紙の本
唯一の笑えるドストエフスキー
2022/12/03 13:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミント - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドストエフスキーの代表作といえば、どちらかといえば暗い内容のものが多い中、この本は唯一吉本新喜劇の脚本にでもできるくらいの笑える内容。多分知ってる人は少ないと思うので、私はこれからは、好きな作家はドストエフスキーと答え、その中でも一番好きなのは『ステパンチコヴォ村とその住人たち』と答え、この作品について熱く語ろうと思った。そうすれば、相手は勝手に私のことをドストエフスキーに詳しい人と思ってくれるであろう、そんな隠れた名著です。
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村の領主の屋敷に男が、巧みな弁舌とアップダウンの激しい気性で周りを翻弄し支配してゆく。
ドストエフスキー作品お馴染みの息をもつかせぬ長広舌がこれでもかと味わえる。
読みやすく、面白い。
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フォマーのこじらせた自尊心が平和な一家を恐怖に陥れる筋書きは、かつてのドスト自分達と重ね合わせて苦い思いを含めつつ、それを風刺させる事で過去の精算をしたのだろうか。
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ドストエフスキーで読んだ事のない喜劇。
エンタメとしても面白かった。
一座の大御所たる将軍夫人、その威光を前にして人みなが怖れ畏む将軍夫人は、ひからびた意地悪婆さんで、喪服に身を包んでいた。とはいえ、鬼婆ぶりが増したのは、寄る年波に勝てず、もともと貧弱だったおつむが余すところなく枯渇したからにほかならなかった。
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ユーモア小説ではあるけど、そこまで笑えるというほどではなく、普通にこの状況やばいし怖くないか?と思う場面も多かった。
ただ、他のドストエフスキー作品に比べると、思想や宗教についてのことがほぼ書かれてないし、難しさもないので読みやすい。
自尊心を拗らせに拗らせたフォマーが本当に読んでてイライラした。
なんでも被害者面して「侮辱された!」とか言うのはすごく卑怯な攻撃の仕方だし、それに対して周りの人たちもそうだそうだ!ってなったり、謝ったりしてるのがこれまた余計にイライラさせる。
家のなかにあんな人がいたら心が休まらないだろうに、なんであそこまでフォマーにみんな執心してるのかわからなかった…。
他の登場人物もキャラが濃い人揃いだったけど、あまり出番はなかったりしたのでもっとその人たちについて読んでみたかったかも。
名前をやたら変えたがる召使のヴィドプリャーソフや、素直で天真爛漫そうなぽやっとした感じの美少年召使のファラレイについてはもっと色々書けそうではあったし、個人的にはもっと彼らについて読んでみたかったなぁと。
あのドタバタ感からあのエンディングにもっていくのはすごい力技というか、エッ!?とはなった。
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なんだこれは!
ドタバタ喜劇!まだ半分しか読めてないけどどうなることやら…
と思ってたら怒涛の結末を迎えた
解説で知ったが
「読まれないドストエフスキー」らしい
なんかわかる!
勝手に想像してたドストエフスキー作品と違った
ボリショイバレエ観に行ったら吉本新喜劇やってたみたいなびっくり感ある
ただこの作品にはロシア人の本質にせまるなにかがあるように思う
振り幅が猛烈なロシアのひとたち