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2022年67冊目。264ページ、累計18,127ページ。満足度★★★★☆
最初は定年者の仕事の様子を書いた本くらいのつもりで手に取ったが、60歳以降世代の消費・貯蓄含めたリアルな実態を浮き彫りにした書
同時に、身近な対人業務などの「小さな仕事」がこれらの世代の人によって支えられていることもよくわかり、現代の日本社会の現状や課題も把握できた。
おそらく、本書を読めば現役世代の将来不安も幾分和らぐと思います。
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良書。知っているようで知らない事が多かった。定年後の小さな仕事の意義を見出していると言う話はリタイア前の世代には参考になる。ただ、むしろ一番驚いたのは、入社して早々に熱意が下がっている社員が日本企業には多いという事実。そもそも日本企業に就職すべきなのかと、本当に疑問に思う。これは日本企業の生産性に関わる大問題ではないか。
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よく分析されていた。
定年を機に、責任ある重い仕事から小さな仕事へ移り変わっていくが、今後はそれが日本経済を支えることになりそうである。
自分も早く定年退職したいです。
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定年後の仕事の実態について語った話題の一冊。
個人的には定年はまだまだ先ではあるものの、2000万円問題など、多くの関心を集めているからこそ、話題になっていると感じます。
第1部では、様々な統計資料から、その実態を読み解きます。もちろん、創業経営者として活躍する人もいれば、体調を崩し働けない人もいるでしょう。しかし、ここでは、純粋なデータからその実態を明らかにしていきます。
続く第2部では、その平均的な姿として、いくつかの事例を紹介しています。ここまでなら単なる実際の姿を明らかにするだけで終わる内容かもしれませんが、本書の核心は第3部で述べている、著者が考える将来の日本の姿とその考え方です。労働供給制約時代にあって、今後私たちはどのような社会を目指すのか、どのような制度をつくり、どのような心構えを持つべきか、非常に考えさせられる内容です。定年が近い人だけでなく、若い人も含め、多くの人に是非読んでいただきたい内容だと感じました。
▼定年後の仕事の実態を丹念に調べていくと浮かび上がってくるのは、定年後の「小さな仕事」を通じて豊かな暮らしを手に入れている人々の姿である。さらに明らかになるのは、このような定年後の「小さな仕事」が必要不可欠なものとして人々の日々の暮らしの中に埋め込まれており、かつそれが実際に日本経済を支えているという事実である。
▼定年後に幸せに働き続けられる「仕事の要件」
・健康的な生活リズムに資する仕事
・無理のない仕事
・利害関係のない人たちと緩やかにつながる仕事
▼日本社会が今後目指すべきは、地域に根差した小さな仕事で働き続けることで、自身の老後の豊かな生活の実現と社会への貢献を無理なく両立できる社会である。身体的に働くことが不可能な人を除く多くの人が、定年後の幸せな生活と両立できる「小さな仕事」に従事することで、日本社会は救われるのである。
▼日本社会は小さな仕事で働き続ける人たちに対して、あまりにも冷たい社会なのではないかと私は感じるのである。また、このような消費者偏重の市場メカニズムが、働き続けるよりも、引退して純粋消費者になるほうが得をする社会を名声させてしまっているのではないだろうか。
▼日本社会が生涯現役社会を志向するのであれば、一人ひとりの労働者を大切にする労働環境を構築していくことが何よりも大切である。そして、一つひとつの小さな仕事が人々の生活を豊かにしているという事実に、私たち一人ひとりが自覚的でいなければならない。
▼いつでもどこでも便利で安価なサービスを受けたいと考える消費者の欲望に向き合い、これからの労働供給制約社会において本当に必要なサービスとは何かを真剣に考える時が来ているのではないか。少子高齢化が進むなかで労働に頼りすぎない生活スタイルを浸透させていくことが、日本社会の今後の重要な課題になってくるのである。
▼これまでの日本社会は、高齢期に働かないでも豊かに暮らせるための社会保障制度をいかに充実させるかということに、政府も個人も腐心しすぎてきたのかもしれない。残念ながらこれからの��代においては、働かないで豊かに暮らしたいという人々の願いのなかに、持続可能な解は見出だせない。そうであれば、高齢期に働き続けてもなお幸せな生活を送ることができる社会を目指すという方向性が、現代社会におけるより現実的な答えになるのだろう。そのためには、たとえ小さな仕事であっても、自身ができる範囲で働き続けたいと考える人を政策的に支援することは何より重要となる。
