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円満字さんのファンなので、はじめは前にも読んだことある内容だなあと思いながら読んだ。
中学生向けの本だから、わかりやすいよう、とっつきやすいよう、文体にも気を配って書かれている。
しかし、簡単で知ってることばかりだったかというとそんなことは全くなく、通読すると、やっぱり「なるほど!」と思うことが多かった。さすが。
国語の教科書に書いてあるようなこと(漢字のできかた:象形・指示・会意・形声、二字熟語の構造:修飾語タイプ・目的語タイプ・類義語タイプ・対義語タイプなど)の説明もスッキリとわかりやすく、面白い。
私が一番面白かったのは、なぜ同音異義語(こうしょう、など)が多いのかというところ(そのメリットとデメリットも)。
同音異義語の大量発生は音の数が圧倒的に多い中国語から日本語になる上で避けられないことだったが、「そのことによって、日本語が、文字によって表される情報に頼りがちな言語になったことは否めない。音読みがよく使われるオフィシャルで抽象的な内容をあつかう文章の場合は、漢字に依存する度合いが特に大きくなる。」(P96)
確かに、耳で聞いてわからずに、字面を見て納得することは多い。(幼い頃から全盲の人はどう理解するのだろう。点訳する場合はどうするのだろう、と気になった。)
日本人が漢字に様々な工夫を加えて日本語にしていったことが伝わり、「おわりに」ではしみじみと感動した。
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〇今まで、訓読みが中国語の翻訳みたいな味方をしたことがなかったので、おお!と思った
和製中国語の二字熟語が面白い。クイズにしたいな!
中国語の仕組みを熟語で知ることが出来るのも、そういや漢文なんかそえよね~と新しい目線。
漢字ライフが楽しくなりそう。
熟語の意味なんかについては、自分は組織だって理解してたわけではなく、活字中毒者の力業での理解のようである。
◎はじめに
中国語をあらわすものだった漢字が、どのように日本語を書き表すものになっていったか
漢字はタイムカプセル!
1:「魔法の剣」って何て読む?
・漢字の誕生と日本への伝来
「甲骨文字」
・表音文字、表意文字、表語文字
中国語としての漢字、日本語としての漢字
・音読みと訓読みの住み分け
音読みはオフィシャルな場で
・「重箱読み」と「湯桶読み」
「国訓」と「国字」
※漢字の成り立ち①古代文字の移り変わり
2:「飛び箱」と「跳び箱」、どっちが正しい?
・漢字は10万以上ある?
常用漢字は2136字
・異字同訓の使い分け
←音読みの熟語を考える
←部首に着目する
・日本語を中国語に翻訳する
・言語での異文化体験
・ことばの世界に明確な“ちがい”は存在しない
※漢字の成り立ち②象形と指事_絵から漢字を作る
「六書」
“象形”…絵から直接漢字を作る
“指事”…目に見えないものを記号のように表す
3:「信長」はどうして「のぶなが」と読む?
・子どもの名付けと漢字
「人名用漢字」
・「信」を「のぶ」と読む理由
司馬遷『文選』…伸眉
→『漢書』…信眉
→平安時代『類聚妙義抄』…信の意味
・名前に二重の意味合いをこめる
のぶなが…寿命が伸びて長くなるように
信長…信頼されてトップにたつ
・固有名詞を漢字で表す
→音読みを使って当て字
→固有名詞が表している意味を漢字に当てはめ、訓読みを使って表す
・万葉仮名とひらがな、カタカナの誕生
万葉仮名…漢字の意味ではなく音読みで当て字
・呉音(漢音以前)渡来人がもたらした
・漢音(8~9世紀頃)遣唐使がもたらした
・唐音(漢音以後)
※漢字の成り立ち③会意_意味の掛け合わせで漢字を作る
4:「こうしょう」と読む熟語はいくつある?
・最も長い読みの漢字はなに?
