紙の本
想定してたのとは違ったけど、後半楽しめた
2023/01/20 02:47
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
変えられた歴史ifのSF短編集かと思って手に取ったけど、作者のもしこういう設定の歴史だったらという歴史妄想if短編集という感じだった。
一つ目二つ目は合わず。
三つ目から面白かった!
百人一首ひとつ諳んじろと言われたら真っ先に出てくる和歌とその読み手のifすっごい良かった。
既知作家は小川さんだけだったけど、小川さんは短編ながら改変歴史SFという主題で一番望み通りの話を描いてくれた感じ。
最後のジャンヌのifも良かった。
将来的にありえそうなSF設定だった。
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それぞれの作品は面白かったですし,確かに全作品"改変歴史SF"です.ただ,ちょっとまとまりが無い感じが気になりました.
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わーい歴史改変だー。歴史改変小説大好き!こんなんなんぼあっても良いですからね〜。
いやこれほんとおすすめです。いずれもハイレベルな出来になっていて満足感たっぷり。現実と虚構の狭間を華麗に描く5編のアンソロジー。
宮内悠介「パニックーー一九六五年のSNS」は、SNSの普及が現実より50年早まった日本が舞台。開高健のベトナム現地取材をめぐって、SNS上で様々な意見が飛び交うアイロニカルな短編。見覚えのない、しかし馴染みのある不思議な光景が幻出しておりゾクゾク!
伴名練「二〇〇〇一周目のジャンヌ」はジャンヌ・ダルクを主役に添えたループもの。死ぬことで運命を繰り返し、あらゆる可能性の世界を描くグルーヴ感がすごい。架空のキャラの死を軽んじることに対する問題提起にも読めそう。ラストは胸に迫るものがありました。
欲を言えば5編中3編が日本を舞台とした作品だったので、例えば海外作家中心の歴史改変アンソロジーなんかも読んでみたいです。というわけで、楽しいたのしいアンソロジーでした。
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史上の人物や出来事を引きつつ、現代・近未来の技術を持ち込んだ物語。
『パニック――一九六五年のSNS』(宮内悠介)は、"自己責任"という言葉が飛び交うSNSをストレートに批判する一編。ベトナムに赴いた作家、開高健をSNSの海に投げ込んだらどうなるか。ラストも含めておもしろい。
『一一六二年のlovin' life』(斜線堂有紀)は、はみ出し者の女二人が同志となり、やがてより強く結びつくようになるのを描いた切なく熱い物語。式子内親王の和歌を取り上げており、メカの登場もないので、やわらかな情感に満ちている。
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改変歴史SFに特化した短編集。テーマが一貫しているので、SFアンソロジーの中でも読みやすい部類かと思います。
中でも印象的なのは、伴名練さんの「20001周目のジャンヌ」。様々な思惑のもとジャンヌダルクの火炙りをシュミレート上で繰り返すという酷い話なのですが、結果としてシュミレーション上の歴史改変に止まらず、実際の歴史にも影響を及ぼすという流れがとても興味深かったです。ラストの展開も綺麗で、印象的な作品でした。
異常論文に掲載された「解説──最後のレナディアン語通訳」もそうでしたが、こういった作風も描けるところが伴名練さんの大きな魅力ですね。他作品も素晴らしかったですが、この作品を読めただけで十分満足できる作品集でした。
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竹を加えた御三家以外の出版社から「SF」と銘打ったアンソロジーが出版されるなど、一昔前なら珍事の類いだった。この慶事をまずは言祝ぎたい。その上で、このメンツの中ではプロパーのSF作家と呼ばれるべき小川・伴名両氏の作が、出来においても、お題(改変歴史)に対する正面からの向き合い方においても、まずは一枚上と見なせること(まあ、好みもあるけどね)も上々吉と見た。いや、めでたい。
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歴史に生きる人々の心情を特に焦点が当たっていた話や、SF設定におもむきを置いている話、とアンソロジーの強みを活かした独自の世界観が面白かった。
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副題が「改変歴史SFアンソロジー」と書かれ、帯には「5人のSF作家が語る偽史」と書かれ、知っている書評家の2人が「大推薦!」としている。5人の作家はいずれも知っている人で、今回は私の嫌いな伴名練もいるが短い作品なので一応読んでみようと思う。しかし、大袈裟に歴史改変SFって言っているが、ちょこちょことタイムスリップさせる程度のレベルじゃないかと思い、あまり肩肘張らずに読み始めた。
全体を読み終えた感想としては、石川宗生が意外と健闘している、宮内悠介は全く響かなかった、斜線堂有紀は新しい概念で歴史を引き戻し、小川一水はスパイ系の要素を加え、一番驚いたのは伴名練。伴名練、やればできるじゃないか、ダラダラ無駄に長い長編よりもコンパクトに纏まった短編の方が合っているんじゃないか?感心した!見直した!
