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<目次>
第1章 女にしてみたいほどいい男
第2章 差し向けたれやエージェントとしての女性たち~学問で勝つ
第3章 差し向けたれやエージェントとしての女性たち~音楽で抜きんでる
第4章 差し向けたれやエージェントとしての女性たち~和歌の力でのし上がる
第5章 男性の寵愛を奪い合う女は恋愛脳か
第6章 妻・母として以外での女性の自己実現はあったか
第7章 平安時代にもシスターフッド=女性同士の連帯はあったか
第8章 同性愛は純愛か異性の代わりか
第9章 どうしようもないときに頼る呪術や信仰
第10章 勝ち組の頂点周りの栄光と挫折
第11章 負け組の不遇と意外なしぶとさ
第12章 色好みの功績
<内容>
古典研究家が、専門書と通俗書の間を狙って書いた本。まあ、成功しているかな?原文の部分がややだるいが、そんなに長くないし、すぐに現代語訳が載っているので、声に出しながら考えていくのがいい。平安時代も現代もさほど変わりないと思えた。
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芦野公平さんの素敵なイラストの表紙。
軽過ぎず、重すぎ、私には読みやすい本でした。
題名の
差し向けられたエージェントとしての女性たち
学問で勝つ
音楽で抜きん出る
和歌の力でのしあがる
平安時代にもシスターフッド
女性同士の連帯はあったか
負け組の不遇と意外なしぶとさ
題名にクスクスです。
中高の古典の授業の前に、こんな話しをしてくれていたらなぁ~。
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平安時代の宮中で日常を過ごす女性は、どの
ようにして自分の地位を上げていったのか。
最高の上がりは天皇の後継ぎを産むことでは
ありますが、そこまで辿り着くには教養が必
要とされたのです。
そしてその教養を和歌にそっと忍ばせるセン
スも必要とされました。要はひけらかしては
いけないということですね。
そんな平安時代の教養とセンスを学べる一冊
です。
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源氏物語がどう受け取られていたかはあんまり考えてなかったな。対等のシスターフッドは難しかったのは何となく得心。
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平安貴族の生き方を現代と比較しユーモラスに解説している.源氏物語をはじめとしてたくさんの文献の中からキーワードごとに章立てて読み解いているので,わかりやすかった.
兎にも角にも,いずれを取っても競争社会.
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階級社会の中での地位上昇を突破するために、
平安貴族に必要だったのは、知性と教養のスキル!
第1章 女にしてみたいほどいい男
第2章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・学問
第3章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・音楽
第4章 差し向けられたエージェントとしての女性たち・和歌
第5章 男性の寵愛を奪い合う女たちは恋愛脳か
第6章 妻・母として以外での女性の自己実現はあったか
第7章 平安時代にもシスターフッド= 女性同士の連帯はあったか
第8章 同性愛は純愛か異性の代わりか
第9章 どうしようもないときに頼る呪術や信仰
第10章 勝ち組の頂点周りの栄光と挫折
第11章 負け組の不遇と意外なしぶとさ
第12章 〝色好み〟の功績
主な参考文献有り。
平安時代の宮廷社会と現代の日本社会。
どちらも格差を乗り越えるために、スキルは必要だ。
では、平安貴族、特に女性たちはどのようにして生き抜いて
いったのか?多くの文学作品から、その術を分かり易く解説。
入内した女性が天皇から寵愛を得るためには、知性が必要だった。
それを助け、支えるために集められた、女性たち。
漢詩・漢文の歴史書や文書、琴・琵琶・笛の音楽、そして和歌。
それらは女性が宮廷社会で自立し、認められるためのスキル。
結婚していてもスキルがあれば、宮中に出仕できること。
知識人としての仕事。
その他に現代にもある、中世的な美男やファッションセンス、
恋に恋する乙女たち、シスターフッド、同性愛など、
原文に続いて現代語訳があり、分かり易く解説しているので、
興味深く読むことが出来ました。
乳母子は生涯の友なのか・・・『落窪物語』読もうかな。
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借りたもの。
タイトルは“平安貴族”と銘打ってあるが、特に平安時代の女性たちの生き方について言及している。
平安時代の女性たちの姿を、文学作品…特に『源氏物語』を筆頭に、『枕草子』など、義務教育の教科書でも取り上げられるタイトルを用いて紐解いていく。
女性たちは、男性たち(父親、結婚すれば夫の)庇護下に置かれながらも、教養(学問、音楽、和歌)を武器に、結婚してもキャリアを築いていく。
天皇の寵愛(国母)を筆頭に、知識人として、乳母など…
まえがきにあるように、戦後日本社会にも似たバリバリのキャリアウーマンたちの生き様。
女性同士の連帯――シスターフッド――についても、文学作品と史実的関係から指摘する。女はキャットファイトや足の引っ張り合いとは異なるサバイバル能力を発揮していた。
そして時には呪術も用いられ……という章では、一瞬、女性誌の星占い系の話かと思ったが、男性の政権争いとも関係がある、ゲン担ぎのようなものまで。
病を祓う、穢れを避ける、怨霊・怪異の脅威との戦いは、女性たちだけの世界ではない。
ちょっとドキドキしながら読ませて貰ったのは、同性愛のところ。女性同士、男性同士の連帯的なもの、中世的な魅力について等。
…例えばフィクション創作にも、平安貴族…女官たちの空気感の補完にもなるのではないか?
