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書いたのは極地冒険家・荻田泰永さん。北極をたった一人で歩く僕の一日。頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇…。北極を歩く僕を追体験してるような。そこは死が身近にある環境。だから命のあたたかさも感じる。生きてるんだなあって。生かされてるんだなあって。
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北極ってこんなところ。
それをとにかく伝えたい。そんな本。
北極にも、たくさんの命が生きている。
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感想
シンプルな色合い。北極の写真や映像は見ることがあるが、この絵本の色合いから自然の厳しさ、命のやりとりが伝わってくる。白の世界に青、赤、黄色のページがはさまれ、北極の動物たちの息吹が聞こえてくるよう。『PIHOTEK』はPANTONE社の特色4色のみで表現された特別な色合いの絵本とのこと。
「空が紫色に染まる一瞬、光は世界に力を与える。夜が明ける」
のページの色合いが素敵だ。
ぜひ手に取って欲しい。カバーを外して、描かれた冒険の足跡を辿ってみるのもいいのでは?
<書籍情報>
日本絵本賞大賞受賞!造本装幀コンクール日本書籍出版理事長賞受賞!
「植村直己冒険賞」受賞の極地冒険家、荻田泰永×「世界で最も美しい本コンクール」銀賞受賞の井上奈奈による絵本。
北極をたった一人で歩く”僕”の一日を描く。
頬を叩く風、北極での生き方を知る動物たち、空から降りる暗闇、そして……。
北極を歩く”僕”を追体験できる、命と死を感じる美しい絵本。
(巻末エッセイより)
イヌイットについて
「彼らにとって自然と自分との境界は曖昧だったのではないだろうかと感じさせる。自分の命は周囲の自然環境と全く同一である。イヌイットもいまでは現代的な生活様式を得ているが、根底に生きている観念は未だ自然の中にある。」
「その土地で生きるということは、その土地から命を得ることだ。」
(中略)
「すべての命も存在も関係性の中に生まれ、死んでいき、また生を形づくる。」
「環境問題とは数字の問題ではない。命の問題だ。自分の命はもちろん、隣にいる大切な人の命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。命を切断して物事を考える思考こそが、最大の問題である」
「北極を冒険することは、生きることだ。そして、死を感じることだ。その死とは、誰かの命であり、いつの日か自分の体も分解されて、空に舞い、風に吹かれて誰かの命にたどり着く。」
「北極に吹く風の中には、きっと誰かの命が舞っている」
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探検家の方が書いた絵本
厳しい北極を探検するお話
全体にモノクロで描かれ、本当に北極にいるみたいな世界観だった。
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この絵本の文章を書かれた、「荻田泰永」さんは、北極冒険家であり、2000年よりカナダ北極圏やグリーンランド、北極海で主に単独徒歩での冒険を実施。2017年植村直己冒険賞受賞、2018年には日本人初の南極点無補給単独徒歩到達に成功され、これまでに、北極と南極を1万Km以上踏破されたとのこと。
そんな彼が何故このような絵本を書かれたのか。
それは、タイトルの副題にもある『風』に、とても大切な意味がありそうで、ブクログの写真だと分かりづらいのですが、表紙の絵には、その絶え間なく吹き続ける風雪の流れが立体的に作られているのが分かり、そうした強調した点からも感じられそうです。
北極を通い始めて20年が過ぎた、荻田さんは、毎回そこを歩く時、当然ひとりぼっちとなり、人のいない、ひたすらだだっ広いその地を、風に頬を叩かれつつ、命を支える道具や食料を積んだソリを引きながら歩く姿は、どこか辛く寂しそうに見える。
しかし、だからこそ、彼はそんな過酷な地に住む動物たちの生き様をよく見ており、そこに住むホッキョクグマは、アザラシを探すのに匂いをたよりに居場所を見つけていることや、ホッキョクウサギが身を寄せ合って春を待つ姿には、その土地に見合った生き方を既に知っているからだと実感している、そんな思いに、彼自身励まされているように思われる中、夜が訪れて、疲れた体をひきずり寝床を作る。
そして、寝袋にくるまり身を横たえた時、一際その存在の強さを感じられた、風の奥から更に聞こえてきた、夢とも現ともつかぬものに、彼は思いを巡らせる。
