2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
このエピソードならばもう少し、短いお話にならなかったのでしょうか……。何日もかけて読みましたので、読み終わったときは疲れ……。13歳の少女ダッチェスと、警察署長ウォークに、30年前の一人の少女の死をからめて……。
投稿元:
レビューを見る
泣きながら読んだ本は久しぶり。
悲しすぎる結末だが、希望に溢れている。
淡々としていて静かな語り口なのに、情景が浮かんできて登場人物たちの思いも伝わってくるような小説だった。
投稿元:
レビューを見る
結構しんどかったなあ。読むのがしんどいというのじゃないよ、ジンセイって重い…と。「親ガチャ」というけれど、誰のもとに、どんな環境や地域に生まれるかは選ぶことが出来ない。クールさがキュートで、小さな弟を深く愛し守ろうとするダッチェスもいろんなことが裏目に出て、マイナスが埋まらなくて、読んでてつらい。いろいろつらい。
着地はいいと思います。
投稿元:
レビューを見る
CL 2022.9.26-2022.9.30
ダッチェスのやり切れない人生がけっこう辛い。
母親はもちろん、ハルもウォークもヴィンセントもダッチェスとロビンを愛していたし、ふたりを気にかけている大人はほかにもいたのに、それをうまく受け取れなかったダッチェスが哀しい。
ダッチェスの思い込みが全てを招いたと言えるんではないだろうか。
それでも最後には贖罪し、救済され、再起できるように描かれていたけど、わたしにはダッチェスの過剰な思い込みでものごとが悪いほうへ転んだように思えて複雑。ダークには酷すぎるよね。
投稿元:
レビューを見る
ダッチェスは弟のロビンと母親のスターとの三人暮らし。
弟のロビンは6歳、ダッチェスは13歳。母は酒と薬に依存していて病院の世話になることも多い。ダッチェスがロビンとスターの面倒を見ているから、なんとかこの場所は家として機能している。
家は貧しく、周囲からは色眼鏡で見られているが、それでも彼女は自らを無法者(アウトサイダー)と名乗り、たった一人で家族を守るために闘って生きている。
スターにはかつてシシーという妹がいたが、彼女はスターの恋人のヴィンセント・キングに殺され、彼はその後、刑務所の中でおこした殺人と合わせて30年の刑期を終えて、そんなケープ・ヘイヴンへ出所して戻ってくるのだが……。
そしてスターがあばらが折れるほど殴られてあげくに射殺され、警察が発見した時、ヴィンセントが彼女の死体の傍にいた。
無法者のダッチェス。でも、たった13歳の少女が6歳の弟と酒と薬に依存している母親の保護者にならなくてはいけない切なさ。
母のスターがこうなってしまった原因の一つに妹が殺されて、そのことに耐えることが出来なかったスターの母親が自殺したこともあるのだろうとは思います。
もし、私がティーンエイジャーでダッチェスと同じ立場に置かれたら、家族のためにここまで無私の愛情を捧げることが出来るだろうかと、しばらく考えてしまいました。
この作品はミステリでもありますが、社会問題や貧困、ダッチェスの成長を描いた教養小説としても読むことができるとても深い作品です。
帯に深緑野分さんが子供たちが救われるように祈ったというのは、本当にわかります。なんで、こんな子供たちがこんな目に合わなくてはならないのか? どうしてスターは殺されなくてはならなかったのか?
