紙の本
未知のウイルスとの対峙とは?
2021/04/16 10:10
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mc - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時、DP号で起こっていたことに対して、未知のウイルスに対するそれぞれの立場での行動は、誰も満点ではなかっただろうし、その苦悩は理解できた。
それにしても、敢えてここまで岩田氏を批判的に記す必要があったのかは疑問に感じる。
全体としては興味深く読み進めたが、著者が自衛隊に思い入れが強すぎるのか、後半は本論からややずれたような印象が残る。
投稿元:
レビューを見る
ダイヤモンドプリンセス号で発生した新型コロナウイルス感染症への対応の記録。感染拡大を「災害」と早期から捉え、現場に入った災害医療チームらの活動が記載されている。
極限状態の中で完璧ではないまでも現場で対応していたが、それは必ずしも外部からは正当に評価されていない。本書では、船内外で活動した主要人物らへの取材に基づき、その時現場で起こっていたことや、どういう経緯・考えであのような対応がなされたのかを明らかにしようとしている。
なお、書名ではダイヤモンドプリンセス号対応のことしか書かれていないように想像されるが、実際にはその後の国内における感染の流行と、それに対応したいわゆる神奈川モデルの策定過程についても描かれている。
過去に読んだ類書と比べて、より個人にフォーカスされているという印象。そのため、その人たちに対するヒロイズム的な書きぶりが多少見て取れる。また、政府や役人といったものに対する批判的な観点が筆者の根底にあるような感はある。
関係者への取材が主とはいえ、様々な報告書などにも拠っているので、そういった物を出典として巻末などに明記してもらえたら、より資料としての価値が上がるのにな、と感じた。あと、人名などに誤字がいくつかあり気になった。
とはいえ、いずれにせよ、当時のことを記録した貴重な書籍であることに間違いない。自分も末端ながら当時その場に関わっていたので、その感覚として、本書に書かれていることは概ね妥当で実際を反映していると思う。