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投稿者:しいな - この投稿者のレビュー一覧を見る
お二人の興味や知識がどんなところで重なっているかという点で、興味深いです。ファンには楽しめると思います。
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筒井康隆と蓮實重彦の対談・往復書簡。蓮實氏の書籍を読んだことは無いのだが、なかなか面白そう。
二人とも大江健三郎を非常に高く評価しており、筒井氏が自分は民主主義が嫌いなのだが、その大江が戦後民主主義を擁護している理由が判らないと云い、蓮實氏にその理由を聞く場面がある。その中で民主主義というものを最低限のものとして受け入れはするけれど、本当に民主主義を好きだという人がいたら、是非とも会ってみたいと嫌味を言っていた。私も日本は民主主義をきちんと運営出来ないのではないかと、しばしばブクログにも書いてきたこともあり、民主主義にはモヤモヤしていた。
この最低限受け入れるが好きではないというのには実にしっくり来たものだった。
また蓮實氏は体育会系なのだが、三島由紀夫の仮面の告白を読み、みずから病弱であることを全く隠そうとしないばかりか、かえってそれを誇っているかのような姿勢を軽蔑し、こうした弱弱しい連中に任していたのでは文学に未来は無いと感じ、不愉快でたまらなかったとの事。三島の運動神経の不在についてはなお軽蔑の対象であり、三島に太宰を軽蔑する資格など有りはしないと言っている。(判っているから三島も肉体改造したのだが)
あと筒井氏が世の中ブラックユーモアを強要しない世界になってきたことを憂慮していることが心に残った。なんでも著作を2社から出版を断られた。どんどん残念な世の中に…
両先生からの判る人には分かる替え歌
天に金槌釘を打つチュウチュウ鼠の運動会
誓って故郷を出たからは手柄立てずに支那料理
海ゆ馬鹿、水漬く馬鹿奴・・・大君の屁にこそ死なめ、ブーブー
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文芸誌の『新潮』で連載していた往復書簡が目当てで。色々刺激を受け何冊が積んである大江健三郎と蓮實重彦の『伯爵夫人』を読もうと思った。
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図書館の新着コーナーで目にして迷わず手に取った。
まさにおふたりの老獪さ、といってもその対照的な老獪さが大変興味深い。まさに毒は毒を持って制すだ。一方、お互い同時代を生きてきて、ここでどこか共通点を見つけようと、お互いが応える素直さは高齢者アルアルだ。
でも、日本を代表する研究者であり文筆家である元気な後期高齢者の毒(ウィット)に富んだこんなやりとりはまねしたくてもまねできるものではないなぁ。
そんなおふたりの大江健三郎氏へのリスペクトは間違いないようだ。
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すこし驚いたのが、筒井が最近「二件の出版社に断られた」と書いてた部分。コンプラが厳しいといった文脈だったが、筒井康隆の小説でも断られるんだといった感じ。
内容の半分近くは大江健三郎の話が占める。
年寄りのふたりなので内容も戦前から最近まで幅広く、固有名詞も多いが、わからなくても語り口が軽快で口語調なので、年寄りの呑気な話を盗み聞きしてるような気分で、なんとなく読める。
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お互い尊敬し合う表現者。
過去の芸術作品に関する広範な記憶と繋ぎ合わせられる連想力。
喫煙と一人息子の逝去。
違うと思ったら意見をぶつける自分への率直さ。
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蓮實重彦と同じ生活圏で暮らしていた。
駅でよくすれ違った。
なにしろ、顔の輪郭が長くてデカいし、あのインチキくさい蓮實ヒゲが特徴的で、すぐに発見してしまうのだ。
電車が来るまで、彼は、ベンチに座って新聞を広げて悠然と読んでいた。
近所のスーパーマーケットでも、よくすれ違った。
彼は、背が高くてデカいんだけど、ベルギー人の奥さんもデカくて、一緒に買物してたり
彼が1人で、買い物かごを腕にぶら下げて、トマト買ったり、レタス買ってたり
ごくフツーのスーパーマーケットだけど、よく、見かけてた。
彼の子供のことは、記憶にないなあ。
彼が住んでる家の前を、よく行ったり来たりしていた。
なにやら、重苦しい雰囲気の、古びた豪邸だった。
家にはテレビが置いてない、とのことだった。
マスゴミが、ニューアカデミズムなどと持て囃した、空虚なバカ騒ぎの最中だった。
オレは、彼の本を、図書館で借りて、何冊か読んだけど、どれも、スッキリせず、まったく何も入ってこなくて、さっさと返却した。一冊くらいは、買ったかもしれない。『表層批評宣言 (ちくま文庫)』だったかな。
ゴダールや、タルコフスキーの映画は、オレも観てはいたけど、蓮實の映画論はヤヤこしすぎて、理解できなかった。
いずれも、理屈っぽくて、イヤミったらしくて、どーでもいいことしか書いていない。