謎はいくつにも絡んで、スターの友人でもありダッチェスの助けてくれる人物でもある、ケープ・ヘイヴンの署長であるウォーカーもその謎を追い、別れた恋人でヴィンセントが弁護人として依頼をかけるマーサとの交渉をするため何度も足を運ぶ善良な人物でもあります。
ただ、読みながら善良であることって何だろうと思ったことも事実ですし、刑務所で罰を受けてきたのに、人はそこから出てきた人を寛容に受け入れることはできない。
罰と寛容さ、罪を犯した人間を受け入れることはやはり別なのかもしれないとも思います。
ダッチェスでさえ、スターの娘で父親のわからない子供、貧しい家の子、口が悪い娘ということで差別されることが日常になっているわけですから。
だからこそ、そうだよね、彼女が自分の取り巻く周囲の人々を憎み、壊したいと彼女が思うのはわかるような気がするのです。
物語はスターが亡くなった後からは、ダッチェスとウォーカーと二つの視点に分かれますが、そこからもひたすら読んでいて辛い。
願うことも望むことも許されないダッチェスとウォーカー。この作品に原題である『WE BEGIN AT THE END』 人は終わりから始めるという意味が分かるときに、ようやくこの二人の気持ちがわかるのかもしれないと思う一冊でした。
読み終えたときは、考えることがありすぎてしばらく動けなかった。この作品に出てくる人々がそれぞれの心に爪を立てて、それがとても痛くて、切なくて、哀しいけれども、物語は終わる。そこに何を見出すのかは、人によってそれぞれでしょう。
今年も多くのミステリを読んでいますが、この作品が一番読んでよかったと思っています。
多くのことを考える機会を与えてもらったことに感謝の一言です。
投稿元:
レビューを見る
ダッチェスが、私には無法者の血が流れてる、って周りに言うのが中二病みたいですごく恥ずかしいなって思ったんだけど、そうやってはったりかまさないと心が折れそうだったのかな…。
ハルが一番不憫だった。ひと時でも孫と過ごせた時間があったのはみんなにとって良き時間であったし、波乱しかなかったダッチェスとロビンの人生の中で穏やかな記憶として残ったら私もうれしい。
投稿元:
レビューを見る
視点が錯綜することと時系列も大きく変動するのでとっつきにくい。
ダッジェスは大人に対して異常なほど反抗的だがその理由に説得力が乏しい等、欠点を上げればいくつもあるが、言葉にできない閉塞感のような今の時代の空気を表わしたミステリだと思う。
投稿元:
レビューを見る
自分のことを無法者と呼ぶ少女ダッチェスとその弟ロビン。30年前の事件を引きずり続ける警察署長のウォーク。その事件はダッチェスの叔母が亡くなり犯人はウォークの親友。そこから新たな事件が始まりダッチェスが翻弄されていく。事件とその奥にある関係者たちのつながりや思惑。その大人たちに振り回されながら自らの運命に抗おうとするダッチェス。無法者と言うだけあって強気ではあるけれどロビンへの思いとなんとかしようとする真っ直ぐで無鉄砲なところがとてもいい。でもそれがどんどん自分を追い込んでいく。終盤のダッチェスのとる行動とその時の感情は苦しくなるほど。希望が、救いがと願わずにはいられないような場面が続く。発売前からtwitterなどですごく話題になっていたけれどそのハードルを軽く超えてくる傑作だと思う。
投稿元:
レビューを見る
13歳の少女の成長物語。他にも色々ありますが、読後の印象はこれ。好みでは『捜索者』だが、これはこれで良い小説をです。
投稿元:
レビューを見る
数十年前の事件が熾火のように残る町。
事件の加害者として服役していた男の出所を機にまた運命が蠢き出す。
これは鮮烈。忘れられない。
投稿元:
レビューを見る
これは凄い。おそらく今年、一押しの作品である。
ミステリーではあるけれど、それ以上に重厚な人間ドラマだ。二人の主人公が凄い。どちらも個性がしっかりとしている。少女ダッチェス13歳。ウォーク警察署長、難病との闘病中&勤務中。どちらも惑星のように独立し、人を惹きつける個性と魅力を持っている。
物語は、30年前のショッキングなシーンで幕を開ける。若きウォークがシシーを発見する。陰惨な姿で路傍に転がるシシーの死体を。このプロローグのシーンでは未だ後のヒロイン少女ダッチェは生まれてもいないが、発見された少女シシーは、ダッチェの母スターの妹である。