そこにあったのは、彼がこれまで見てきた、北極で生きとし生けるものたちが風に乗って流れていく姿であり、そこには力も本能も食物連鎖も関係ない、全てが平等な存在に立ち帰りながら、再び、新たな生へと循環してゆくように思われる中、彼自身も、その風の一部として溶け込んでいくような感覚に、こうして世界は巡り巡ってひとつになっており、風も人も動物も同じ星の一部なんだと実感させられたことが、彼にとっての生きるということなのではないかと感じ、それを確かめたくて、何回も北極に通っているのではないかと思うと、副題の『北極を風と歩く』には、彼にとって、風が同じ星の一部と感じられる、かけがえのない大切なものであるからだと、実感させられるものがありました。
また、それはたとえ北極に行かなくても、私の暮らす周りの世界に於いても同様なんだと感じることで、改めて、共に暮らす生きるものたちへの眼差しに、愛おしさが宿ってくるのが実感させられたことから、荻田さんが伝えたかったのはこれなのかなと感じました。
それから、私が最も心を痛めたのは、巻末にあった荻田さんのエッセイ「あわいにとけいる」に書かれていた、『環境問題とは数字の問題ではなく、命の問題である』ということで、『それは自分の命はもちろん、隣にいる大切な命であり、会ったこともない遠い土地の誰かの命であり、時代も異なる動物の命のことだ。命と切断して物事を考える思考こそが、最大の問題である』には、とても考えさせられるものがあり、データだけで推し量��てはいけない、もっと大切なものがあることを実感いたしました。
そして、最後になってしまいましたが、この絵本の絵を描かれた、「井上奈奈」さんについても少し書きたくて、京都府舞鶴市生まれで、16歳のとき単身アメリカに留学して美術を学び、武蔵野美術大学卒業後は、2018年絵本『くままでのおさらい』特装版が、ドイツのライプツィヒで開催された「世界で最も美しい本コンクール」にて銀賞を受賞されたが、その他の作品も、ブクログで見たことある作品ばかりで、今注目されている方なんだなと実感いたしました。
その印象は本書でも変わらず、基本的には白と灰を基調とした中での濃い色の使い方に加えて、そこに使われた銀の蛍光色が全く浮かずに、北極の絵に馴染んでいる様には、そこで生きているものたちの存在の神々しさを表しているようで印象的でしたし、他にも見開き一面を鮮やかな一色で表現した、感情を潜ませた絵や、夜明けの空の、異なる色が互いに混ざりながら並ぶ素朴な美しい絵から感じられた色の選択に、この人独特の美があるようで、また印象的でしたし、荻田さんが特別に感じた風の存在は、微妙に異なる青を丁寧に散りばめながらも、その流れゆく様子も見事に表現された絵に、ひとつの星の循環する姿を見るようでした。
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人生で北極に行くことはないだろうけど、どんな感覚なのだろう、と思う。
寒さの度合い、孤独の度合いを想像する。
北極にうさぎたくさんいることは知らなかった。
紙や印刷、色調にもこだわっている感じで、カバーにはややエンボスがあり、夜明けのシーンが特にきれいだった。
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雑誌「ダ・ヴィンチ」で紹介されているのを見て手に取り。
カバーはシボ感というかぽこぽこした紙の質感を感じ、雪が厚いという感覚が伝わるような装丁。本文の紙の質も手に柔らかく、遊び紙は極地圏の宇宙を思わせるような濃い藍に近い蒼色。装丁にこだわっているのが伝わります。
ピヒュッティってどういう意味かな、何語なんだろうと思いましたが答えは後書きに。著者は探検家の方だったんですね。
絵の線、色使い、人物や動物たちの描き方、全て短く詩のような文章によく合っています。
汗をダラダラかくまだ暑いこの時期に読めてちょっと涼しくなりました。
「初めての今日」という言葉が染みました。誰でも朝目覚めたら今日は初めての今日だ、と思えるのは子供よりある程度の大人の方かもしれませんね。味わい深い一冊でした。
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ピヒュッティ=スノーウォーカー=荻田さん
私は以前から知る荻田さん!
100マイルアドベンチャーを主催したり、北極を冒険したり、この人への興味は尽きない。
その荻田さんが、絵本をだしたということで図書館へ行くと新刊に並んでいました(^_^)
キレイな言葉で、自分の経験した不思議な世界を描いている。
新美南吉先生の言葉の使い方に似ているような気がした。
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図書館本。北極を歩く旅人が詩を読むような体で、その厳しさを綴っています。最後が良いです。環境問題とは、データ上のものでなく、命の問題であること。抽象的なようで、心にストンと落ちました。
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9歳0ヶ月の娘に読み聞かせ
日本絵本大賞受賞本
詩のような文章
単調だけど強さと優しさがあるイラスト
不思議に引き込まれる雰囲気の絵本でした
北極探検家という
私には未知の世界
常に生と死を感じているのかな