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ちくまプリマー新書とか岩波ジュニア新書とか、そういうのを愛読している僕としては「中高生につたえておきたい」と言われると気になってしまう。でも今回は中高生ではないが大学生の娘に読んでもらおうと思った、のだが、やっぱり例によって読んでくれない。
文中、内田樹氏が、「お前の話なんか、聴く気はぜんぜんないからね」ということを全身で表現する高校生らを前に、どのように話を聞かせたか、ということが書かれている。自分への問いを発せさせる、ということだ。
鷲田清一氏は、暮らしのコンテキストを編む、それには自分が触媒となることだ、と結ぶ。怯み、あるいは諦めた人に声をかける、ということ。
他にも多くのメッセージが込められている。根底に大きくあるのは、ひといろに染めてしまう社会をおかしいと考えよう(という考えも、おかしいかもしれない、と考えよう)、ということであろう。
僕が中高生の頃は景気が良かったからか、もっとお気楽だった気がする。「転換期を生きる」きみたちは大変だけど、書物には知見があるんだぜ…というメッセージは、娘には届けられなかったが、誰かに届くだろう。