蓮實重彦は、父親が京都大学の教授で、自身は東大の学長まで上り詰めるし、いったい、どれほどエライのか知らないが、吉本隆明をバカにし、村上春樹をバカにし、熱烈な蓮實ファンだった伊丹十三までバカにしていたらしい。とにかく、いろんな人をバカにしながら生きていた。
浅田彰と、伊藤俊治、四方田犬彦らが編集した雑誌GSを読んでいたら、当時の、バカ騒ぎのことが書いてあって、
そこに、『あまりにも、おそ松くんな現代思想』という、赤塚不二夫のマンガになぞらえた人物紹介が載っていて、とても感銘を受けた。
ちっちゃなお手々にオデンを握りしめて、ケケケッ、リゾームだー、と走って逃げてゆくチビ太が、浅田彰で
デッカいパンツを履いたオッサンが、文化人類学者の山口昌男
体中キズだらけで過激派のヘルメットを被って松葉杖をついたピンクのネコは、栗本慎一郎で「ニャロメ!こーなったらもうヤブレカブレだ」とか言ってんの。
ウナギとも犬ともつかぬ、ヌエのような存在で、蓮實重彦の劣化版コピーだったのが、蓮實重彦ファンのウナギ犬、四方田犬彦であった。蓮實ヒゲまで、マネしてたらしい。
天才赤ちゃんハジメちゃんは、中村元なのであった。
「シェーっ、ミーは、おフランス帰りのバルト主義者ざんすー」
と、シェーのポーズをキメている、その人こそ、蓮實重彦であった。
トドメは
「これでイーのだ!」
と断言してしまう、腹巻きをして鼻毛が飛び出したバカボンのパパ、吉本隆明。
蓮實重彦の、第29回三島由紀夫賞の、怒りの受賞会見を、チラっと見たときは
「あ、でしょうねーーー」
としか、思えなかった。
いかにも、あーゆーメンドくさいことを言いそうな奴なんだよ。
あああハスミらしいなあああー、ハスに構えてるなあああーーーって、思った。
彼が、ナニに怒っていたのか知らないけれど、全く、どーでも良いとしか思えない。
それより、この本を手にとって驚いたのは、裏表紙で、蓮實がウマそうに煙草を吸っていること。
東大の学長までやった奴が、この齢になるまで煙草、吸ってんのか?マジか?バカなのか?
今どき、田舎のヤンキーでさえ煙草なんか吸わないぞ?
よく、この年まで、生きれたな、と、愕然とした。
そう言や、駅でベンチに座ってた時、煙草をくゆらせていたのかもしれない。よく憶えてないけど。
まー、どーでも良いかあ。
よーするにオレは、蓮實重彦なんかには、なんの興味も無く
それ以上に、筒井康隆には興味が無いんだけど
しかし、なぜか、その日、この本と、図書館でバッタリ出会ってしまい、なんとなく立ち読みし、そのまま借りてしまい、帰ってから、フトした瞬間に本を広げてみたら、イッキに読んでしまった。
三島由紀夫賞の授賞式の前に、蓮實が、筒井康隆のコメントが気に入らないから文句を言うと予告して、そのとおり、怒りの会見になったとか。
蓮實と筒井の、微妙なやり取りは、クセ者どうしの、神経戦みたいな、めんどくさすぎる言葉の応酬が繰り返されてゆく。
大江健三郎については、オレにとっては同時代の作家でもなく、よく知らないし、内容が難しくて、読みにくいなあとは思うけど
『「雨の木」を聴く女たち』は、好きだったなあ。
外は雨が降ってて、オレは図書館で読んでて、感性が新しくて、ハッとさせられたのを覚えている。
途中で、ギンズバーグが出てくるところが好きだ。
『新しい人よ眼ざめよ』も好きだった。
新しい時代の若い作家より、ずっと、新しい感性じゃないか、と直感的に、思ったんだよね。
原発のデモとか、オレもよく行ってたんだけど、彼も、アチコチのデモに参加してたし。どこかですれ違う可能性もあったんだけど、直接会う機会はなかった。
蓮實と筒井にとっては大江健三郎は同時代の人だし、喋ることがイッパイある。
二人のやりとりは微妙にスレ違いながら、お互いに、悪意のあるジャブを繰り出したりしながら、言葉の応戦が続いてゆく・・・・・
でも、彼らの、亡くなってしまった、一人っ子の話題になると、呼吸がピッタリと重なり合う。
とても痛ましい、やり取りだ。
蓮實重彦が、自分から、子供のことを話し始め、筒井康隆は、「お子さんのことは承知していたが、お話が出るまでは、こちらからは触れないでおこうと決めてしました」と言う。
長生きをすれば、自分より先に、周囲の者が亡くなっていく、ということはありえることだけど・・・・・うーーーん、でも、これは、とても辛かっただろうなあ、と思う。
どちらの一人っ子にも、子供がいた(?)らしいから(不確かな情報かも)、その点は、大きな救いなのではないだろうか?
分からないけれど・・・・・。
そして、これは、蓮實重彦が、全力でバカにしてコキおろす���あろう、凡庸すぎる感想なんだけど
とにかく、人は、死ぬんだから、DNAを継承し続けることに、微かな希望があるんではないだろうか?
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口の汚い頑固な爺さん2人の罵り合いを期待していたのに、見事にうらぎられる!
互いに気を遣い合うかの如き美辞麗句の数々!
それにしても、蓮實さんが「◯◯させていただく」表現を連発していることに、ガッカリしました…。
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筒井康隆x蓮實重彦「笑犬楼vs.偽伯爵」毒舌ふたりの対談&往復書簡は、予想外に優雅なやり取りだった。が内容はやはり辛辣で大江の褒め殺しがおもしろい。ふたりとも嫌味の感じとか品の方向が、英が米を小馬鹿にするのに似てる。戦前生まれの真の知識階級。知性あってこその罵詈雑言というよいお手本。