『清少納言 梛子』シリーズ( https://booklog.jp/item/1/4086001446 )を思い出した。
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『源氏物語』『枕草子』『伊勢物語』はまあいいじゃない。
『和泉式部日記』『落窪物語』辺りもなんとか。
でも『無名草子』『芦引絵』『岩清水物語』辺りは初見。
深いなあ、古典の物語。
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平安時代とは、かくも美しき所での争い。権力抗争だから、ダークな部分もあるだろうが、表立っての殺傷事とは、遠きにあるからこそ、雅なのだろう。行ってみたや平安時代。読み難し、為に途中脱落。
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(借.新宿区立図書館)
「文学作品から見た」という副題がふさわしい。歴史学の史料もある程度は利用しているが、源氏物語などに描かれた貴族像(その作品の著者から見た姿)であることに留意が必要。時代小説とか大河ドラマからその時代をとらえようとしているのと同様なので読者としては気をつけなければいけない。ただ、そういう視点も必要なことなので、そう理解した上で読むべき本。
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平安時代は現代と似ている??
古文は中高生の頃好きだった。
講師の先生が良い人で、非常に楽しく学んでいた(今はだいぶ忘れてしまったけれど)。
本書は古文が苦手な人でも大丈夫(ちゃんと訳がある)!
出世するには身分が大事、しかしそれ以外にも学力がものを言う貴族社会。
出世だけが幸せではないけど、給料アップはしたい。
そんなミニ野心の参考になる、かも。
第1章からガツンとくる。
中性的な男性が良きこと、なのは平安貴族の価値観。
日焼け、髭黒はちょっとねぇ、なのだ。
「女にて見たてまつらまほし」は最高の褒め言葉。
女にしてみたいほど美しい、という意味である。
…これ、よく赤ちゃんに言うよなぁ…女の子みたいに綺麗な顔ねぇ、なんて。
現代でも例えば男性芸能人が柔和でつるんとした顔が好まれるのも、平安の名残……?
第2章は、寵愛を得るには知性がいる、という話。
家柄容姿がいいのは当たり前、付加価値として文化的に優れていることが必要だそうだ。
『枕草子』の「香炉峰の雪」は必ず教科書に出てくるけれど、確かにこれだけ優れていたらマウントをとりたくもなろう。
男のすなる学問、といえども、対抗する知性がなければ仕事も恋もままならない…うーん、ダブルスタンダード!
一夫多妻制の平安時代、男性の寵愛を得られなければ女性の立場がない…が、たまにはやり返す妻もいて。
いまでも「サレ妻」ものが人気だが、最後はスカッとしたいもの。
香炉の灰を夫にバサーっとかける、なんて話は当時の女性たちも大喜びだったろう。
平安貴族女性の立場は不安定だ。
だが知と美で戦う姿は今も変わらない。
どっちも持ってなかったら…そこは努力でカバーしよう。
何もせずに待っていても現状は変わらない。
平安時代より、きっとできることは多いはず。
古きから自分らしさを学び、未来に向けて自分らしさを磨いていこう。
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ちょっと前に読んだ「紫式部の父親たち」が主に男の話だったのに対し、こちらは女性の話もたくさん出てきます。平安時代には女性は漢字やら漢詩は知らない、知っていても知らないふりをするというのがありますが、女房と言われている女性たちは知っていることや勉強することが普通の常識としあったのだと知りました。
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昔の人も(今の時代の人もだけれど)大変だったのだなあ、いつの時代も、その時々で困難なことはあって、ひ~こら言いながら生きていくものだよなあ、と思ったのでした。中級者向けの本だったようで、内容的には少し難しかった。
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全般に読みやすく、一気読みできます。内容は藤原道長を中心とした摂関時代の宮廷事情と当時に書かれていた物語からみた平安貴族のサバイバル事情がドッキングされています。隠微な権力闘争の内幕話にも知らなかった史実はありましたが、それよりも物語の紹介が楽しい。タイトルだけは知っている作品も要領よく教えてくれます。斬新だったのは「石清水物語」の存在。BL小説の始源がここにありました。驚きと共にさもありなんです。
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惜しむらくは、本文中に家系図やイラストなどによる図説図解が皆無なこと。
本書は初学者向けと専門書の間に位置する旨が書かれてあるから仕方ないのだろうか。
定子と一条天皇の話はまるで、これこそ物語ではないのか!?と思わせるような事実だった。
源氏物語において、地方出身の姫君は音楽や和歌の才があり、高貴な末摘花は情趣を介さない女として書かれているという指摘は本書を読むまで気が付かなかった。
でも、そんな末摘花も最後は光源氏に末長く庇護されているので、紫式部が彼女にどのような思いを込めたのかは不思議である。