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「老いにともなう機能不全」が解消しつつある今、あなたはどう生きるか?
・老化は「自然の摂理」ではない。「治療できる障害」である
・がん・心臓病・認知症・脳卒中の根本原因は「老い」
・がんを根絶できても平均余命は「3年弱」しか延びない
・老化治療は「悪いパーツの除去」「失われたパーツの再生」「壊れたパーツの修復」「リプログラミングによる若返り」の4つ。いずれも目覚ましい発展を遂げている
・「老後の苦しみ」が激減し、結果的に健康寿命が延びる
・老化治療のリスクバランスとは?
・あなたが今日からすべきこととは?
・社会は老化治療をどう受け入れるべきか?
第1部 史上最古の課題(老化の時代/老化の起源/「生物老年学」の誕生/なぜ私たちは老化するのか)/第2部 老化を治療する(古きを捨てる/新しきを得る/修復にいそしむ/老化をリプログラミングする)/第3部 さらに長く生きる(治療法の探求/いますぐすべき、寿命を延ばす方法/科学から医学へ)
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老化のメカニズムも分かりやすかったし、それぞれの老化要因に対する科学のアプローチを知ることができた。
結論、道半ば、というか著者が提唱する生物老年学はまだ始まったばかりで課題は多いなと思った。人体は複雑系で、老化を部分的に遅らせたりすることができたとしても、体全部が健康でずっと過ごせるようなイメージは今は湧かなかった。とはいえ、課題が多いということはいくらでも進歩の余地はあり、そういう意味で楽しみに思った。
あとは、小林武彦「生物はなぜ死ぬのか」で細胞の老化が生物進化的に最適解であると言っていたのに納得していたので、老化から被るさまざまな弊害を科学の力で治療、予防していくのは果たして人のため世のためになるのか…と考えてしまったのも正直なところある。この辺は価値観もありそう。
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Twitterで存在を知り、購入。
老化は治療できる、ということに関する最近の知見も交えた、なかなかにボリュームのある一冊。以前に読んだ『ライフスパン』とも重なる部分ありつつ、より細かく最新の話も色々と書かれていた。
一般向けになっているが、そこそこ専門的な話も出てくることや訳者のあとがきまで370ページ程あることから、読む人を少々選ぶような気がした。最後に参考文献をページ数割いて載せているのは、好印象。
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老化を病気と捉えて、その原因・プロセスを治療するという態度をとることが現在の人類は可能となった。ひとたび老化が治療可能であると認識されたとき、それは何にも増して人類が取り組むべきこととなるだろう。たとえば、癌が根治されたとしても、老化を止めることができなければ、せいぜいのところ平均寿命を数年伸ばすだけにすぎないという。一方、人間および多くの動物は、年齢が上がるごとに死亡率が劇的に上昇する。老化こそがすべての根源にある。この数十年の研究で老化のプロセスというものがかなり正確に理解された。もちろん、老化は同時多発的な現象であり、何か単一の原因があるものではないが、そのプロセスに介入する方法についてもいくつか候補が挙げられている。本書は、老化というものとそれにまつわる研究の最前線についての本である。
老化の特徴として次の10の項目を挙げる。繰り返すが老化は単一のプロセスではないのだ。
1. 二重らせんのトラブル ― DNAの損傷と突然変異
2. 短くなるテロメア
3. タンパク質の問題 ― オートファジー、アミロイド、付加体
4. エピジェネティックス
5. 老化細胞の蓄積
6. 勢力争い ― 機能不全のミトコンドリア
7. シグナル伝達の失敗
8. 腸の直感的反応 ― マイクロバイオーム
9. 細胞の消耗
10. 防衛不全 ― 免疫システムの故障
老化が治療の対象となるという発想は、決して新しいものではない。こで説明されていることは、これまでに読んだいくつかの本(『LIFE SPAN』、『Die革命』、『寿命遺伝子』、『LIFE SCIENCE』など)で大方読んだことがあるものである。mTORやラパマイシン、コレステロール、食餌制限、エピジェネティック(ヒストン)、細胞の炎症、細胞のリプログラミング、FOX03遺伝子、などそれぞれの本の中で出てきた話である。だからこそ、老化研究というのは一定のコンセンサスが取られた研究分野であり、着実に歩みを進めているのだということがあらためてわかった。
そして、今できることでもっとも効果があるものは適度な運動であるらしい。それはわかっているけれども。
なお、LIFE SPANでは一押しだったNMNやレべストロールの話がまったく触れられていなかったのは意外で、せっせと飲んでいるのだが、どうなんだろう、とは思った。いずれにせよ、老化問題が医学的に治療可能な形で解決されるのはちょっと間に合わないかもしれないが、ある種の緩和策を自分の生きているうちに見つけることはできるのではないだろうか。
老化研究について初めて読む方には読みやすくお薦めかもしれない。これまで老化に興味を持って知識を持っている人にとっては繰り返しも多いが、改めて整理するのにもよいと思う。
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『LIFE SPAN: 老いなき世界』(デビッド・A・シンクレア)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492046747
『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(吉森保)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4822288668
『Die革命~医療完成時代の生き方』(奥真也)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/447978442X
『未来の医療年�� 10年後の病気と健康のこと』(奥真也)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4065211379
『寿命遺伝子 なぜ老いるのか 何が長寿を導くのか』(森望)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/406522912X