紙の本
ごちゃごちゃ
2022/11/05 20:08
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
この著者さんのHeaven’s Rain天国の雨が
大好きだったため、
著者さん久しぶりの四六版が出るとの事で
楽しみにしていたしすぐに購入しました!
前作のこのて左の方はノリが軽すぎて、
ついていけなかったんですが、
(真剣で切ない話にあのノリって..)
Heaven’s Rain天国の雨で
感じた感動を味わいたく
これから良くなるだろうと期待して
このて右を買いました。
まず読み始めてすぐのページで、
やは。ってなってるの2箇所見つけましたが
やば。の間違えですよね?
校正段階で気づかないのかなぁ、、
残念だと思い読み進めると、
関係ない話がわぁーわぁー。と..
完全な蛇足。
とにかく入り込めず飛ばし読みで30分程度で
読み終わりましたが買ったことに後悔です..
今日売ってきましたが2冊合わせて300円w
他の本の足しにすらならないしw
月に4.50冊ほど読みますが、
ここ何年かでトップに来るほど
入り込めない本でした。
またHeaven’s Rain天国の雨の様な良作を
書かれることを期待してます!
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レイプ犯グループへの「制裁」を企てたことから窮地に追い込まれ、一人の力を用いて心中を図ったふたりの行く末は…? というところから始まる下巻。
過去に戻された歩和は一ヶ月間、存在しないものとしてこの世から消えていたが、一人に『本当の名前』を呼ばれたことで姿を取り戻す。
どうやら、名前を呼ぶことが『消された』存在をこの世へと呼び戻す手段のようで…?
歩和の消えていた間、性暴力のターゲットは新人アルバイトの綾乃へと成り代わっていた。
『一度目』で過ちを犯した一人たちは、もどかしいほどの正攻法で卑劣な犯罪へと立ち向かうことになるが、ここからも上巻をものともしない激動の不幸のオンパレードが二人を襲う。
『虐げられる側』だった歩和がいままでの朝丘キャラとは異なった、素直で優しいいい子ちゃんでなく、剥き出しの怒りをぶつけるキャラクターだったことが印象的。
登場人物皆が不安や恐れや孤独や痛みを抱え、やり場のない感情から取るべきではない手段にでてしまう。そしてその矛先を向けられた時、いままで一方的に傷つけられていた側だった歩和は全てを消してやりたいと怒りに震えるが、自らの力の責任に向き合うべきだと覚悟を決めた一人は必死に歩和を止めようとする。
正直、この会社にはまともな奴がいねえのかよとあまりの非道さ身勝手さに怒りすら込み上げてきましたが、人間の狡さ弱さ身勝手さの心理をこれでもかと暴き、歩和の言葉で彼らの内面が剥き出しにされていく様の壮絶な筆致や、そこから自身の弱さや偏見、人の数だけある正しさに向き合い、折り合いをつけようとする様は読み応えがありました。
二人で幸福を得ようと色彩豊かな愛で彩られた道を歩み始めるも、さまざまな欲望は容赦なく彼らを傷つける。
そこに立ち塞がるのは、世間から押しつけられる正しさや偏見との戦いだ。
互いに手を取り合い、理解を重ね合いながら安らかな愛を育んでいきたいーささやかなその願いを叶えるためには、立ち向かわなければいけないものがあまりにもたくさんある。
人間の理不尽と悪意をこれでもかと見せつけられる展開にはうわぁ、となりますが、決してただのいい子ではなく、時に怒りをぶちまけながら根気強く一人と対話を重ねていく歩和の姿や、厳しさと優しさを持って力になる継父の姿には引き込まれた。
ここまで書くのか、という作家としての覚悟と、それを送り出すレーベルの思いの強さをすごく感じさせられた。
四六判の上下巻、人を選ぶタイプの癖のある作風と、難しいところのある作品ではありますが、注目されてほしいなぁと個人的には思わされた作品でした。
人間は身勝手で横暴で美しくないが、それでも、だからこそ美しい愛に焦がれるのかもしれないと思わされた。
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ふたりが出会い、恋をして結ばれてめでたしめでたし。では終わらないストーリー。
ある日突然かずとの前に現れた、半年前に亡くなった飼い猫のハナを名乗る少年。陽だまりのようなあたたかな好意を寄せてくれる少年に、正体はわからないまでもかずとは惹かれていく。
「俺の本当の名前ははないあお」その名前を聞いた瞬間にかずとは全てを思い出し…。
ぴったり組み木みたいに完成されたふたりでも、言葉にして伝え合わなくては時に歪み、隙間があき、形が合わなくなることもある。「幸せになってはい、終わり」ではなく、幸せでい続けることの難しさ。変わることに対する恐怖が裏に見え隠れする。
同じ場所に立ち、同じ感覚であることに安堵するかずとは、歩和の中の「強さ」に違和感を感じる。
「苦しませないとは言わない。苦しい時は一緒。ふたり一緒の共犯者」幾度となく交わされるふたりの共通認識が理想的でもあり、脆く危うい幻想的でもあり、疑心暗鬼にも囚われて、物語終盤まで常に薄気味悪い不安がつきまとう物語だった。こんなに大恋愛をしているのに、急激に冷める描写まで挟み込む作者様の“心理描写を描き切る”姿勢には毎度感嘆してしまいます。丁寧な作風がとても好きな唯一無二の作者様だと思っています。
最終的には大団円。危ういまでのふたりの同一感が消え、健康的な共に歩むふたりが存在していました。
読後感は良いです。
途中のもやもやに負けずぜひ完読いただきたい、圧倒的に“読ませる”作品です。