しすぎて正しい軌道修正ができなかった一因として考察されている(実際、エンロン以降、この統治構造は米国から姿を消している)
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ビルゲイツおすすめというのでTSUTAYA三軒茶屋で購入。東芝ってどこまでもGEをベンチマークしてたからあんなことになったんだなという感想を持ちました。私も企業内教育システムでGEを手本にしたものを受ける機会があってそれはとてもためになった。つまり、ちゃんとしたものも間違える。ということが私は言いたいのか?predixの紹介をしたプレゼン見て全く何がいいのか理解できなかったことを思い出したり。
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時系列を前後させていることで、ストーリーがかえってわかりにくくなっている。また同じことが繰り返し別の文脈で出てくるが、冗長に感じる。内容に比してページ数が多すぎる。
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ウェルチCEO時代、GEという巨大コングロマリットがどのように構築されたか。従業員が受けていた苛烈な業績へのプレッシャー。その裏にあった会計トリック。
イメルト時代の経営方針の迷走。コーポレートガバナンスの欠如。
などなど、名声の裏で機能不全に陥っていたGEの実態を描く衝撃作。
日本のコングロマリット、東芝などに関心のある投資家も必読です。
コングロマリットがなぜディスカウントされるか、これを読めば感覚的にわかると思います。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12771959472.html
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GEの凋落が生々しく描かれていて興味深い。リーダーのあるべき姿やステークホルダーからの扱われ方等勉強になる部分もあった。
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GEは日本の総合電機メーカーが目標にしていた会社。
しかし、GEの凋落と日本の総合電機メーカーの凋落が同時期に一致しているのは怖いくらいだ。
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トップが絶対の権力を持ちすぎることで
組織が崩壊していく。
でも、その裏にあるのは、利益を最大化したい
投資家からの過度なプレッシャーなのではないか。
トップになることで、高額な報酬が待っている。
激しい競走に耐え抜き、トップに立ち、
自分の権力を絶対化する。
取締役会会長になることで、取締役会を
機能不全とし、
外部に対してはうまく行っているように
見せる。
こうすれば、誰からも文句は言われない。
そのために、GEキャピタルは、
会計処理のための、道具をさまざなに提供してきた。
いざ、これが問題視されると、
取り繕うために、
キャピタルの売却
アルストムの買収
デジタルの立ち上げ
を行った。
が、
売却できなかった介護保険事業のリスクを隠蔽
多額の買収金のわりに、再エネなどにて
思うように上がらなかった売上
苦肉の策としての会計処理
中身がなかったプレディクス
という結果。
これを受けてCEOになり、
14ヶ月でおいだされたフラナリー氏は、
かわいそうなのかも。
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盤石だと思われていたGEの内実が興味深い。収益を極端に追求する様子は良くも悪くも米国企業を感じる。デジタルに舵を切った時は外から見た際には素晴らしい戦略かと思っていたが、実態とのギャップが激しかったことを理解した。