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『時を止める能力よりも大切にしたい…素直であること』
情景描写がとても綺麗な初読み作家さん。
特殊能力を持った3人を含む高校生たちが、周囲から特別視されることに苦悩し、もがく姿を描く青春群像小説。
悩みの中身は違っても、みんな悩んで大きくなった!
よね…
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君嶋彼方2冊目。今回は特殊能力(具体的に言うと時間を止められる)を持つ高校生が主人公。数万人に一人が特殊能力を持つ世界で、能力者は一般人から差別されている社会という設定。アニメ「僕のヒーローアカデミア」とは逆やな。
前作では、男女入れ替わった高校生がその状態をどう受け入れて生きていくか…的な話だったが、本作でも能力者がその自分をどう受け入れて生きていくか?というテーマを内包している。
学校や社会で異物として目立たずひっそり暮らしていく姿、必死に頑張って明るく振舞い幸せを装って生きていく姿。どちらにせよ窮屈な生き方を強いられる高校生の姿が辛い。
明るく振るまい、陽気でおバカな高校生を演じる主人公が、夜一人になって時間を止めた空間でひっそりたたずむシーンが美しくで切なく、非常に印象に残った。
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デビュー作『君の顔では泣けない』の瑞々しさがとても良かった君嶋彼方さんの二作目。
ジェンダー問題を扱った前作とは違い今回はやや特殊な設定。
主人公は時間を止めるという特殊能力を持つ高2の冴木旭。
旭が通う高校には別の能力を持つ二人の同級生と一人の教師が存在する。
ある日、大量の机が校舎の窓から投げ捨てられる事件が起こり、犯人と疑われた旭は真犯人を見つけ疑いを晴らそうと動き出す。
能力を持つ者と持たざる者、その対立と、この年代だから感じる孤独や承認欲求が繊細に描かれる。
走れ旭。
時を止めた先、大切な友が待つその場所へ。
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平凡より特別がよくて、自分が特別だと思いたくて、主人公やヒーローに憧れてしまうけれど、特別であることが良いというのは本当だろうか。
誰かができることで自分にはできないことがあると落ち込んで羨ましくなり、誰かができるそれが良いものに思えるけれど、それは本当に良いものなのだろうか。
自分と向き合う勇気や覚悟が欲しいときに、読みたい本。
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一行目:四角い窓に、夜を眠らせて閉じ込めた。
「君の顔では〜」が良かったので、こちらも。
一気読みだった。負けず劣らず良かったなぁ。
犯人と動機は推測ができてしまうけど、謎解きがメインではないから、あまり気にならない。
ぜひYAコーナーで展開してほしいけど、実際の高校生はどう感じるのだろう。私がオバサンだから面白いと思うのか‥
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あさのあつこさんとかつじむらみつきさんとかと比較すると、さすがに心理描写はやや拙いながらも葛藤とか矛盾する気持ちとかが伝わってくるものがあって好きだった。
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特殊能力をもつ高校生の話。よくある青春物語に特殊能力を上乗せした感じ。主人公の成長が気持ちよくサラッと読めた。
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「四角い窓に、夜を眠らせて閉じ込めた。」
なんてキレイな始まり。
と思ったのも束の間、これは彼にとって比喩でもなんでもない。時間を止める特殊能力を持つ旭にとっては現実なんだと。そう、何万人に1人の割合で様々な特殊能力を持つ人達がいる世界線。
特殊能力を持つ故の悩みもあるけど、思春期の抱える悩みも掬いあげている。あぁ、青春。
終わりの描写もキレイで好き。
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1万人に一人の割合で超能力(瞬間移動や共感能力、時間停止など)をもつ人間が存在する世界で暮らす高校生の物語です。
主人公は能力者ですが、周囲の友人は一般人。自分の「特性」ゆえに、特別視・差別視されることなく「当たり前の生活を送る」ということに主人公は腐心しています。
しかしこれは、超能力者ならではの苦悩ではなく、中高生であれば誰しもが持っている悩みであることが丁寧な心情描写で描かれています。
人それぞれ、能力や個性によってその形は様々ですが、悩みながら試行錯誤して生きているし、その悩みを打ち明けることができる(自分を受け入れてくれる)他者の存在が不可欠であること、また自分なりに「折り合い」をつけていかなければならないことを、優しく伝えてくれる物語だと感じます。