それでは、いつものとおり各作品について簡単なコメントをさせて戴こう。
〇 石川宗生「うたう蜘蛛」
最後のどんでん返しでSF登場。それまではどうしてこの作品がSFなんだろうかと思ったが、読み返してみると結構伏線を撒いている。このなかなか巧みな技術に感心した。広義の錬金術師は何でもできる、所謂何でも屋。中にはいかがわしいイカサマ野郎もいただろうに。人を甘利信用し過ぎることは昔も今も危険行為だ。警戒感の薄い偉い人は破滅する。あれ、これってネタバレか?
〇 宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
おもしろくない。
〇 斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
「詠語」って素晴らしい当て字。これだけでこの作品を最高評価せざるを得ない。それと、時間旅行者(女房)が昔改変させられた歴史を元に戻す地味な歴史改変とも思えるが、違う背景シナリオの可能性もある。主人公の心の動きも考えると百合の要素もある。結果として、かなり盛沢山な作品になり、今後の作品にも期待がかかる。
〇 小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」
ちょっと大雑把な展開、更に悪く言うとこじつけの様な気がするが、エンタテインメントの要素もあり、小川作品らしい面も垣間見られた。
〇 伴名練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
こちらは石川作品と真逆で、最初からSFの世界、典型的なパラレルワールド、王道ですね。これまで主人公が何回も何回もループする作品はあり、本作品の様に少しずつ良い方向に改変するものはあったが、さすがに20,001回も繰り返すアイディアは凄い。それだけでも伴名作品を十分に評価できる。余談だが、最近の将棋中継では形勢判断にAIが用いられる。AIが読みを深める度に形勢が徐々に変化していく。1万手読むのと1億手読むのとではかなり未来が違ってくる場合がある。まあ、AIほどではないが、この世界も場面を少しずつ変化させることで無数の将来が生じる。勿論、今回は億レベルまでには行かないが、主人公は永遠に繰り返す世界を体感する訳だ。ある意味、凄まじい程のパラレルワールドが折り重なった世界を漂流しているとも言える。素晴らしい作品だ。
今年突然現れたこのアンソロジー、日本SF界に楔を撃ち込む一冊になる可能性を秘めて��る。
藤井竜王、棋王戦挑決敗者復活戦、頑張れ!
