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主人公の30年いや40年になるか、生涯の物語だ。対立する2人のそれぞれの家庭の親娘の心温まる会話等々に感動した。そして最終章では涙が滲み出、自分にも生涯の友がいることの幸せを思った感動の一冊だった。
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月村氏は時代小説も半端ない。山本周五郎や藤沢周平、池波正太郎、最近でいうと葉室麟や砂原浩太朗等々の名手と比べるのは可哀想だが、それでも素晴らしい力作で心が熱くなり響く作品。ストーリテリングの上手さは時代小説でも遺憾なく発揮されている。
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人生は恐ろしい。ふとした行き違いで真逆の生き方に。しかも「御公儀の御政道に対し、もの言うことなど許されぬ。それが天下の定めである限り、我らはその流れに乗って生き続けるしかないのじゃ」つまらぬことに囚われ続ける人が与る御政道なのに…今の時代は、まだ制度的には“否”の声挙げる事ができる喜び。行使しないと。弁えている場合じゃない。「貴公とわし、どちらが御上を尽くしておるか」重たいことば…。月村さん、舞台が代わっても、熱い思いが流れ込んでくる。
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先手弓組の幣原喬十郎が十三夜に出くわした殺害現場。そこにはただ涙を流す盗人の千吉がいた。事件の真相を知るために千吉を追う喬十郎、しかしその手を掻い潜り姿を眩ませる千吉。やがて時は流れ、両替商の銀字屋となった千吉は喬十郎に再会することになる。読み応えのある時代ミステリです。
まるで違う出自と境遇でありながら、同じ年頃で家族構成も同じ二人が対立し、ひたすらにお互いを敵視しながら物語は進むのですが。結局のところ立ち向かうべき強大な敵は同じなのではないのかな、と思えるし、ある意味バディものとしても読めそうな作品。自らの甘さを自覚しながらも涙を見せることを厭う喬十郎と、厳しい現実を強かに生き抜きつつも涙もろい千吉との対比も面白いです。とっとと手を組んでしまえばいいのに、と何度思ったか(笑)。
時代劇でおなじみのあんな人やこんな人が登場したり、読みどころはたくさん。しかし何といっても女性陣の賢さ強さが素敵すぎます。そして彼女たちをけっして軽視しない二人の姿もまた素敵でした。
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天明四年五月の十三夜に始まる御先手弓組・幣原喬十郎と、「大呪の代之助」一味の千吉との因縁の物語。その因縁は田村意次と松平定信の確執にまで遡り、幕府の金融政策をも巻き込む巨大なものとなる。
長谷川平蔵や遠山金四郎といった著名な登場人物が脇を固め、読み応えのある時代小説だった。
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ひょんなことから敵同士のようになった御家人と盗人上がりの両替商が幕閣に巣食う巨悪に立ち向かう。
私腹を肥やす幕閣にしても、その手先となって余録に預かろうとする商人たちにしても、単純すぎて深みがない。
親の確執の雪解けのきっかけとなる娘同士の交流にはほっこりした。
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番方・幣原喬十郎が男女の惨殺体を発見する。そばには血にまみれた匕首を手にし滂沱する男。すぐさま追うが、自分がやったのではない、と言い残し逃げて行ってしまう。
二人の男が対立する人生を送りつつも、だんだんと真相を追っていく様が非常に興味深く目を離せないまま一気に読み進めてしまいました。
ただなんか、こう・・・結局は幕政というかそういう大きなものが相手だってもいるので巨悪と対峙というよりはただただ翻弄されていく感じが「すっきりと解決!」な気分にはならないですね。面白かったですけどね。
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月村了衛『十三夜の焔』読了。江戸の治安維持にあたる御先手組の武士と盗人の若者二人の因果な邂逅からその後数十年に及ぶ「強敵と書いて"とも"と読む」的な関係を主軸に据えた本筋の巧さ。作中の寛政の遺老による緊縮財政、そして政治的腐敗が過去のものには思えず、作家としての視点の鋭さに感服。
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江戸時代末期、ある十三夜、先手弓組番方幣原喬十郎は殺人の現場で匕首を手に涙を流す若い男千吉と運命的に出会う。仇敵となった二人、節目ごとに相まみえるが…。御上の都合、腐敗した施策、幕閣内の確執で踊らされた彼らが哀しい。現在の政治とかぶるように見えるのが怖い。
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十三夜に因縁の出逢いに遭遇した幣原喬十郎と千吉。唯一無二の友になるまでの二人の波瀾万丈の生涯を描いた時代小説。私利私欲の為、弱き立場の人間を利用する御上。今の政治を見ているようだ。
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機龍警察の著者による時代もの。十三夜によるに偶然出会った盗っ人と若い侍。その後数十年にわたる因縁の始まりであり、期せずして大老の謀に巻き込まれていく。十数年単位で場面が移り、その度に成長していくし、家族や立場も変わるが、その変化とストーリーが巧みに織り合わさっていて、大河ドラマを一気に見ている感じ。二人の感情がとてもよく伝わってきて、最後の1ページは泣ける。
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十代で出会った追い追われる二人の生涯に渡る因縁話。
島流しの刑の内実や拷問の描写に改めて過酷で苛烈だった当時を想い胸が軋んだ。
そして武士と商人の立場の違い。
そんな二人が晩年共に有る不思議と別れに苦しくもなりました。
作中、長谷川平蔵や遠山金四郎が重要人物として登場するのも、盛り上がりになっていてサクサク読み進められます。
ただ、会話の言い回しや立場、状況の描写は、時代小説を読みなれていない人には取っ付きにくそうかなぁ、と思ったりも。
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おもしろい。私的には、池波正太郎か藤沢周平かと言うぐらい一気に読めた。鬼平や東山の金さんが出るのも楽しい。
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ほとんどといってもいいほど時代小説は読まないのだが、月村了衛さんの小説は何冊か読んでいるので今作も手に取った。
十三夜に出会った幕府の喬十郎と闇社会で生きる千吉。
この立場のまったく異なる2人の再会。
運命ともいうべきか。
初めて出会った日から、互いに憎み合い、戦い合ってきたこの2人が、最後には百年の知己よりも親しい仲になる。
そうなるには、どちらも娘のおかげもあったのかもしれない。
最初に見た涙を最後にまた見ることになった。
その涙に温もりを感じた。
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「決して忘れはせぬ。十三夜にお前が流した涙を。」
「ならば俺の流した涙の夢を抱いて死ね。」
この帯の文字にひかれて手に取りました
追うものと追われるもの、偶然の出会いから始まった宿命。なにかあるのは決まって十三夜。
真実に近付くにつれて現れる本当の敵の正体。忠義とはなにか、守るべき家族と己が矜持。忘れ難き過去と現実。
やー面白かったです。好きな要素しかなかった。
お互いへの恨みを忘れずにいながらも宿命の2人のバディもののようでもありにっこり。
2人の奥さんや娘さんの強さ潔さや、名前の知っている歴史上の人物が出てくるのも面白かったです。