漢字の意味を日本語で説明したものを専門的に“訓”とよぶことがある
・音読みは訓読みにくらべると少ない
・筆者調べでは「コウ」の音読み漢字が1番多い
2位は「ショウ」
・同音異義語
「コウショウ」20以上
・日本語と中国語の発音比較
日本語 母音8 子音14
中国語 母音148 子音21…平安時代の中国はさらに発音が複雑だった
・もともと中国語だった音読みが、日本語になった
歴史的仮名遣いから、現代仮名遣いへ
・表意文字の欠点
文字を見���いと意味が伝わらない
※漢字の成り立ち④形声_読み方本意で漢字を作る
…漢字の8割
5:「安心」と「心配」の違いは?
・二字熟語の意味を考える
訓読みで考える他、意味を知っている音読みの熟語を利用する
・漢字と漢字のつなぎ合わせ方
“修飾語タイプ”
“目的語タイプ”
“主語述語タイプ”
“類義語タイプ”
“対義語タイプ”
他、二つ目の漢字の意味を否定するもの、省略語タイプなど
←タイプを知っておくと初めて出会う熟語でも意味が推測しやすくなる
・日本語と中国語の文法の違い
音読みで読む熟語は、中国語の熟語だったもの
“修飾語タイプ”で見ると、修飾語は被修飾語の前に置かれる
“目的語タイプ”でみると、動詞とその目的や対象となることばの順序が、逆さま
・和製中国語の出現
出張、立腹等
安心は元・中国語、心配は和製中国語(失敗した例)
・音読みの二字熟語と文明開化
英語を和製中国語訳→中国に逆輸入
・漢字の造語力
※漢字の成り立ち⑤部首と漢字の意味
◎おわりに_漢字が日本語になるまで
漢字が日本に伝わったのは1600~1700年前
まず、漢字を日本語に翻訳する作業から。
発音の違いが大変だった。
日本語を書き表すために磨き上げてきた漢字は便利でもあり不便でもある矛盾に満ちた存在。
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言葉の成り立ちには興味あり。言葉遣いには一家言、みたいなスタンスでいたい。それにしても、”こうしょう”。カウとかコウとか、シヤウとかシヨウとかセウとか。現代語での発音は同じでも、古語とか中国語にすると、それぞれ違ったものになるんですね!そんな目で辞典を引いてこなかったから、正直目から鱗でした。こういう新たな知識が嬉しいですわな。
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漢字が日本で使われるようになった経緯を丁寧に説明した本だ.万葉仮名を発明し、その余韻が歴史的仮名遣いに残っているのは、日本人の創意工夫の産物だと感じた.さらに日本で作った漢語を中国が導入することなど、興味ある話が楽しめた.
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昔の人の努力や工夫があって今の日本語がなりたっていることがよくわかりました。
中国語の勉強をやりかけて怠けていましたが、再開してみようかと思います。
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「ことばの奥深さにせまるタイムトラベルに出かけよう!
かつて中国から日本に伝わった漢字は、日本語にとってかなり不便な文字だった。日本人はどう工夫し使いこなしてきたのか。音読みと訓読み、同じ訓読みをする漢字、名前の漢字、同音異義語、二字熟語の5つのストーリーにのって、タイムトラベルを始めよう!」
著者:円満字二郎(えんまんじ・じろう)
1967年生まれ。大学卒業後、出版社で国語教科書や漢和辞典などの編集を担当。2008年に独立。現在はライターとして、漢字の魅力をわかりやすく伝える辞書やエッセイなどを執筆している。著書に『語彙力をつける 入試漢字2600』(筑摩書房)、『漢字ときあかし辞典』『漢字の使い分けときあかし辞典』(以上、研究社)、『難読漢字の奥義書』(草思社)など多数。
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中国語の真似をしてできた音読み、中国語を知らない人にも分かりやすいようにした訓読み、そして新たに生まれた日本独自の音読みや日本独自の漢字。
歴史系書物に弱い私でも漢字の歴史を興味深く思えた一冊。
「外国語を学ぶことは、ものごとのとらえ方のちがいに触れる異文化体験」は、確かに。
英語以外にも外国語に触れていきたい。
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漢字に興味を持った子ども向け。
文体が易しいので興味があれば小学校高学年から読める。
大人が読んで、漢字練習に嫌気がさした子どもに豆知識として教えてあげるのも良いと思う。