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コーポレートファイナンスを学ぶための基本的な本。姉妹本のアカウンティングがオススメできたが、こちらは初めてファイナンスを学ぶのには少し難しいかもしれない。コーポレートファイナンスの基礎を学んだ身としては復習として活用できる本であった。
ファイナンスは単純に企業価値を測定するためのツールとして計算するという単純なものでなく、その企業の経営理念、戦略から落とし込んで、その企業や事業の価値をどう見るか、という前提を持たなければならない。
学びメモ
・パリューチェーンを使ってFCFを予測する。一般的な5つの主活動と4つの支援活動わ3つのキャッシュフロー(P/L、設備投資、運転資金)で一つずつ考察し、プラスマイナス、金額のインパクト、一時的か継続的かなどを予測する。その予測が出来上がったものこそが事業の数値化予測されたFCF予測である。
・戦略の構築がなければ事業計画の数値化は実行できない。バリューチェーンをマーケティングの4Pにブレークダウンして考察すると良い。
・事業を数値化するには事業戦略の構築が前提となり、それには、パリューチェーンや4Pの活用が有効、それを会計数値に置き換えて予測、整理すると良い。その時に類似する企業や事業の数値をベンチマークとして参考にすると良い。
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久しぶりに読んだファイナンス系の本。
著者の大津さんは、会計やファイナンスを勉強する際に、
自分が何人か「この人は間違いない!」と思っている人の一人。
ファイナンスの基礎から応用まで、
ビジネススクール内の講義のように
講師と生徒のディスカッション形式で進んでいくので、
とても分かりやすいです。
ファイナンスで使う数学の公式については、
説明が省略されているので、
完全な初心者の人はこの本に行くまでにもう一冊挟んだ方が良いかもしれませんが、
それでもこの本の価値が下がることはないでしょう。
結構サクッと読むつもりが、
後半は意外に骨太だったので、
読むのに少し時間がかかりました。
自分も一部忘れている考えとかもあったので、
とても良い復習になりました。
ファイナンスをしっかり学びたい人には
とてもお勧めの本です。
大津さんの他の本はこちら。(レビュー書いているものだけ。)
※英語の決算書を読むスキル
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478017948#comment
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ファイナンスについて勉強したいと思っていた自分にとってはピッタリの本でした。難しい理論の話ではなく、会計とファイナンスの違いなどが分かりやすく説明されており、新規事業などを考える際に必要なファイナンス理論とそれをもとに事業の数値化をする方法がなんとなくイメージできたので勉強になった。
特にIRRについて整理できたのがよかった。最近実務でも使用しており、投資効率を考える上では重要な指標であるが、事業の規模は考慮されていない点やそれと比較するハードルレートをどう設定するかも重要であると分かった。
また資本コストを考える上でリスクというものが非常に重要である点も勉強になった。
後半の事業数値化の部分についてはまだ理解しきれていないところもあるのでまた読み直したいと思った。
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ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力
はじめに
ファイナンスを学ぶ学生からのよくある質問
ファイナンスではなく、コーポレート・ファイナンス
アクション・ラーニングに見る事業数値化の弱さ
本書が力点を置くコーポレート・ファイナンス
「はじめに」の終わりに全体を鳥瞰しよう
FAQ1 「一般のビジネスパーソンがファイナンスを学ぶ意義って何ですか?」
コラム CGコードが求めるファイナンス理論に根ざした経営
はじめにのまとめ
第1部 ファイナンス
第1章 お金の時間的価値
時間には価値がある
FAQ2 「なぜ機会メリットと言わずに、機会コストというのですか?」
今日の100円は、明日の100円より価値がある
FAQ3 「お金を預けた銀行が破綻してしまったら、どうなんですか?」
FAQ4 「デフレだったら、どうですか?」
Discounted Cash Flow(DCF)法
FAQ5 「金利が5%とは、いまの日本では高過ぎませんか?」
FAQ6 「なぜ利益ではなく、キャッシュフローなのですか?」
FAQ7 「DCFを使う人って、社内でも限られた部門の人達だけですよね?」