▼これからの日本社会は、その人の年齢にかかわらず、すべての人が社会に対して何かしらの貢献を行うことが求められる時代となる。そして、人が変わるのと同時に、社会も変わっていかなければいけない。たとえ高齢期の仕事が「小さな仕事」であったとしても、それが確かに誰かの役に立っているのであれば、そのような仕事に誰もが敬意を示し、報いることができる社会に、日本はなっていかなければならない。そのための方法論は、若い世代も含め、みなが当事者意識をもって考えてほしい。
<目次>
第1部 定年後の仕事「15の事実」
事実1 年収は300万円以下が大半
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に
事実4 減少する退職金、増加する早期退職
事実5 純貯蓄の中央値は1500万円
事実6 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」
事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数
事実8 多数派を占める非正規とフリーランス
事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実11 60代から能力の低下を認識する
事実12 負荷が下がり、ストレスから解放される
事実13 50代で就労観は一変する
事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活
事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
第2部 「小さな仕事」に確かな意義を感じるまで
事例1 再就職先で一プレイヤーとして活躍
事例2 週末勤務で会社を支える
事例3 包丁研ぎ職人を目指して独立
事例4 近所の学校で補助教員として働く
事例5 同僚、患者とのやり取りを楽しむ
事例6 幕僚監部から看護師寮の管理人に
事例7 仕事に趣味に、人生を謳歌する
第3部 「小さな仕事」の積み上げ経済
1.定年後も働き続ける人に必要なこと
2.高齢社員の人事管理をどう設計するか
3.労働供給制約時代における経済社会のあり方
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なんとも夢がないがこれが現実。
今後はもっと厳しくなってくるのではないか。
非正規雇用で働いてきて、年だけ重ねたら
悲惨な老後となる。
怖くなった。
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著者が「小さな仕事」の価値がもっと認められてもいいと主張しているが、その通りだと思う。年功序列・長期雇用という戦後の高度成長期時代に確立された日本社会の雇用慣行の恩恵を享受できた最後の世代であるバブル世代があと数年で還暦を迎えます。すべての人たちとは言えないが、平均的に財産の形成ができた最後の世代である彼らが、定年後の「小さな仕事」に過去の仕事観とは違った新しい価値を見出して生き生きと働くことは社会にとってももちろん有益なのは間違いありません。
就職氷河期世代の私から申し上げると「定年後」という言葉自体が夢のような響きを感じます。20代から30代、ついには40代においても「小さな仕事」でしか職業経験を積めなかった世代の人たちにとっては「定年後」などという発想自体持つことができないからです。本書はとても面白い内容ですが、あくまで今50代以上の大企業に正規雇用で働いている方たちの為に書かれた本だと思いました。
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大変参考になった本だった。
定年後は小さい仕事で充分。
年金額からどれぐらいの稼ぎが必要か計算する。
社会に役に立っていると言う満足感も必要。
結局役職は持ち回りでしかなく、それを自分の能力だと考えるのであれば、現実とは異なる
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定年後(いわゆる正規雇用が終わる60歳以降)は地域に貢献するような小さな仕事を通じて、高齢者は小さな幸せを得ながら働いているという現実を数々のデータを示しながら説明している。
著者は経済活動における研究者的な属性が強いためか、個人的には興味、関心を抱きにくい日本社会への批判、提案が随所に書かれており、筆者の政策的主張が強いなぁと感じる部分が多かったが、そのような部分を差し引言えても、高齢者の実態におけるデータが充実しており、10年後にその仲間入りをする今の自分にとってとても有意義な書籍であった。
■特に印象強かった箇所
第一部 定年後の仕事「15の真実」
事実2 生活費は月30万円弱まで低下する
事実10 デスクワークから現場仕事へ
事実13 50代で就労感は一変する
早めから現場仕事にシフトするのが得策と感じた。幸いリモートワーク主体になった昨今において、本業のバランスを下げもう一つの仕事に着手し、現場の仕事をする必要性を強く感じた。
