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やっぱり「まさきとしか作品」
序章で抱いた印象から一転。最後は切ない?悲しい?虚しい?感じが残る。
自分の「存在する」価値はなにか
自分の「生きる」価値はなにか
それぞれ登場人物が「自分の価値」についての問題を抱えて生きてる。
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楠男にとっては最初も最後も彼女への感謝の気持ちを持ったままだったというのは少し感情を揺さぶられた。
話の終盤は楠男取った行動の意味を考えさせる話だった。
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同作者の「あの日、君は何をした」「彼女が最後に見たものは」が面白かったので気になり手にしてみた
前述二作品と同じように心を動かすのが上手い作者だなと感じた
真犯人は何となくわかったが、ぶっちゃけこの作品は犯人どうこうより、そこまでに至るまでの経緯、動機に注目してもらいたい
個人的には七章からが面白いと感じた
楠生の不遇な境遇と純真さがあった上での誰も救われないストーリーには心に残る作品であった
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メインになる登場人物みんなうまく掘り下げられているから語り出すと長くなってしまいそう。
貴子の弟が過去に自殺したという設定がより一層物語を切なくさせているように感じだ。
登場人物みんな、とても多面的で奥が深い。
普段テレビや新聞で報道されて適当に聞き流している事件にもこんなふうにさまざまな事情が絡み合っているのかもと思わされた。
楠生にとって真美は全てだったけど真美にとってはそうじゃなかったのが切ない。
でも楠生は見返りなど求めていなかったからそれで良かったのに、あまりにもやりきれない結末。
楠生も貴子も死ぬまでに少しでも笑える出来事があったらいいのにと願わずにいられなかった。
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誰を殺そうと自由だと言い放った小野宮楠生。
元交際相手である山本若菜、清掃員である亀田礼子を殺害したとして逮捕された小野宮。その弁護を頼まれた宮原貴子。
小野宮に亡くなった弟の姿を重ねながら、貴子は小野宮の過去や動機や事件の真相を追っていく。
二重人格、ツギハギだらけの性格。
小野宮という人物は、一体どういう人間なのか。
クズ女のメンバー、そして小野宮の幽霊時代を知る宍戸真美が出てきてからは一気に先が気になって、一気に読み進めてしまった。
小野宮は幸せだったのかな。
宍戸真美は、クズ女のメンバーは、山本若菜は、亀田礼子は、そして貴子自身は、幸せだったのかな。
なんだか複雑な心境で読み終えた。
たった一人にだけ心を開いていた小野宮。
殺させてくれてありがとう。
なんて、たった一つの約束を、ずっと大切にして生きてきたんだろうな。
やるせなくて、切なかった。
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人の幸せについて考えさせられる本だった。
楠男は自分には、誰も助けてくれないような真っ暗な世界に色を与えてくれる宍戸さんしかいないことをわかっていた。そして、その人が笑顔になる、自分の世界に色がつくことを切望していた。楠男はそのためなら自分も犠牲にできる、本当は優しい人なのかなと思った。
当たり前だけど、やっぱり人のことを変えられるのは人だけだと改めて感じた。
楠男に残りの人生の中で少しでもきらきらとした色の世界が訪れるように、ぼくには祈ることしかできない。僕はそういう存在が自分の中でとても大きいことを知っているから、できれば楠雄のそばにいてあげて、自分にはこの人がいる、と思わせてあげたい。
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後味の悪い話が好きだった昔。
後味悪いけれど不幸の詰め合わせなだけでつまらない話が多いな、と思い始めた今。
本作、個人的には後味悪い話なのだが、最近読んでた後味悪い話って何なの?と思うくらい、とても面白い。こんな凄い話書いて作者誇らしくないの?と構文使うくらいに面白い。
面白い要素その1。クズ?クズ男のことかな?違う人かな?いや、お前だよ!! と、頭をぶん殴られる気分になること。
面白い要素その2。王道を複雑に積み重ねているため、分解したら定番の展開だけれども、一見して奇を衒った話のようで新鮮に感じること。(本当にそんな上から目線で語れるのか?)
