紙の本
”戦争経験”をもつ作者が描写した”歴史教科書”
2021/11/02 02:35
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:思索好 - この投稿者のレビュー一覧を見る
”ゲゲゲの鬼太郎”の作者・水木しげるさんは戦争経験者。
戦争経験もさまざまなので、その意味では教科書的=公約数的な経験をもつ人物はどこにもいない(はず)。
本書は、しかし、固有の経験をもったはずの作者が、一般的な”教科書的事件”をしっかりと踏まえてマンガに結晶させた作品。
戦争経験者の水木さんがあえて、そのように描いた作品。
この事実だけで、感慨深い。
その意味で、描かれた内容を無味乾燥などと表面的に評価すべきでなく、その背後にあるメッセージを読み解くべく、私たちに迫っている作品。
仮に、表面的な描写に限ってみても、高校生以前(小学生・中学生)にも、おすすめの作品。
「戦争」の時代をよく学ばなかった”うっかり大学生”にも、復習に適した最高の作品。
本作を、遠山茂樹ほか『昭和史(新版)』(岩波新書)などと併読すれば、しっかり大学の授業についてゆける、そんな作品。
こんなに素晴らしい作品なのに、忘れられた(?)、水木さんのあまり知られていない作品。
”ゲゲゲの鬼太郎”で育った人たちの間では、この作品を読んだ経験は、自慢になるはず(それぐらい素晴らしいのに、まだ評価されていない作品)。
ちなみに、最近話題の『ペリリュー:楽園のゲルニカ』(全11巻)などと併読すると、なおこの時代の「人間性」が立体的になるし、この『コミック昭和史』の作者の経験とモティーフとに迫れるはずだ。
電子書籍
傷痍軍人だからこそ
2023/01/17 04:36
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
関東大震災って大正時代と習ったけど、昭和なのかな……の疑問から始まった読書でした。しかし、そうか、あの大被害こそが原点……。そこから、泥沼の戦争に日本ははまってしまったのですね。実際に、傷痍軍人だから書けること……
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全8巻なんですが一気に読み倒した。
学校とかで勉強すると現代史が多少おろそかになるので
その補完としてよむのにはいいのかも。
戦中のミッドウェーとかガダルカナルの戦地の状況
んで、戦前の東南諸国との繋がりとか、事細かに
書いてあって、直視しなければならない事は
すぐ側に迫っているのかもと思う。
焼け跡からの凄まじい日本の復興劇に驚き、
形を変えながらもループし続ける歴史。
サブストーリーで繋がっていく、水木しげる自身の
話も面白く、ガダルカナルでであった“森の人々”との
交流の話はとても印象に残る。
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これは貴重な資料である。庶民の目線から歴史を語っている。
この本は時が経つにつれて、価値が上がっていくだろう。
例えば太平洋戦争が何だったのかよく分らずに威勢のいい事を言う人は読むべきである。
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いやー、何が時代を象徴してるって、「焼きミソ」でしょう!
大局の昭和と、水木氏自身のごくごく身の回りの昭和が交互にあらわされる構成が絶品。
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学校の教科書で習った歴史が、その時代の人々にとってどのような意味を持っていたのかという実情とか感覚が分かる。
俯瞰的な歴史ではなく、参加者、体験者としての歴史。
その一人の例としての水木氏といえばよいのだろうか。
非常に勉強になった。
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事実上の昭和史は大正12年の関東大震災から始まる。死傷者13万人以上、この震災が昭和が始まってすぐの金融恐慌の原因になる。
同じころラジオ放送が始まる。情報化社会、大衆化社会の第一歩。円本は文学の大衆化に力を貸した。
水木しげるの生きた昭和を読む。
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水木しげるの半生をベースに昭和の歴史を解説していく自伝的マンガです。
ねずみ男が歴史解説をしています。
とても読みやすく面白いです。
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本棚に眠っていた本。だって絵が怖いんだもの。今回半藤氏の昭和史を読んだことがきっかけで、もう一度手に取ってみた。改めて見ると、昭和の暗い部分を見事に表している。
水木しげるの半生と、昭和の歴史を交互に描いている。なので、昭和を生きた少年の暮らしぶりを、目で見ることができる。活字では想像がつかない昭和の匂いや文化がよく分かるのだ。
ただ、よく分かりすぎてやっぱり怖い。8巻まで続くが、今後続編を読むことはなさそうだ。
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大戦前の日本の不況、金融の混乱状況を見ていて今のユーロ危機などとさして変わらないというか、繰り返しているじゃないか!とはじめ読んでいて驚き。ただ戦争を放棄しているのは大きく違うし、少なくとも良かったけど。歴史ものは権力側の話が多いけれど、昭和という親世代の過ごしてきた時代はとくに、普通の人々が何を感じていたのかを知りたかったので、同時代を生き抜いた説得力のある作者の、しかも漫画なのでとても分かりやすいし、絵で、当時の町並みなどを知れて良い。
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全8巻。太平洋戦争が中心。
歴史の大きな流れと水木しげる個人の物語が
併行して語られていきます。
水木しげるの語り口が好きであれば、
一気に引き込まれると思います。
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文庫全8巻。
著者誕生の翌年、1923年に「事実上の昭和史は関東大震災から始まった」という
ナレーションで幕を開ける。
きな臭い世間の動向とはまだ関係なく、
境港で生まれた「しげる少年」の幼少期は、とてもやんちゃでかわいらしい。
が、子守役「のんのんばあ」の教育を受けて、
霊界や妖怪の世界と波長を合わせやすい、感度のいい子供に育つ。
ねずみ男が進行係になっているのも微笑ましいが、
ストーリーのメインは戦争で、当事者であった著者の悲惨な体験の描写が凄まじい。
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大正、昭和、平成を生き抜いている巨匠の昭和記録。
ニュース漫画の趣だがリアルタイムな感想は貴重な歴史でもある。
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ミーハー極まりないですが、水木しげるさんが昨年亡くなられたことを受け読み始めました。現代へつながる大事な時代にも関わらず、学校の日本史でかるーくスルーされてしまう昭和。お恥ずかしながら、今まで歴史にあまり興味がなかったこともあり、あまりよく知らない・・・。海外の人に日本の歴史について訊かれて自分の意見が伝えられないと情けないので、これを機にしかと勉強させていただきます。
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「事実上の昭和史は関東大震災から始まった」
作品の最初にこう書かれてある。
明治維新から諸外国に追いつけ追い越せと走ってきた日本の国としての礎が定まり、大正期には比較的のんびりムードの時代になるのだけれど、わずか15年の短いのんびりムードは昭和となって大震災を機に経済恐慌が起き、昭和の大恐慌、さらに満州事変などと波瀾万丈の歴史を刻む事になるのだ。
その時代に身を置いていた人の語る歴史は一味違う。