また、第二部の7名の事例はとてもリアルで参考になった。
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定年を意識することなく、日々、向上心を持ち続けることが、必要。やれること、やるべきことは、やり続ける。
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「小さな仕事」
意識の変化
成長することだけが重要である、という価値観からの脱却
働けるうちは働く、という幸福
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年功序列、終身雇用という日本型雇用が限界を迎え、国民年金65歳支給と、それに合わせるように定年延長が一般に行われるようなご時世だ。自分など早くリタイヤしたいのに、経済的事情がそれを許してくれなさそう。そんな折に書店で見かけた本書。すると50代の就労者は、仕事に意義を感じなくなる世代だとか。辛いな~。著者は、定年後に身近にある小さな仕事=生活に密着した仕事に価値観を感じる人が統計的に多くなると言う。定年後も働くというのがスタンダードになるのだなぁ。
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そこそこまっとうな正社員として生きてきた人対象で有り、非正規雇用でずっと働いてきた人、もしくは今後正社員にもなれない薄給な人々にはまったくあてはまらない。
今も将来も小さな仕事にしかつけない人は老後どうなってしまうのか。怖
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少子高齢化のため、老後に不安を抱く人は多い。
しかし著書では、老後は月々必要なお金が減るため経済負担は多くないこと、現役世代よりむしろ活き活きと暮らす人が多いことをデータや当事者者面談を通じた研究結果より指摘している。
幸せに暮らすには、健康、お金、繋がり、これらを保つことが大切と思います。老後にこれらを得る手段として、小さな仕事は確かに有効だな思いました。
ただし、現在定年後の世代と、これから定年を迎える世代ではその時々の年金財政は同じとは限らない。定年後に稼ぐべき金額が10万円か20万円かでは必要な対応も異なるため、定年後は生活に追われず比較的幸福、とした今回の分析が現在現役世代の人達にも適応できるかには議論の余地があると思います。
本書の後半では、日本のサービス業は、アメリカに比べて質が高い一方で、代金は安いことを言及しています。代金が質に見合う程度に高騰すれば、支出は増え、収入も増える。日本経済を足元の停滞状態から上向かせる方法論として1つの考え方だな、と思いました。
また、日本は世界に先駆けて高齢化が進む。これは経済的に決して有利なことではないが、結果的に高齢化への対処方法を一番に掴む可能性がある。他国は日本に遅れて高齢化するが、その時には日本の対処方法を後追いで導入する可能性がある。即ち、日本は世界各国が将来必要とする商品を世界で最初に商品化する国になり、これは国としてのチャンスなのかも、と思いました。
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事態としては遠い次元の話に思えるが
仕事との向き合い方が老若問わずに屹立する課題である現今において、幸福なライフサイクルの形成にはどういう形がありうるのかの一つの啓示になっているのではないか。
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本当の定年後
定年後の実態として、
第一章で高齢者の実態を15ほどしっかりとしたデータ化から指摘している
第二章では実例の7名を上げどんなパターンの働き方があるのか示している
だい3章では小さな仕事の経済効果について
定年後のキャリアには様々なものがあるが
多くはサイズダウンして自分が住む地域で仕事に就くことが多い
経済は小さな仕事の積み重ねで、社会を支えるシステムはこの小さな仕事に支えられている
小さな仕事には単純労働も多くあり、お金を必要とする若い世代では物足りない分野でもある
いまこの分野に高齢者が入り社会を支えている現状がある。
著者はお金のために高齢期も働らく実態もあるとしたが、
多くは仕事にやりがいを感じていその仕事に満足感を持つ高齢者が多いことを指摘ている。
ただ、定年後も責任のある仕事についている人と自分を比較し、小さい仕事しかしていない自分に劣等感を感じる方もいるらしい。
そうならない人はいわゆる価値観の返還点があることを指摘されていた。
定年後の仕事の成否には、現役時代に培われてきたスキルが生きているとも書かれていた
対人スキルや対自己能力が生きてくるとも
年季生後の崩壊はないだろうと書かれていた
この本を読んで定年後も年金をもらいながらできる範囲の仕事をして生きていけそうだと希望が持てた
読んでよかった。