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みなとみらい地区や山手、旧東海道各地など色々出ているが、それら有名どころは知られていることが多い。やはりディープというなら野毛から縁起系町名(黄金・日の出・曙・寿…)、伊勢佐木辺りが本命だ。黒澤の「天国と地獄」ではクライマックスに黄金町に入るが、ロケはそこでは行われていない。なぜなら本当の黄金町は映画の撮影など不可能な混沌を極めた場所だったから。警察もうかつには入れない麻薬王国で、いざ手入れが入ればブツを窓から下の大岡川に投げ捨てる。そしてちょんの間の青線は非合法の私娼窟となっていた。自分も当然20世紀には近寄ったこともなかった場所。しかし、現在はなんかアートな街に変貌し、危険な風ではなく綺麗なカフェがならんでいる…うーん。
フランス山の母子像。私が子供の頃1977年。当時住んでいた隣の緑区荏田の住宅地に米軍のファントム戦闘機が墜落。20軒余りが全焼した。たちまち現場には警察や米軍が押し寄せたが、負傷者がそこかしこに横たわっていても警察らは現場の封鎖や機体の保持を優先。負傷者は見かねた地域の住民が手分けして病院に担ぎ込んだという。
燃え盛るエンジンが直撃した家では3歳と1歳の男の子が亡くなった。母親は重度のやけどで長期入院したが奇跡的に退院。しかしそれまで隠されていた二人の子の死亡を伝えられ、一年後くらいに31歳で衰弱死してしまう。海の無い緑区で子供たちは度々海が見たいと言っていたこともあり、港の見える丘公園にほど近い場所に母子像が作られた。当然経緯を書いた説明板を設置しようとしたが、行政は都市公園法に抵触するとして許可しなかった。恐らくは米国への忖度であろう。それから30年近く経った2006年にようやく簡素な説明板が設置された。これはこの国の行政のディープさを的確に表している。
巻末のクレイジーケンバンド小野瀬さんの対談も面白い。まだ本牧がいけてる街だった頃、東京ナンバーの車はひっくり返されたりするので、東京から遊びに来る人は横浜の友達の家で車を乗り換えて本牧に来ていたとか、米軍住宅の桁違いの裕福さとか懐かしい話も満載。
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タイトル、表紙の絵より受ける印象と違い、非常にしっかりとした真面目な本。
参考文献の量も多く、また文芸関係への言及も多い。
ノスタルジーも含め著者は年配の方と思いきや、意外と若いのねー。
横浜は開港以後の、特に震災、戦災、戦後、米軍統治などといった現代史と直結した街であり、生きた人々の、特に影の強い街だとの認識を強めた。
歩いたことのある街も多く、記憶と照らし合わせて楽しんで読むことができた。あらためてこの本を片手に横浜の街を歩きたい。
所々左右を説明する位置関係に関する説明に違和感あり。
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どんな町にも歴史はあるが、
港町・横浜の歴史は、
本当にディープ(深い)としか言いようがない。
アメリカ、中国、朝鮮。
さまざまな国の人々が
出入りしていたからこそ。
関東大震災時の朝鮮人虐殺、
米軍機の墜落など。
その分、悲劇も多い。
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知ってる話しも知らない話しもあって面白かった。あとがきにある横浜線沿線、相鉄線沿線、田園都市線沿線、それぞれのまちの話しも読んでみたいな。