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セツの、周りは……
2023/04/15 21:24
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
小泉節子さんのことは、知ってたけど、元武士というプライドばかり高く持ってる親族に囲まれて、セツが気の毒というか、かわいそうです。ノンフィクションなんでしょうか?だとしたら、小泉節子さん本当に……
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Kuwaidanで有名なラフカディオ・ハーン。ギリシャ生まれのイギリス人で、親に捨てられ天涯孤独となったハーンが、維新ののち、生家と養子先のどうしようもない家族を背負い苦労しながら生きる没落した上士の娘、セツと松江で出会い、夫婦となって小泉八雲を名乗るまでの物語。軽く読むことができる。
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元々、何となく知ってる話だったせいかも知れないけど、一番印象に残ったのはセツの家族。全く、揃いも揃って本当にクソだわ。私の家族は裕福でも優秀でもないけど、ずっとずっとマトモで良かったわ…。
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明治の世となって数年。人々の思想も身分制度もことごとく覆され、誇り高き武士たちは行き場を失くし時代に取り残されていた。
そんな時代の松江藩が舞台の物語。
小さな頃から物語を聴くことが大好きだったセツ。武家の娘として蝶よ花よと大切に育てられてきた。
そんなセツの家も時代の波にもまれ没落。セツは家族を養うため身を粉にして働かざるを得なくなる。
一方、東の果てにある小さな島国・憧れの日本へ、新進の紀行作家としてはるばる来日したラフカディオ・ハーン。英語教師として松江の尋常中学校へ赴任する。
縁あってハーンの身の回りの世話をするため住み込み女中となったセツ。
武家と庶民、両方の感覚を併せ持つセツから得る豊富な知識と知恵が、ハーンを作家としての成功へ導くこととなる。
小泉八雲といえば怪談。
あの怪談の数々にセツがこんなにも深く携わっていたなんて。夜な夜なセツがハーンに怖い話を語り、それをハーンがワクワクしながら喜んで聴く。そんな二人がとても微笑ましかった。
ハーンによると、日本の怪談は独特で、人間くさく、哀れで、もの悲しく、心を鷲掴みにされる、という。
「見ているものと本当のことは違うのだ」何度も出てくるこの言葉の通り、日本の怪談は裏側に潜むエピソードに切ないものが多い。そんなところがハーンの心を掴んだのかもしれない。
沢山の障害を乗り越えて生まれた二人の愛。
日本に根を下ろすことを決意したハーンの心意気と、いつも誠実に懸命に生きるセツの心根に胸打たれた。セツの潔さがとてもいい。
そしてこんな時代の定まらない世の中で、「ヘルン先生」とハーンを慕ってハーンの元へと集まる松江の人々の温情と、目の前に広がる明治の松江の優美な景色や人々の暮らしぶりに清々しい気持ちになれた。
読めて本当に良かった。
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ヘルンとセツの生い立ちや出会いが丁寧に書かれていました。二人のその後や執筆の様子などがあればと思いました。
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滑稽極まりない、体面取り繕うだけのだらしない男たち。武士らしいのは女性たちばかり。「誇りとは体面を守ることではない。本物の誇りは自分の中に」「愚痴は底なしー。文句は言うただけ、たまるもんだわね」「無理は自分の心がつくるもの。無理だと思わなければ、何でもできる」「見ているものと本当のことは違う」八雲を支えた強いセツのその後も知りたくなった。
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本書を書いたのは脚本作家でもある田渕久美子さん。主に大河ドラマや連続テレビ小説などを執筆されており、本書でもそういった文章の味が出ている。例え松江に行ったことがない人でも昔ながらの松江の風景が頭の中に鮮明に浮かばれてくる。ストーリーとしては、非常にわかりやすく思わず感情移入してしまいそうになるようなタッチで描かれている。いつか本書を参考にNHKの連続テレビ小説になって欲しいと願うばかりである。
なお、本書は私の浅い読書経歴の中でも簡単にイッキ読みした本でもある。気づいたら1日で読み終わってしまった。いつか松江にある小泉八雲記念館にも訪れてみたい。
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ヘルンはラフカディオ・ハーン=小泉八雲、セツはハーンの妻の小泉節子です。二人の生い立ちから出会い、結婚、松江での新婚生活までを描いた作品です。全21章とかなり細かな章立てになっています。
それにしてもこの二人の生涯のなんと波乱万丈なこと。その波乱ぶりの一つ一つを各章で竹を切るようにバッサリと明快に描きます。そしてそれらが積み重なって物語が形作られて行きます。判り易くてワクワクします。
読了後、奥付の著者紹介を見て納得。NHKの大河ドラマ「篤姫」などを手掛けた脚本家なのですね。各章が放映一話分、一話ごとに盛り上がりがあって終わる。如何にもそれらしい造りの物語です。そしてビジュアル。
私の中でラフカディオ・ハーンは『怪談』しかなく、どことなく暗いイメージなのですが、ここで描かれるハーンは気さくで日本を愛し、その文化を世界に発信し続けた人として描かれています。教師として松江に赴任したハーンは、世界に追いつこうと躍起になる学生たちに、鎖国によって日本の優れた文化が破壊されなかった、日本人は優秀ですぐに世界に追い付き追い越すだろう。しかし、その先で悩むことになるだろうと語ります。物語の半分を占める没落士族の娘・セツの生き様も見事です(というか、士族の男どもの情けない事)。
これが本当のハーン像かどうかは分かりません。しかし、なかなか痛快で清々しい物語でした。
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松江の美しい情景が目に浮かぶような描写の数々。
さすが脚本家だなと思わされた。
ドラマを見ているように章が展開していき、とても読みやすかった。
異国からやってきて、ここまで日本を深く愛し理解してもらっていることがありがたい。
同時に、日本という国にもっと誇りをもってもいいんじゃないかという気持ちになった。
自分の中での小泉八雲像より、かなり陽気な人物として描かれていて親しみがわいた。
いつか映像化されたらいいなぁ。
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小泉八雲とその妻セツの話。
まず、とても読みやすかった。歴史物、史実ものは人が練ったプロットではないので、展開があまりなかったり、状況説明続いて眠くなったりするのに、これはサクサク読めて、そこに感動した。NHKの篤姫や江の脚本を書かれた方だそうで、状況見えるような話の流れに大河の脚本家かぁ、と納得しました。…とここまで書いてからググったら、これもNHKでドラマ化されてました。
小泉八雲の生き方を全く知らなかったので、勉強になりました。明治維新の頃の武士の生活も垣間見れます。
ちょっと難しいのと、妾という単語でてくるので、中学校以上。児童向け小泉八雲伝記をよんでみたくなりました。
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最初は、二人が別々に書かれているので(当然ですが)ちょっと、戸惑いましたが、ハーンが日本に来てからは、スムーズに読めました。
ハーンは小説家なのかと、ぼんやりと思っていましたので、びっくりしたのと同時にとても日本を細かく抒情的に表現していることに感動していました。
外国に人だからこそ出来ることなのか、とも感じました。
この二人が出会うまでのお互いの人生の、何と波乱万丈なことにもびっくり。
「日本の面影」も併せて読んで、ラフカディオ・ハーンという人に興味がわきました。
終盤、「小泉八雲」という名前についてのくだりが、とても良かったなと思いました。