そして30年後。現在。波に侵食され、崖上の家が崩れ落ちてゆく海岸に見物客が群れるシーンで物語は再スタートを切る。悲鳴の中で家の土台が海に呑まれてゆく。土地の名はケープ・ヘイヴン。ここに物語は展開する。飽きれるほど骨太かつ複雑な物語が。
ダッチェの母スター。捨てばちで、薬中で、売春婦のように自堕落でありながら、美貌に恵まれたダッチェの母親。そして彼女の娘ダッチェ13歳。その弟ロビン5歳。スターが子供たちを顧みないゆえ、ダッチェは、まるでロビンの母親のように家族としての優しさを引き受ける。同時に外敵への厳しさも引き受ける。
ダッチェは自分を<無法者>と呼ぶ。あたしは危険な無法者なんだよ、と。その通り、彼女のタフさには目を見張るものがある。言動のすべてが無法者みたいだ。そのようでしか生きるすべはない、とでも言うように。<無法者>という鎧しか彼女を守す術はない、とでも言うように。
一方、臨時職員二人しかいない田舎警察の署長ウォーク。体を蝕まれつつ、過去と現在の村のすべてを把握すべく務め、あらゆる人に誠実に全力で対処する。善なる魂の持ち主ウォーク。彼は平凡な存在であれ、あまりに魅力的だ。弱く、力のない人間であるからこそ、魂の方は一筋縄でいかないくらい一途でタフだ。
ダッチェとウォーク。つまり二人の境遇も年齢も異なる主人公が、どちらも精神的にとてもタフだという魅力と、逆境とも言うべき苦しみを備える主人公を本書で貫いてゆく。
物語を通して、嫌と言うほどの紆余曲折・社会の矛盾・許せない悪業・罪深い魂などが連綿と登場するのだが、それらはダッチェとウォークの眼を通して読者は感じ、知らされる。堆積する矛盾や、悲しみを掻き抱きながら彼らの物語は疾走する。
一方、この物語の背景としての自然の美しさは、かけがえのないものである。ケープ・ヘイヴンの海。モンタナの大空。美しくも厳しい自然描写は、本書がミステリーであることや、人間の悪い側面も抉り出そうとしてゆく作品であることを、ともすれば忘れさせてしまう。
第一部のケープ・ヘイヴンで殺人が勃発する。30年ぶりに出所したヴィンセントの沈黙。彼を取り巻く疑惑と懸念の嵐。
無法者少女ダッチェの物語は、第二部で、舞台を大空と大地の世界モンタナへと移す。祖父ハルの登場。ハルと孫娘(無法者)の縮められない距離感が、何とも心に痛いが、ロビンの幼い純真さが温度をもたらす。美しいモ��タナの自然も。牧場の牛馬たちも。人々も。
雄大なスケールの物語は、終盤になりミステリー作品としての集中度を高め、人間関係図は徐々に明らかとなってゆく。犯人は炙り出され、罪には罰が与えられてゆく。疾走感。複雑な、いくつもの動機が絡み合ったカラクリの中で、無法者ダッチェも、警察署長ウォークも、互いに重要な役割を果たす。
本書は、全体を読後に俯瞰すると、ミステリーというよりもむしろ壮大な人間ドラマとして集約される肉厚な大作である。何よりも人間と人間との葛藤を様々な立場から描き切り、そして文化や文明、貧富と時代、土地とそこに生きる人間模様と相互軋轢。そうした事象を、悉く浮き彫りにさせてゆくドラマチックな力作なのである。
二人の光る個性が、スケールの大きな物語と、その世界を、小気味よいほどに切り裂いてゆく終盤は圧巻だ。苦しみあがきつつも彼らのたくましさと優しさとが、ただひたすらに愛おしい。泣ける傑作である。
投稿元:
レビューを見る
これぞ海外ミステリーという醍醐味を存分に味わえる傑作。30年前に起きた1人の少女の死をきっかけとして、複雑にもつれた人間関係が描かれていく。
ケープ・ヘイヴンという小さな町を舞台に、その町の警察署長と、酒と薬に溺れる母親と幼い弟の面倒を見る13歳の少女が主人公だ。自らを“無法者”と呼び、2人を守るためなら暴力をも辞さない少女が素晴らしい。
物語は直球のように見えるが、結末までに二転三転どころではない展開をする。その複雑な構成と綿密に張られた伏線に舌を巻くと共に、人のもつ多面性に感じ入った。
投稿元:
レビューを見る
超★5 テーマは『愛』 今年の海外ミステリー上位に間違いなく入る、超推し! #われら闇より天を見る
スゴイ本を読んでしまった…
重厚かつ複雑な人間ドラマ。そして個性豊かで、人間味と気丈な精神をもつ愛しむべき登場人物たち。もう最高です!