コラム あらゆる部門で活用されるDCF法
FAQ8 「数字の肌感覚をつけるには、何かいいコツはありますか?」
FAQ9 「敢えて価値が低い方を選ぶことって、企業には絶対に無いんですか?」
第2章 ファイナンスとアカウンティング
ファイナンスとアカウンティングの3つの違い
FAQ10 「ファイナンスもアカウンティングと同じくらい大事なのに、なぜ普段扱う数値のほとんどはアカウンティングなのですか?」
FAQ11 「この2つは、別のものと考えるべきなのですか?」
FAQ12 「私たちの会社では、どちらをより重視した経営を目指せばよいですか?」
「アカウンティング→ファイナンス」の順に学ぶ
FAQ13 「決算発表って、過去の報告だけなんですか?」
コラム アカウンティングもまた、将来を語る主要な言語である
第3章 NPV法とIRR法
NPV(Net Present Value:正味現在価値)法
①NPV関数を用いるパターン
②NPV関数を用いないパターン
FAQ14 「NPV法があるのに、なぜうちの会社は回収期間法なのですか? キャッシュフローを割り引くなんて、そんなこと実際に企業はやっているんですか?」
FAQ15 「先ほどの設問では5年目でキャッシュフローを止めていますが、6年目以降はどうなってしまったんですか?」
FAQ16 「回収期間法の年数は、どう設定すればよいのですか?」
コラム 回収期間法(割引き無し)とNPV法の整合性
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)法
FAQ17 「IRRは高いほうがよいのですか、低いほうがよいのですか?」
NPV法とIRR法の共通点と相違点
NPV法とIRR法で意思決定は等しくなる
FAQ18 「NPV法とIRR法って、向き、不向きはあるのですか?」
FAQ19 「日本と海外で、投資の意思決定手法の違いはあるのですか?」
コラム 諸外国と比べ、日本ではIRR採用率が低い背景を考える
FAQ20 「ROICという経営指標の導入が進んでいると聞きましたが、IRRとはどう違うのですか?」
コラム 似て非なる指標 IRRとROIC
第4章 フリー・キャッシュフロー
予測利益ではなく、予測キャッシュフローの現在価値
分子はフリー・キャッシュフロー(FCF)
FCFを算定する① P/Lに関する項目
FCFを算定する② 設備投資に関する項目
FCFを算定する③ 運転資金に関する項目
FAQ21 「NPVは、P/L上の予測利益ではなく予測キャッシュフローの現在価値だと言うのに、予測FCFのスタートは、なぜP/Lの売上や営業利益なのですか?」
FAQ22 「アカウンティングのクラスで学んだフリー・キャッシュフローとは、どこが違うのですか?」
FAQ23 「会社から支払利息は流出するのでフリーではないはずなのに、なぜフリー・キャッシュフローの式からは引かないのですか?」
FAQ24 「なぜ『株主のものとなる』ではなく『株主・金融債権者のものとなる』なのですか?」
FAQ25 「実際に支払うであろう税金とはズレませんか?」
FAQ26 「金融収益は入れないのですか?」
FAQ27 「利益に減価償却費を足すとキャッシュになるというのが、どうもしっくり来ないのですが?」
FAQ28 「定率法と定額法だと、どっちが企業価値を高めるのですか?」
コラム 定率法は企業価値を高める
FAQ29 「定率法が企業価値を高めるのに、なぜ多くの企業が定額法に変更するのですか?」
コラム 村田製作所の定率法から定額法への変更の意図を考察する
FAQ30 「だらだらした式を、どうやって覚えたらよいのでしょうか?」
永久年金型
FAQ31 「計算はできるのですが、なんだかピンと来ません」
FAQ32 「そもそも永久にキャッシュが生まれるのに、なんで値段が決まるのですか?」
FAQ33 「不動産業界のキャップレートの式に、永久年金型の公式が似てる気がするのですが?」
コラム 不動産業界で多用されるキャップレートは、永久年金型公式そのもの
割増永久年金型
FAQ34 「成長率が割引率を上回ったら、価値がマイナスになってしまいませんか?」
FAQ35 「永久のマイナス成長は、実務で許容されるのですか?」
コラム マイナス成長が企業価値にもたらす負のインパクトの大きさ
ターミナルバリュー(Terminal Value)
FAQ36 「ターミナルバリューですべて決まってしまいませんか?」
FAQ37 「ターミナルバリューなんて、本当に算入して計算するんですか?」
第5章 資本コスト
リスクとは、将来の予測の不確実性
FAQ38 「でもやっぱり、いやなことがリスクであって、よいことはリスクではないですよね?」
ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン
FAQ39 「私はいつも、ハイリスク・ローリターンで終わってしまうんですが、そんなことってあるのですか?」
FAQ40 「リスクとリターンの関係って、人生観にまで発展できませんか?」
コラム 局アナとフリーアナウンサー
機会コストと、要求リターンを定めるリスクとの関係
加重平均資本コスト(WACC)
FAQ41 「投資家からは簿価に計上された資金しか受け取っていないのに、どうして時価ベースで加重平均するのですか?」
FAQ42 「利益が減っているのに、株主はハッピーなんですか?」
FAQ43 「だったら、ひたすら借金したほうが株主はハッピーになりませんか?」
割引率は資本コスト
FAQ44 「株価が下がるとWACCも下がるって、おかしくないですか?」
コラム WACCの変数は、将来思考で設定する
FAQ45 「会社が実際に使っている割引率を見ることなんてできるんですか?」
コラム 有価証券報告書に見る、各社が使用する割引率のケーススタディ
第6章 企業価値向上の経営
事業価値から企業価値へ
FAQ46 「上場企業なら時価総額が株主価値だし、借金の額もすぐ分かるから、DCF法なんて使わなくても、2つの足し算で企業価値は簡単に計算できませんか?」
FAQ47 「企業価値を向上するためには、具体的に何をしたらいいのですか?」
コラム 企業価値の算定式に基づいて、実行策を考える
FAQ48 「事業価値の合計額が、常に企業価値と等しくなるのですか?」
コラム コングロマリット・ディスカウントからコングロマリット・プレミアムへ
第2部 事業数値化力
第7章 3つのFCFを予測する事業数値化力
FCFに影響を与えるすべての要素を洗い出して、事業を数値化する
QUIZ① 製造工程自動化のために最新機械を導入するか?
企業活動のゴールは、企業価値を高めること
FAQ49 「シミュレーションするのに便利なエクセルのツールってありますか?」
コラム 覚えておいて損はない、実務でも多用されるゴールシーク
バリューチェーンを使ってモレなくダブリのないFCFを予測
FAQ50 「カーボンニュートラルのための投資って、NPVはマイナスですよね?」
コラム デルタ型の比較相手を誤ってしまっては、正しい結論に至らない
第7章のまとめ
第8章 デルタ型を事業数値化する
QUIZ② 部品の内製化を続けるか、外部調達に切り替えるか?
第8章のまとめ
第9章 ゼロワン型を事業数値化する
QUIZ③ 事業計画の裏側を考察する
Ⅰ 売上原価と販管費の中身を戦略思考で考察する
Ⅱ 変動費と固定費の固変分解により、収益構造の変化をとらえる
Ⅲ ターミナルバリューの挿入可否と、挿入時のロジックを熟考する
ケーススタディ 食品会社の買収金額を考える
QUIZ④ 食品会社の買収金額はいくらが適切か?
コストアプローチ PBRを用いて、コストベースのバリュエーションを試みる
マーケットアプローチ PERを用いて、マーケットベースのバリュエーションを試みる
インカムアプローチ DCF法を用いて、インカムベースのバリュエーションを試みる
シナジーを組み込んで、再び��リュエーションを試みる
経営方針や経営戦略に合致しない案件は、NPVが巨額のプラスでも、NO Go
FAQ51 「M&Aのバリュエーションのアプローチを実際に見ることなんてできるんですか?」
コラム 公開買付資料から読み解く、M&Aのバリュエーション
FAQ52 「ヒトの価値なんていうのも、3つのアプローチで考えることはできるんですか?」
コラム MLBスーパースターの価値(年俸)を算定する
第9章のまとめ
第3部 発展編
コーヒーブレイク 企業内教育研修における「ファイナンス×事業数値化力」の強化のために
発展編1 CAPM(資本資産価格モデル)
FAQ53 1つのWACCで会社内にあるすべてのプロジェクトを評価することになるんですか?
コラム 企業内には無数の割引率が存在している
FAQ54 WACCを使ったDCF法では、年度ごとに割引率を変えることはないんですか?
コラム 異なる年度のすべてのCFを1つの割引率で割り引く背景
FAQ55 株主資本コストは株主による理論上の要求リターンなら、これを使って株価の評価もできませんか?
コラム 株主資本コストを用いた3つのバリュエーション(株主価値評価)
発展編2 MM(モジリアーニ&ミラー)理論
発展編3 APV(Adjusted Present Value)法
FAQ56 同じ事業を営んでいれば、βは一緒と考えて良いのですか?
コラム 財務リスクの調整は、アンレバードβを活用して実行する
発展編4 EVA(Economic Value Added)法
おわりに
ファイナンス・スキルを身につけるために
あとがき
日本経済新聞出版「ビジネススクールで身につける ファイナンス×事業数値化力」 2022年9月