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正直、映画版の『二つの塔』のフロドとサムとゴラムパートが薄暗く、ずっとぼんやりと悲しいから、小説で一冊分このテンションだったらしんどいんじゃないかな、と思っていたけれど、まさかの切ない、やさしい、かわいい、りりしいパートでした。
サムよ、そんなにもフロド君が好きなのか、と何度衝撃を受けたことか。
フロド君とゴラムにちょっと心がくすぐられ、どんどんと語りの妙が深まっていく情景の描写がとても美しく、恐ろしく、現実には無い場所であることが信じられないくらいの密度で語られている。もう私もそこに行ったと言えるくらい。(言いたい!)
ファラミアの人物像が思っていたよりも武人だったことも驚きだった。
どちらも好きだ。
それにしてもサムの献身さがフロド君を支えて来たのは確かだったけれど、ゴラムを突き落とす最後の一押しをしたのも彼だったことが悲しい。
フロド君とサムのあの胸を掻きむしられる決別の場面がなかったことも嬉しかった。
よかった。こんなに慕っているのに、帰れって言われたら泣くどころじゃないわ。そのまま崖から落ちそう。だって、世界とフロド(しかもあの時点では死んでいると思っていた)を天秤にかけて、フロド君をとっちゃう人だから。
夢中で読み終えたけれど、さあ、もう残すところ二冊になってしまって、もうさみしい。読み終えたくない。でも読んでしまう。