■レビュー
かつての凄惨な事件から30年、さらなる不幸の渦に巻き込まれる彼ら。まず物語としての規模が大きすぎて、まるで海外ドラマをフルシーズンを見たかのようです。
ミステリーとしての真相も超強烈で、読んだ読者は『愛』 を知ることができます。
そして原題の "We begin at the end"の意味を知った時、明日からまた仕事に勉強に頑張ろうと思わせてくれる作品です。
特に本書の抜群な点は、登場人物の人間描写が超イイんですよ。
自分の娘にしたいような素敵な子が登場しちゃいましたよ、主人公のお姉ちゃん。
何度も何度も心の扉をノックしても、不幸にまみれた人生しか知らない彼女は決して扉を開いてくれない。
その名の通り無法者だった彼女が、少しずつ『愛』という縁がめぐってきた時、心の扉が少しずつ開いてくる。
しかし神様は残酷、さらなる試練を彼女に与える。
胸を張って自分の未来を歩んでほしい。強く強く生きてほしい。あーもうガンバレ!
おとうとくんも可愛すぎるでしょ。
純粋で素直で力いっぱい甘えてくる、こんな子を守るためなら、私はどんなことでもしそう。
そして刑事の彼ですよ。
30年間も背負い続けてしまった、バカがつくほど真面目で未練の塊のアホ。
しかし誰よりも強い意志をもっている、バチクソカッコイイ男なんです。
一人のためにここまで出来たら、俺の人生には意味があったと胸をはって言えると思います。
他にもおじいさん、弁護士の彼女、ボーイフレンドの彼など、恵愛あふれる人でいっぱいな本書。愛情の切り取り方がめっちゃ上手で、全編通してツライ話にもかかわらず、優しい気持ちに包まれました。
ちょい長いけど1週間もあれば読めます。
超絶いいお話なので、死ぬまでには絶対読め!
■推しポイント
おじいさんのセリフ「誇りに思っているぞ」
私も親をやっていますが、こんなセリフを子供に言えるか自信がありません。
これを言えるということは、誰よりも子供を信じてあげて、愛しているのはもちろん、知っていなければなりません。
何を思い、何に迷い、何と戦い、何を楽しんで、何を悩んで、何が好きで、何が嫌いか。皆さんは自らの子供のことを、ちゃんと知っていると言えるでしょうか。
そして時を経て、お姉ちゃんがおじいさんに投げかけたセリフですよ(※436ページ 最後の一行。知りたい人は読んでね)
もうこれだけで3杯はメシが食えるし、2,530円を払った価値があります。
最高に素敵なお話、こんな本に出会えて嬉しいです。
純粋にそう思える本でした。
投稿元:
レビューを見る
ミステリーというより人間ドラマという感じを受けた。
最後のあたりを読んでいる時はじーんときて、読後は物悲しい気持ちになった。
結局、本当に悪い人はいなかったんだな。
ダッチェスは母と弟を愛し、尽くし、勇敢で強いのに、彼女のいくつかの行動がきっかけで事態が悪い方に転がってしまったのがつらかった。
ダッチェスとロビンの差は何だろう?幼いということ?
2人の現在は全然違うものになり、これから先もますます離れていくだろうと思うと切ない。
季節の変化や、人物の心情など、ところどころの文章表現が美しかった。
投稿元:
レビューを見る
アメリカ、カリフォルニア州。海沿いの町ケープ・ヘイヴン。30年前にひとりの少女命を落とした事件は、いまなお町に暗い影を落としている。
自称無法者の少女ダッチェスは、30年前の事件から立ち直れずにいる母親と、まだ幼い弟とともに世の理不尽に抗いながら懸命に日々を送っていた。
町の警察署長ウォークは、かつての事件で親友のヴィンセントが逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きていた。
彼らの町に刑期を終えたヴィンセントが帰ってくる。
彼の帰還はかりそめの平穏を乱し、ダッチェスとウォークを巻き込んでいく。そして、新たな悲劇が……。苛烈な運命に翻弄されながらも、 彼女たちがたどり着いたあまりにも哀しい真相とは――?
この小説も自由研究つながりでした。