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道真シリーズ第二弾。一作目よりも読みやすかったかも。
心のひだの奥があばかれ、さらけ出された感じ。
小野の息子が書道に傾倒して……もしやあの人?!っていう展開も良かった。
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澤田瞳子さんの初読みは、8年前に『泣くな道真 大宰府の詩』からだ。それから『孤鷹の天』『関越えの夜 東海道浮世がたり』『若冲』と読み継ぎ『火定』で(医療物が苦手)終わっていた。
本作は『泣くな道真 大宰府の詩』の続編となっていて期待は裏切られなかったが、前作のような驚きは少なかった。
道真が「人はな、畢竟他者を救うことも助けることもできはせぬ。人を救うのは己自身。おぬしはこれまで人に助けられ守られてきたと考えているのかもしれん。されどそんな時も真実、自らを支えてきたのは実はおぬし自身だったはずだ」と若い葛根を諭しながら、左遷された道長自身にも言い聞かせているのだろう。
私もしっかり受け止めました、道真さん!
菅原道真が、大宰府に流されて五カ月。左遷に怒り泣き喚いていた道真も、身分をやつして博多津に出かけ、唐物の目利きをする愉しみを覚えた。ある日、京から唐物使の役人が来る。昨年朝廷に献上された品に不審な点があったため内偵中という。調べの間、道真は館に閉じ込めとなり……。
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昨年末に読んだ「泣くな道真」の続編。
道真が大宰府に流されてから5か月。
今回は道真よりもその行動に振り回される太宰少弐・小野葛根の右往左往を楽しむ話。いつの世でも宮仕えの身はつらいね。
その周囲で登場する生臭坊主の泰成、水城の門を護る三百樹、唐物商の善珠、相変わらず業突張りの幡多児など個性豊かな面々が楽しく、肩肘張った葛根が彼らと交わる中で徐々に己を顧みていくところが宜しい。
葛根が支えているつもりの伯父、太宰大弐の小野葛絃の食わせ者振りもなかなかで、恬子が出てこなかったのが寂しいが、代わって葛絃の息子・阿紀が登場。小野家は逸材の宝庫だな。
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前作の「泣くな道真」は面白かったんだけどなあ。今回は作者の仕掛けがわざとらしくて読むのが辛いぐらいだった。なんか小説としてのリアリティがないのだ。
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菅原道真のイメージが180度変わる。人間とは、本当はもっと人間臭くて渋といものなのかも知らない。
その時代の太宰府が、今日の都に真似て坊城制をとっていたこと、想像もつかないくらい国際色豊かだったこと、新しい発見だった。
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前作『泣くな道真』で道真の最期に触れられていたから
続きは読めないものと、残念に思ったけれど、
そうか、こんな風に描けば良いんだね。
ありがたい。
でも、図書館の返却期限で時間切れ。
読み切れず残念。
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実に面白かった。後半、物語にのめりこんで、朝の通勤、一駅乗り過ごしてしまった。(笑)
延喜の年号改元の詔の中で、自らのことを謀反人と表現され、そのことに猛り狂った道真が、唐物を、目利きしながら、次第に静かな目に世の中を見るようになる。それと併せて、中央から来た官人が、大宰府の政庁で唐物を密かにとりえて、京に送っていた犯人を捕縛しにやってくる。
そのことに対して、小野葛根などの大宰府政庁の官人たちが大宰府を守ろうとする物語と言えばいいのかな。
最後に、道真が、人が生きようとすると必ずぶつかり合う、何処かで折り合いをつけていかないけないと語り場面はなんだか心にしみる。
考えたら、道真公は、2年程しか大宰府にはいない。残された時間はわずかなのだなあ。
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朝廷での政争に敗れ、太宰府に流された菅原道真を描く、第2弾。
第1弾からだいぶ間が空いているので、この本を読むに当たって前作を再読しました。
そうしたら、最初に読んだ時よりもずっと面白かった。ありがとう、第2弾!
この第2弾では、大宰大弐・小野葛絃(おのの くずお)の甥であり、その仕事の補佐に当たる大宰少弐・小野葛根(おのの くずね)の目を通して描かれる。
葛根は早くに親を亡くし、自分と妹を親代わりになって育て、後見にもなってくれた葛絃を父とも慕い、心から敬愛している。
葛絃が仕事をしやすいように気を配り、葛絃の立場を守るのが自分の使命と思っているが、顔も四角四面なら頭の中も四角四面、真面目すぎるが故の猪突猛進というか・・・
とにかくやりすぎてしまった。
・・・いや、良い子なんですよ!
人や、何かを恨(うら)んで恨んで、苦しくて仕方がない時、どう生きるか。どうやって報復するか。
結局、己の心を救えるのは、己の心の持ちようだと言う道真。
恨みの心を宥めるには、まず恨む相手に対しての執着や期待を捨てることだろう。
大宰府への左遷を恨んで京都の貴族に祟ったと言われた道真だが、この道真なら、もうそんなことはしないだろうと思われる。
大宰府に下ることで、京にいては見られないものを見て、得られない体験をした。
文房四宝に詳しいという己の特技を生かすことも知った。
流謫地にあっても己の才を生かし、人と交わり、人間らしく、心の赴くままに生きる道真。
雷神とも恐れられた道真の恨みを、この小説を書くことによって作者が浄化したような気さえする。
後の小野道風・阿紀と、道真の娘・紅姫もかわいい。