面白い要素その3。おっかちゃん…おとっちゃん…。長すぎたり、一瞬だったりするお別れを描いていること。
面白い要素その4。何でこんなとこに?マジでいらないし駄作だわ…と思ってしまうほどミステリー作品として、他者視点描写を入れるタイミングがネタバレすぎて致命的。でもそのネタバレは多くの謎の内のほんの一つであって「この先の展開読めましたわ、ドヤ」とか思っていたら、物語の全体の謎を見落としていて、ドヤった自分が恥ずかしくなること。
要するに、自尊心がズタボロにされて、他人に優しくしようと思えた。
今日、自身としては悪意を感じる回答をされ、表面上は相手を上にあげて返すも、内心腸煮えくり返ることがあった。
でも、後々その人がめちゃくちゃ大変な目に遭っていて私と連絡している暇なんてないのに連絡をくれたことを知ったし、その人が悪意なしに回答してきた事も他人から聞いた。
世の中ってそんなもん。そんなもんだから、自分の余裕のある範囲内で前向きな考えをしていきたい。なんか違うけれど、そんな話。
まあ、自分の意思で人は殺しちゃいけないと思うけどね。
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派手に惹きつけてくる序盤から、何やかんやありながら予想出来ないところに着地する。結局はまさきとしか作品ならではのテーマだった。弁護士を主にしながらも、何人かの視点を重ねて徐々に真相に迫る展開は次々読み進めて行きたくなるもので、逆に気分的にはどんどんドロドロしたものが溜まっていく。終わったと言え全くすっきりとならず、もっとばっさりして欲しくもあるが、納得で面白い作品だった。
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前半はモヤモヤしていて、なんだか入り込めず、読み進めるのが難しかったが、後半は一気読みw
でも、読み終わってみれば、ただただ悲しくて切ないやり切れなさと、割り切れない感情が残るのみなのだった。
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二人の女性を殺し、ピースサインをしながら逮捕された楠生。詐欺師のように複数の女性に寄生し養われ、弁護士にも本心を全く見せない。事件の真相はどこにあるのか。
意外な真相と言えばそうだけど、なんというかもやもやが残る…これはまさにイヤミスというやつなのだろうか。
しかし…全ての登場人物の考えが浅くてイヤになる…。
この人たちとは関わらない世界線で生きていたいと思った。
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イヤミスではないのに、読後はグッと重い感情が胸に沈む。勘違いからの一途な献身のやるせない結末、希望と絶望が背中合わせに感じるラストだからか。
女性二人を殺したとして逮捕された小野宮楠生、通称“クズ男”の弁護を引き受けた宮原貴子が関係者の接点を繋ぎながら事件の核心に迫っていく。
まさき作品は親に愛されなかったり、毒親に苦しめられる子どもたちの救いをいつも考えさせられるなぁ。
今までの作品は母親の狂気に震えることが多かったが、この作品では珍しく独身の“クズ女”吉永の狂気が光っていた。
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うーん。好きか嫌いかと言えば好きじゃない。でも最後まで一気に読まされる。うんうんわかるわという人物描写もある。人間の多面性をわかりやすく描いていてそうだよね、わかる、人間ってそういうものだと思うものの共感したくないという自分もいたり。
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このタイトル(屑の結晶)と、漫画風絵のニヤついたイケメンの表紙。外観だけでは絶対に手に取らない本なんだけど(一見すると極道もの、裏社会ものに見える)、まさきとしかさんの本だから手に取りました。
まさきとしかさんは、それくらい信頼できる作家さんだ。この人の書くものならきっとおもしろい!と思える。
これは…序盤では絶対に真実は分からない。
最初のくすおの人を馬鹿にした態度と「クズ女」と呼ばれるくすおの親衛隊女性達が嫌すぎたのと、主人公の女性弁護士に感情移入しすぎて、依頼者にこれ言われたら私なら夜も眠れないわ…と思うと、あーこれは無理かも、なんて思ったりもしました。
ただ、少しずつ時間の全貌が見えてくるころには、もう読むのを止められなかった!
少年と少女の、幼い頃の約束。本当は果たされてない約束を、果たされたものと信じてしまったら。
そして、やはり絡んできますね、母親が。
まみの母親が病院で泣き崩れたシーンは、妙味があるなぁと感心した。支配する母親にも、我が子への愛情はある…というか、自己愛と子への愛の区別が本当についてない、子を自分と同化してるから、失ったらどうしよう!という母親の悲しみは本心なんだと私は思ったよ。
かといって、本当は親に愛されていたのに!まみは親の愛に気づいてなかったのか!怒、という話では全然なくて、親の愛=支配だから、やはり子どもが苦しむのは当然なのだ。
こういうことが、ぶわーっと押し寄せるあの描写。
大きな事件なのに、動機がささいなことや思い込みだったというのも、親の支配から逃れられず、いつまでも心が大人になれないまみと、社会から隔離されすぎて常識が通用しないくすおらしさというか。
動機の奥にある、親という闇、心を解放できず目先の「怒られないこと」ばかり気にしているアダルトチルドレンの悲壮。
物語の構成も凝ってて、とてもおもしろかった。
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女を2人殺したと話すクズ(小野宮楠生)を弁護する宮原貴子。
彼女が調べるうちに、全ての言動がただただ小野宮の宍戸に対する一途な愛を表していたのだと知ると切なくて苦しい。
守りたかった宍戸も、利用していただけの吉永に殺されて。彼女を守るために貯めたお金も、結局は宍戸を苦しめていた母の手に渡ってしまった。
世界に色を見せてくれた宍戸を失った彼の生きていく理由はあるのかな。彼女の罪を被って最後まで服役することが生きる理由になったとして、その後は?小野宮の気持ちだけが何年も宙ぶらりんで、このあともたった一人残されて。こう書いている私も、最初に宮原が警戒していたように、小野宮の虜になっているのかもしれない。
登場人物の視点で描かれるパートが所々挟まっているのが魅力的。それぞれの登場人物の心の動きがグサグサ刺さる。
出てくる人物が皆1人ぼっちなのが切ない。
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まさきとしか、すきやなあー。はー。このどっしり胸にくるこの読後感が…何がどっしりきてるのか、今の気持ちを上手く言語化できないんだけど。読み始めはサラサラ進んでたのに、途中からもう、どっしり。
幽霊の子、楠男…。
正直…楠男は悪くない!って思ってしまう。(いや、フィクションだからね、ひとごろしを擁護するつもりは微塵もない)でも、灰色の世界から救われていい人だよね。楠男にとって自分を救う方法が、約束果たすことだった。更生できるチャンスのない世の中が悪い…子どもは誰一人悪くない…いつも悪いのは大人と世の中…って思ってる私はある意味クズ女なのか?笑
いくら想像しても足らない痛みと一緒に生きてきたのに、やっと約束も果たしたのに、宍戸真美がもう生きていない世界をこれから楠男は生きていかないといけないのか…それって一体どんな…それが人を殺してしまった楠男への罪なのか…
p.s.楠男のお父さんは事故よね、、