紙の本
難しい哲学思考を非常にわかりやすく解説する良書!
2016/03/03 09:04
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「難しい」とされるヘーゲルの「精神現象学」の内容を、非常にわかりやすく解説した解読書です。竹田青嗣氏、西研氏という哲学分野の気鋭のお二人による解説は見事としか言いようがありません。ヘーゲルは難しすぎて、一度あきらめた方には、再度、本書を読んでみてください。これまでと違って、す~と理解できる自分を発見するでしょう。
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電車の中でも読めるように、という狙いで書かれているらしいのだけれど、やはり「精神現象学」は難しいよ。
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本書を読むのは何回目か。3回目?途中で断念したのを数えるともっとか。ヘーゲルは難しい。最初は本当にチンプンカンプン。解説書を読んでもチンプンカンプン。ようやくぐっと近づいてきた。勉強のせいであろうか、311以後の世界のせいであろうか。いずれにしても、福島の放射線問題みたいなリアルな問題と取っ組み合うとき、観念的と称されがちなヘーゲルは実にリアルに役に立つ。
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暇な時期があったので、ヘーゲルの『精神現象学』を読もうと画策するも、一番わかり易いと言われる長谷川宏の訳本を読んでも、全く歯が立たず。そこで、名著『ヘーゲル・大人のなりかた』の著者の西研と、竹田青嗣の解説書である本書の助けを借りることになる。
元ネタの訳文の雰囲気をかなり残しながらも、大事なところを選んでギュッと圧縮して、うまくまとめている。適宜、砕いた解説文が入っていて、だいぶわかりやすくなっている(それでも後半からは、段々疲れてくる)。タイトルの様に「完全読解」したとは思えないが、気になったところだけ書いておきたい。
まず、有名な「自己意識」の「ストア主義・懐疑主義・不幸の意識」の部分。社会と関わらずに、自分の中にこもってあれこれ考えている限り、右往左往した挙句、結局ほんとうの意味での幸福感は得られないよ、という主張。確かにこんな困った人いるな、自分も昔はこうだったなと、具体的に記憶が思い浮かんでくる、短いけれど面白いところ。
「理性」の章の後半部分。いつまでも実現できない(というか、完全に実現してしまうと逆説的に道徳性がなくなってしまう)「純粋義務」をベースに人間の行動を縛ろうとするカントの議論は、ここで批判されている弱点があるだけでなく、そもそも普通の人には無茶ぶり。むしろ、個々人は自分の認識の絶対的な正しさは証明できないけれども、「良心」にしたがい、勇気を出して決断して行動しよう、そして社会からフィードバックをもらい、「ほんとうの良いもの」をみんなで目指そう、というヘーゲルの議論の方が、何が正しいという確証が無い現代社会では現実的だと思うし、特に、評論ではなく実践・結果を求められる、ビジネスに関わる人にとってはそうだと思う。
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分かりやすくてなかなか良かった。カント批判も、なるほどと思わせるが、ぼくとしてはやはりカントのほうに心が向く。
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ヘーゲルの三つの主著のうちの一つ『精神現象学』を図書館から借りてみたものの、『歴史哲学講義』とは違って歯が立たなそうだったので、副読本としてこちらも借りてみた。
ヘーゲル哲学というのは、ヘーゲル独特の用語法によってなる「ヘーゲル語」で書かれているらしく、その「ヘーゲル語」の読み方を知らずに『精神現象学』などの大著に向かっていっても玉砕する確率が高いらしい。
よく系統発生と個体発生は相似するという。人類史の発達過程と、個人の発達過程にはパラレルなところがあるという話だ。ヘーゲルの『精神現象学』は特にそのような、人類史の話と個人の話とのパラレル性が高い書きかたになっている。
自分の場合、この本を人間と言うものが「成長する」とはどういうことなのか、その答えをカンニングするようなつもりで読んでいった。
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ヘーゲルの『精神現象学』の解説書です。本書の後に刊行された『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』(講談社現代新書)とおなじく、ヘーゲルの叙述を二人の著者がわかりやすくパラフレーズしています。
『精神現象学』における精神の歩みを、近代的な「自由」にめざめていくプロセスとして読み解くという著者たちの立場から、ヘーゲルの錯綜した叙述の意味を統一的に解釈しています。
もっともわたくし自身は、竹田の『人間的自由の条件』(講談社学術文庫)におけるヘーゲル解釈には問題が含まれていると考えており、本書にも同じような問題があると感じています。もう少し具体的に述べると、竹田はカントが「超越論的」と呼んだ問題の哲学史的な意義を把握していないのではないかという疑問をいだいており、それが本書におけるヘーゲルのカント批判についての解説にも当てはまるように感じています。
とはいえ、本書が『精神現象学』の入門書に求められる役割を十分に果たしており、読者をヘーゲル哲学の中核へと連れ出す優れた手引きであることは、疑いの余地がありません。