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毎日小学生新聞に、ある記者が今回の福島第一原発の事故について書いた記事を載せたところ、それを読んだ小学6年生の男の子が、自分の父親が東京電力の社員であるところから、様々にこの事態を考え、それを投稿、それを読んださらに多くの小中学生や大人たちが、自分たちの考えを手紙にしたもの。
もちろん、なかには、子供なだけにごく一部の面しかとらえていないという投稿もあるが、それでも、小学生でもこれだけ物事を深く考えて洞察できるのだということに驚いたし、また感動もした。
著者の森さんが後半彼の考えるところを書いており、その一つ一つはあまりに当然至極。東電や政府の体制や対応に問題があったにせよ、すべて任せきりで無関心だった自分たちにも、今回の事故の責任はある。
終わりの見えないこの大惨事のなか、この過ちを次への教訓にする義務が私たちにはある。
小学生でも読める易しい言葉で書かれ、漢字にはふり仮名もふってある。
是非、たくさんの人に読んで欲しいと思う。
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東日本大震災での東京電力福島第一原子力発電所事故による、放射能や計画停電などの被害について、「東電が悪い」、「政府が悪い」と皆が騒いだ。そんな中で小学6年生のゆうだい君(仮名)が毎日小学生新聞に投稿した手紙の書き出しが本著のタイトル。
手紙の中身は小学生新聞でのコラムで「東電は人々のことを考えているか」という主張に反論し、「原発を作ったのは確かに東電だが、原発を作ってほしいと要請したのは国であり、国民であり、みんなの責任ではないか」という主旨を文章を書いた。この内容に小学生新聞の読者であろう小中学生が反応し、ゆうだい君の投稿に賛同、反論する返答が送られ、さらに高校生や大学生、大人の投稿も送られた。本書にはその投稿が掲載されている。
投稿する人たちの主張はさまざまだ。責任はやはり東電なのか、原発を認可した国なのか、福島県なのか、はたまた国の政治を託した国民なのか…、はたまた電気がないとこの世の中で実際には何もできない私たちの生活とは何なのか…、私たちにできることは何か…、などなど、投稿が重なる。
掲載された投稿を読み、後半部分で森達也が今回の問題について、投稿者の紙上での議論のように、一人一人が真剣に考えていくことが大事だと語る。しかし原発事故の責任は国や東電が負うべきものだと締めくくるが。
ゆうだい君の投稿はとてもインパクトのある文章だ。その主張はかつての一億総懺悔のように、近代社会における責任の主体をぼかしてしまうリスクもあるが、一人一人が生活している今の世の中で享受している恩恵に対し、どこまで実際に責任を引き受けているのかを改めて省みるべきだという根源的・哲学的・倫理的な考察につながっていく。
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誰もが考えさせられる一冊。内容については他のレビューに書いてあるとおり。小学生らが投稿のなかで、放射能や地震についての様々な知識に言及しているあたり、小学生新聞の影響力はバカに出来ない、と思った。
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毎日小学生新聞に投稿されたゆうだい君(小6)の手紙から、それを読んだ読者の原発についての真摯な発言と、それを引き出し受け止めた毎日小学生新聞のスタッフと森達也の対応。
何よりも素晴らしいのは、ゆうだい君の手紙の内容です。しっかりした文章と他人を批判するのではなく、これを機に皆で論議をしようと問いかける姿勢に、とかく感情的になってしまいがちな大人への冷静な視線を感じました。
そして、その意見に触発された小学生新聞読者たちの反応も、それぞれの年齢から予想される以上の真剣さを感じ、改めて今回の地震に繋がる様々な出来事が子どもたちに与えた精神的な影響を深く感じました。
もちろん、大人から見れば「それは大人の社会ではわかっていてもできない(やらざるを得ない)事なのだ」と言いたくなるような事はたくさんあるけれど、でも真実はそうなのだと思わざるを得ない意見が沢山寄せられており、いまさらながらに原子力発電を選んだ私たち大人の責任を、強く強く感じ入りました。
こういう子どもたちが安心できる未来を残していかなければ、と思う一方で、こんな子どもたちがいれば、日本は(世界は)きっと大丈夫…なんて、お気楽に思ったりして…。
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大人の言い訳が長いですが、今回の原発事故についていろんな面から考えさせてくれる良書です。きっかけになった手紙を出した小学六年生、と同じくらいの子供たちと一緒に読みたい本です。
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ものの見方には、様々な立場による考えがあり、様々な人生環境からくる考えがあり、簡単に正義の判断はできないものだと改めて感じた。
ただし、失敗の責任を明確にする社会でないといけないと思うし、また同時に、失敗した者が別の場所(同じ場所ではいけない)での再スタートを切れるような社会でなければいけないと思う。
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耳が痛くなる本でした。
「無知」「無関心」であることの「無責任さ」を痛感させられる一冊。
お父さんが東電の社員だという、ゆうだいくんが寄せた一通のお手紙。
それに対する子どもたち、中学生、高校生、大学生、おとなの意見交換。
そして、森達也さんの総括。
子どもたちは、稚拙な言葉で、ちゃんと自分たちの意見をいっぱいいっぱい述べている。
大人がどれだけ言い訳がましいか、はっきりとわかります。
子どもたちの率直な意見のなかで
この事故を再び起こさないためにどうしたらよいか
「勉強する」
「行動する」
ただ、じにんしろ!中止すべきだ!と言うのではなく
具体例をあげたうえで 反対・賛成してもらいたいという意見も。