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斜線堂有紀の上智卒なるほど!と思わせる英語力も見せつけられました。斜線堂ファンなら、この短編だけのために読むべき一冊です。
・石川宗生「うたう蜘蛛」
死ぬまで踊り続ける奇病が蔓延したイタリア。総督の前に、「この流行り病を収束させてみせましょう」とホーエンハイムなる錬金術師が現れる。
性描写あり、中学生には微妙ライン。
好み的には合わず。
・宮内悠介「パニック――一九六五年のSNS」
一九六五年の日本。そこには「ピーガー」というSNSが存在した。
一番心が乗らなかった作品。発想は面白い。
・斜線堂有紀「一一六二年のlovin' life」
和歌を詠むと同時に“詠訳”する平安時代。“詠語”が苦手で人前では歌を詠まない式子内親王の前に現れた一人の女房、帥(ソチ)によって詠訳の力を得る。
いやー、面白かったです。シスターフッドっぽいところは斜線堂有紀らしいけど、それ以外はこれまでにあまり見なかったような(平安だし!)世界観。
・小川一水「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」
江戸には巨大な石壁「大廓」が横たわっていた。
一体、その石壁は“何”から江戸を守っているのか――? 明暦三年一月。燃え上がるあの日の真実が紐解かれる。
これはなかなか話の展開が楽しかったのと、江戸の治水や防火の史実との絡みなどはもっと知識あればより楽しめたかな。
・伴名 練 「二〇〇〇一周目のジャンヌ」
ジャンヌ・ダルクは今まさに火刑に処されたのに、処された朝にループするお話。しかも20001回。
短いループでどんな運命変化あるのか、というところに焦点当たっていればもっと楽しめたかも。何故ループするのか、の方が私にはあまり入って来なかったので。でも、印象に残る作品でした。
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そうそうたる執筆陣なので期待したが、今一つ物足りない。内容が軽いのだ。ラノベ系文庫のレーベルから出版されているし、表紙カバーのイラストもそれっぽい。
そんな中でも、 小川一水氏の「大江戸石廓突破仕留(おおえどいしのくるわをつきやぶりしとめる)」は、お薦めできるかな。
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『ifの世界線 改変歴史SFアンソロジー』読了。
石川宗生、小川一水、斜線堂有紀、伴名練、宮内悠介という揃いも揃って好きな作家に、改変歴史SFと来たら手に取らざるを得ない。
斜線堂有紀の平安時代の和歌英訳百合が秀逸。
歌の才だけでなく、詠訳=英訳の腕も求められるという設定を活かしたバディものであり百合であり。定家との関係性など、改変歴史ものらしい俗説へのズラシも利いている。
伴名練が描くジャンヌ・ダルクの死に戻り…
これは十分におもしろくコンパクトにまとまってるのだけれども、題材だけで勝ってるだけに伴名練ならでは、という趣がやや物足りない。中編くらいで読みたかった…
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最近よく聞く改変歴史SFってどんなの?と気になったら読んでみるといいですよと人に薦められる5人の作家さんによる短編集。伴名練氏の「二〇〇〇一周目のジャンヌ」が印象的だか、他の作品もバラエティに富んでいて、さくっと読めて良いです。
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人気作家による歴史改変もののアンソロジー。
久しぶりにSFを読んだら難しかった。でも面白かった。
作家さんたちの知識量に感服。
私のような歴史音痴でも何となく楽しめるが、歴史に詳しい方はもっと楽しめるでしょう。
石井宗生さんと宮内悠介さんと伴名練さんの作品が好き!
宮内さんの作品の皮肉めいた結末がキュンときた。
死ぬまで踊る奇病が蔓延したイタリア―――石川宗生
1965年に起きた世界初の炎上事件の顛末―――宮内悠介
和歌を詠訳(英訳)する平安時代の恋の物語―――斜線堂有紀
石造りの町、江戸で起きた事件の真相とは―――小川一水
何度も火刑の前に戻ってしまう、ジャンヌ・ダルク―――伴名練
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SFは普段全く読まないジャンルだが、斜線堂有紀さんの『1162年のlovin life』が面白そうだったので購入。
帥は本当に死んだのだろうか?それともタイムトラベラー的な何かなのか?なと面白く読めた。改変歴史と謳ってるが、私の教養が足らず元の歴史を調べながら読んだりしたが、最初の二篇はスラスラとは読み進めることができなかった。
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伴名練「20001周目のジャンヌ」が面白かった。何度も何度もやり直す…考えただけで倦んでしまう。ジャンヌの最後の選択が良く、後味もすっきり。
斜線堂有紀「一一六二年のlovin’ life」も良かった。この上ない相棒を得た喜び、失った悲しみ。史実をそういう風に改変するのも面白い。