投稿元:
レビューを見る
宗教的な、歴史的な背景に疎いせいか、
最初はなかなか頭に入ってこなかったのだけど、
ゆっくり人と知り合うように、
コルシア書店周辺の人々になじんでいって、
途中からは、何度も涙ぐみながら読みました。
何がどう感動するというわけではなかったのだけど。
読み終えてすぐに、
頭に入ってこなかった最初の方を
もう一度読みました。
じーん。
美しい短編小説のよう。
投稿元:
レビューを見る
須賀敦子さんのお話はどれも好きだけど、なんだかんだ言ってこれがいちばん落ち着く。須賀さんみたいに温かく強い人になりたい。
投稿元:
レビューを見る
須賀敦子氏の本は数冊読んだが、これが一番好きだ。
彼女の描くイタリアの風景は、既に過去のものだ。彼女自身亡くなっているのも、それを一層深くするのだろう。
彼女は過ぎ去った過去、亡くなってしまった夫を始めとする周囲の人々を、濁りのない瞳で淡々と書く。あふれ出るであろう感情をひっそりと抑えて、俯いて描き出す。そこにあるのは、透明な悲しみだけだ。
彼女の住んだミラノは、今では姿を変え、彼女の夫が勤めた書店も、彼女らが日々の足に使っていた35番の路面電車も、今はもうない。
投稿元:
レビューを見る
長い翻訳家としての活動を経て、機が熟すのを待った須賀が、終に自分の言葉で語った自らの人生は、何と豊かな言葉と風景に彩られたものだったことか!珠玉の一冊とは、まさにこの本を指すのだろう。
投稿元:
レビューを見る
夕食のあとにうろうろと歩きながら話すひととき、
人の家でいただくご飯。
書店を取り巻く大切な断片に、
Vastoを思い出しつつ
胸が締め付けられる思い。
『孤独が荒野でないこと』に気づいた
強く美しい須賀さんの後ろには
こんなにもたくさんの仲間がいるのだ。
投稿元:
レビューを見る
素敵だなあ。コルシア書店の仲間と過ごした日々とそれぞれの人生。「大通りの〜」は何気ないながら胸がじん、と熱くなるものがありました。
投稿元:
レビューを見る
須賀敦子さんが、イタリアで出会ったかけがけのない友人たちをひとりひとり、エピソードをそえて書き残している心に残るエッセイ。
それぞれのバックグラウンドを持つ人たちが、共通の理想を持って集うコルシア・ディ・セルヴィ書店。そこに漂う共同体の意識、立ち入りしすぎずにお互いを思いやる友情のかたち、体験をともなう歴史のあと、本を愛するひとたちの雰囲気、そういったものがこのエッセイを通じて自分の体験のように心に残った。
どうやって生きていくんだろうと考えるうえで大切にしたいものが、書店のエピソードの中にひっそりみてとれるような気がする。
投稿元:
レビューを見る
最小限の言葉で、深く静かに語る須賀さんの文章は、
本を開く瞬間から丁寧にゆっくり読みたい。
思い出を分けてもらってありがとうございます、と言いたくなる。
投稿元:
レビューを見る
至極真面目な気分の時に、手に取る須賀さんの本。真冬の清冽な空気のように、身を正されるところがあるのかも。
投稿元:
レビューを見る
イタリア関連の書籍でエッセイ本を読みたかった時に発見。
須賀敦子さんの本。
戦後間もない時期にイタリアへ渡り、過ごした日々。
それを垣間見ることができます。
とても優しく祖母から話を聞くような
懐かしい思い出話をそっと教わるような
そんな暖かい雰囲気の作品です。
大事な人たちを、須賀さんの鋭い観察力で
生き生きと描かれています。
私は、その一人一人に会ってみたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
激動の1960年代、イタリア・ミラノにあるコルシア書店で筆者が共に過ごした仲間たちを偲び、回想するエッセイ。
とてもシンプルで静謐な文章には、深い人間観察力と仲間達への深い愛情、そして彼らを喪った哀しみが込められていて、読んでいてとても切なくなる。
すごいなぁ。私はここまで仲間たち一人一人を見つめたことがあるだろうか。
久々に文学を読んだという気分になった。
投稿元:
レビューを見る
1960年代前後のイタリアミラノにあるコルシア・デイ・セルヴィ書店に集まった仲間たちを綴るエッセイ。
理想の共同体を夢見た仲間たちは、各々その思想や民族、歴史などバックボーンとなるものが異なれど、あの時あの場所で同じ方向を見ていた。そんな友との出逢いと別れを情緒的になり過ぎない一歩引いたような目で作者は見ています。
はじめ書店の持つ意味や歴史的背景が判らず話に入りにくかったのですが、すぐに人物そのものの魅力に目がいきました。愛嬌ある人もいれば、取っ付きにくい人もいます。でもひとりひとりが実に魅力的なんです。「楽しかった青春」という言葉だけではくぐりきれないものも含めて、作者の目は全てを包括しています。
投稿元:
レビューを見る
ミラノの教会のなかにあったコルシア・デイ・セルビィ書店。カトリック左派に属するそのちいさな書店があまにも独特で特殊で、こんな書店が存在すること自体、驚きだった。30年以上経ったあとも彼女が「仲間」とよぶその意味がよくわかる気がする。
投稿元:
レビューを見る
その時代の、文化を守りながら傾倒した、文化というものに取り憑かれ、縋るように或いは文化そのものとして生きる人々。きらきらした、とは言い切れない思い出に、寂しいような羨ましいような。
投稿元:
レビューを見る
コルシア書店に集まってくる人物は人種や思想、歴史など、多様な違いを見せてくれる。
それはやはり、著者が出会った人物を深く、愛をもって観察していたからで、その気持ちが文章になった時、生き生きと登場人物は人間らしさを見せてくれる。
世界史すらわからない自分にとっては作中当時のミラノの状況なんて全くわからないのだけれども、
場所も時間も遠いところで登場人物達が、人間らしく生きていることに感動した。