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小笠原豊樹の訳の美しさに感激。
「きょうはなんにち/きょうは毎日だよ/かわいいひと/きょうは一生だよ/いとしいひと/ぼくらは愛し合って生きる/ぼくらは生きて愛し合う/ぼくらは知らない 生きるってなんだろう/ぼくらは知らない 日にちってなんだろう/ぼくらは知らない 愛ってなんだろう。」(唄)
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20世紀に活躍したフランスの詩人、ジャック・プレヴェールの詩集。
シャンソン『枯葉』の作詞者であり、映画『天井桟敷の人々』の脚本家としても有名だけど、詩としては
「三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで」と始まる短い恋愛詩(『夜のパリ』)や、
「天にましますわれらの父よ/天にとどまりたまえ/われらは地上にのこります/地上はときどきうつくしい」という語で始まる詩(『われらの父よ』)などをよく目にする。
肩肘張らずに読める、軽妙洒脱で、機智とユーモアに溢れた詩集。巻末に付された谷川俊太郎の解説文も、洒落ていて面白い。
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『ことば』より
『見世物』より
『雨とお天気』より
『ものがたり』より
(シャンソン)枯葉
著者:ジャック・プレヴェール(Prévert, Jacques, 1900-1977、フランス、詩人)
訳者:小笠原豊樹(1932-2014、北海道京極町、詩人)
解説:谷川俊太郎(1931-、杉並区、詩人)
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ジャック・プレヴェールは、「枯葉」というシャンソンの作詞でも良く知られています。もの哀しいメロディーの曲で、過ぎた愛を歌い上げていますが、この詩集に収められた他の詩は、予想に反して明るい色調のものが多いです。
例えば「なくした時間」。天気のいい日に働いていると、みんなが持つであろう気分が軽快に表現されていて、思わず微笑みました。
また「祭」。生命の神秘と儚さが、短い詩に濃縮されています。
詩は、詠う人の心のあり方が如実に現れるものだと思います。
簡潔な言葉で人生のシーンをとらえてみせたプレヴェールの心は、市井で生きる人々の気持ちと同じ目線に立っていたんではないかと感じました。
個人的に、「枯葉」の「ね、僕は忘れていないだろう(Tu vois, je n’ai pas oublié)」という件は、フランス人の心根の優しさを感じさせる部分です。
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岩波文庫赤
プレヴェール 詩集 小笠原豊樹 訳
対象や景色を細かく描写しているため、叙情詩というより 短編小説を読んでいる感じ。叙景詩というのだろうか?
詩から物語を想像しやすい。戦後の民衆の苦悩、資本主義への批判をイメージして 詩を詠んだ。「赤い血」という表現には驚いたが、ほとばしる生命 と解釈した
リフレイン や リズムに 法則性があり、言葉としても面白い。訳が上手い?
ことば
「くじら釣り」息子の自分、父親殺し、くじら=息子の自我?
「われらの父よ」この世のすべてのすばらしさは 地上にあります
「景色が変わる」二つある、一つは月、もう一つは太陽、貧乏人 労働者に この二つは見えない
「血まみれの唄」生きものはすべて地球といっしょにまわって血を流す
「唄」きょうは 一生だよ
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2018年3月「眼横鼻直」
https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/2018/0301-6293.html
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なにより、訳がよい。
オンライン講義に目をショボショボさせている折に、「失った時」Le Temps Perduを読むと、ああプレヴェール、君はよく分かっている…と肩を組んでやりたいような気持になる。また、恋路の道づれとして語らうのも愉しい。
寺山修司が提唱した「ポケットに名言を」放り込むのも、ランボーとか山之口貘のはむづかしくとも、プレヴェールの言葉や茨木のり子なら気軽にできる。
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一番好き
夜のパリ
三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで
はじめのはきみの顔を隈なく見るため
つぎのはきみの目をみるため
最後のはきみのくちびるを見るため
残りのくらやみは今のすべを思い出すため
きみを抱きしめながら
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スタンドバイミー、グリーンマイルを世に送った小説家スティーヴン・キングは自身の著作でこう語った。「文章とは言葉を使ったテレパシーである(要約)」と。
この言葉を真に受けるなら、このテレパスをプレヴェールほど上手く使いこなす人を私は見たことがない。
極限まで削ぎ取られた短い言葉に、ときに身も凍るような冬風の冷たさが、ときに直の太陽を浴びるよりも燦々とした輝きが、そしてときに冷たさにたまらず熾したマッチひとつ分の仄かな温かさが、読み上げた端から頭の中に情景として広がっていくさまは見事としか言いようがない。
プレヴェールの言葉選びとそれをどう組み合わせれば自分が見た・想像した物と同じ物が相手の内にできるかという計算もさることながら、訳者もまたそのプレヴェールの意を汲み、さまざまな言の葉の中から洋服を組み合わせるかのようにぴったりな言葉同士を多種多様な日本語の内から選び出して、国や言葉を越えた感動をこうして私たちの前に提供していただけたことにひたすら平伏する他なく、陰ながらも決して無視できない職人技だ。
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プレヴェールを味わうには、わたしの中身がまだ追いついてないな、と感じた。
知識不要だよって言いながらずっとにこにこして手をこまねいてるけど、わたしがその世界に入り込めない感じ。
p.23「劣等生」
p.178「祭」
p.210「とかげ」
p.96「夜のパリ」
三本のマッチ 一本ずつ擦る 夜のなかで
はじめはきみの顔を隈なく見るため
つぎはきみの目をみるため
最後のはきみのくちびるを見るため
残りのくらやみは今のすべてを想い出すため
きみを抱きしめながら。