ヒマワリや菜の花が放射能を吸ってくれるとか、ちがう形で電気を作れないかとか、子どもたちは小さい頭で懸命に考え、お手紙を書いてくる。
おとなはなにしてるんだ、と思う。
じぶんふくめ。
森さんの見解のなかで
「なぜ人は数が増えると間違えるのか」
という問いかけがあった。
みんなと同じ方向に歩けばおとがめなし、という考えは、社会にも学校にも、家庭にすら根づいてしまっている。
日本人の過ちは根深い。
第二次世界大戦で2回の原爆を受け、
戦争後のアメリカ水爆実験で水爆を受け、
日本は原爆と水爆の被害を身をもって知る唯一の国となった。
それなのに、原発保有国第三位。
日本を代表とする漫画、アトムにも、8マンにも、サイボーグ009にも、ドラえもんにだって、小型原子炉が埋め込まれている。
「原発は絶対に安全です」
「でも近くには置きたくありません」
「福島さん豪華なオマケをたくさんあげるから、お願いしますね」
日本の過ちは根深い。
私の年代、それ以下の子どもたちは、どうしたって向き合わねばならない。
原発と、日本と。
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毎日小学生新聞に
「東電は人々の事を考えているか」
という見出しの記事が載り、
それに対し、東電社員の父親を持つ小6の息子が
毎日新聞社に出した手紙から始まる。
小6の子供が書く文章とは思えないくらい
筋が通っている。
ある主婦が、
「小6に『僕は東電を保護しすぎなのかも知れません』なんていわせたくない」
と仰っている。確かにそうだ。
1936年に行われた、「ミルグラム実験」
はとても興味深いと思った。
ま、一日で読める内容(^^)
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小学生からの手紙をきっかけにした子どもたちのさまざまな意見を集めている。
子どもたちの真剣な意見を聞いて感動したが、それに比べて今の政治家たちの言動が情けなくも感じる。
ひまわりの話がけっこう出てきたのは、チェルノブイリの時の話を新聞に記載したのか?でも、あまり効果がなかったと言う話もきちんと報道して欲しい。
誰が悪いとか言う意見を言うだけなら簡単にできるが、自分たちができることは何かを考え、それを実践していきたいと思った。
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タイトルを書店で見かけて購入。評価できる立場にないので、あえて星はつけず。
福島第二原子力発電所の事故の責任は、間違いなく東電にあります。
ただ、問題の原因や所在を明らかにさせ、問題を解決するよう促すことと、問題を発生させたことを「悪い」といって攻め立てることとは、これは
明らかに違うもの、そして、会社の責任とそこに働く人の責任は異なる、ということを多くの人と共有できたら、と思います。
いうのも、子どもたちの意見の多くが「○○が悪いと思います」と
決めた上での論旨の展開がとても多いのです。これは「そうでない私たちは悪くない」の自己防衛の裏返し。これがわれわれ大人たちの態度の鏡でなくて、なんなのかと。
大人としてのこれからのこの国に対する行動を考えさせられる本です。
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子供たちの方が大人よりもよっぽどきちんと考え、他者の考えを理解した上で自分の意見を述べる事が出来ていると思った。
森達也さんの文章にあった、組織、集団になった時の人間の状態が怖い。しっかりと自分を持ち続けたい。
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東電社員の小6の息子が、毎日新聞の社説に対して「無責任だ」と投稿しました。
その投稿に対して、全国の小中生が自分たちの意見を寄せました。
前半は、この意見が書かれています。
後半は、森達也氏が森達也らしく説明しています。
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この本に乗っている意見を言った子供たちには悪いが、はっきり言って甘すぎる。小学生と言えども新聞などのマスコミで意見を言いたいならもっと事実を深く知ってから意見を言うべきだと考えた。
僕の意見も言っておくと、この原発問題で誰が悪かったか、ということではなく、どこに問題があったか、そして何を改善する余地があるのかということを考えるべきだと思う。
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「人は組織の一員となったとき、普通ならあり得ないようなことをしてしまうことがある。あとで考えれば『なぜあんなことを』と思うことでも、深く考えずにやってしまうときがある」
この同調圧力の話が一番印象に残っている。
本当は誰もがただ幸せに暮らしたいだけなのにね。
子どもたちから送られてきた手紙からは、彼ら一人ひとりがこの問題を切実にとらえているのと、(仕方がないことかもしれないけど)メディアや周りの大人の影響を受けてしまっているのだなと感じた。
手紙を書いてくれた子どもたちには、後半の森達也の文章もぜひ読んでほしいな。誠実さが感じられる。
私は将来、一体何が出来るのか。考え続けたいところ。
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ゆうだい君(仮)のしっかりした意見、文章にびっくりしました。そして、それに寄せられた小学生から大人の手紙にも。できるだけ多くの人に読んでほしい、政府の方々にも読んでほしい、と思える本でした。
ある中学生の手紙にあった、「反対する場合は、反対する理由と今後どうすればいいかを述べる」という文章。小学校の学級会で教わったことだそうです。基本的だけど、とても大切なこと。いま、国会などで交わされている議論などは、批判ばっかり。攻撃ばっかりに見えます。小学校の学級会で教えていることを、大人は全然実践できていないように思えます。
この本を読むと、子どもたちの素直な意見、感じたことが伝わってきます。本当に大切なことは何なのか、とても考えさせられる本でした。