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休職中の早柚(さゆ)が夢中になるのは海岸にあるゴミを拾うこと。ビーチクリーンを趣味にする人たちがいることを初めて知った。
パワハラ上司の元で我慢しながら、意味のなさそうな仕事をするよりも、ボランティアで収入にならなくても環境保護に役立つゴミ拾いの方がやりがいはありそう。ゴミ拾いだけじゃ生きていけないことは分かってる。それでも辞められない早柚の気持ちが分かる気がする。
大きなゴミをみんなで協力して解体したり、空のゴミ袋がいっぱいになるまでゴミを集めたり…
作品全体に、「このままじゃいけない」という早柚の焦りが感じられて、ヒリヒリする。職場復帰した早柚の行き先はどこなのか。ラストはあっけなく終わるように見えるが、早柚の本当に行きたいところはそこなのだと納得できる終わり方だった。
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主人公の癒しになるのが海岸でのゴミ拾いのボランティアの着眼点が読んでいておもしろかった。カプチーノ・コーストの意味は読んで理解して下さい。たかが海岸でのゴミ拾いされど海岸でのゴミ拾いいろいろ変なものまで流され落ちている。人と人とのつながりも見えてきて心にしみわたるお話でした。
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デビュー作がとても好きだったので手に取ったのですが…うーん残念。というかデビュー作の発売日が2012年だからもう10年も前のことなのか。
淡々た読み進める中で何かが起きるわけでもなく、や、小さなことたちは起きているのだけども…ずっと淡々と進み、そのまま終わったという印象。残念だったなぁ。
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ある事情で2ヶ月の休職中の早柚は、自宅近くの海岸でゴミ拾いを始める。最初はほんの思いつきだったが、ゴミ拾いを通じて知り合いもでき、装備もスキルも充実していく。
疑問に思ったことや、間違っていると口にできない性格の早柚が、海岸美化活動を通じて成長していく話……というわけではなかった。2ヶ月ばかりの体験では性格は変わらないのが逆にリアルだ。
地球規模で広がる海洋汚染や、ブラック企業の問題は孤軍奮闘ではどうにもできない。ただ、彼女の中で、確実に何かが変わったのは間違いない。
NetGalleyにて読了。
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「一度見えるようになってしまったら、見えなかった頃には戻れない。」印象に残った言葉。
見て見ぬふりをすることは出来るかもしれないけど、それは自分に対しての嘘でしかない。だんだん心を蝕んでいく。自分を蝕むものから逃げていいんだ。戦わなくてもいいんだ。生きる意味も働く意味もなくていい。なんでもいい。死にたいわけではないけれど、大して生きたくもない人におすすめ。
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辛い時こそ何か現実逃避できるような行動ができたらいいなと常々感じていました。
本作では、上司のパワハラに心を痛めた主人公が、休職中に海岸の清掃活動に勤しみ、心を落ち着かせるストーリーで、清掃活動を通して何を感じるのか、自分の迷いをどう浄化させるのか、落ち着いた文章で描かれるお話でした。
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休職中の早柚(さゆ)は近所の浜を歩いている時、腕時計を落としてしまう。それをきっかけに海辺のゴミを拾って歩くようになる。毎日ゴミ拾いしているうちに、同様にクリーン活動をしている人達と言葉を交わすようになる。
なぜ休職しているのか、それが彼女の心に影を落としている事等が読んでいるうちにあかされる。
浜辺のゴミを拾う、ただそれだけの行為が彼女に何をもたらしたのか、丁寧に描かれている。
小さな出来事たちが彼女の心を揺さぶったり、傷つけたり。そしてまた休職が明け仕事に戻っていくまでが描かれている。
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休職中の主人公がビーチクリーンをして
たくさんの人と出会い、色々なことを感じ、
日々を過ごしていく。
文章は単調だが、復職するまでのカウントダウンに
読んでいて主人公と一緒に焦った。
最後も主人公の行き着く場所はやはり海だった。
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『カプチーノ・コースト…見た目とは裏腹の現実』
パワハラが原因で求職中の早柚。
ふとしたきっかけでビーチクリーンを始めるも…
最初から最後まで、違和感を抱き続ける早柚。
何が本当なんだろう?
この世の中、晴れることのない違和感で溢れてる!?
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休職中の早柚がビーチクリーンを通して新たな発見をする物語。
人は誰しも、違和感を抱えながらも自分を正当化することで正気を保って生きてる。言えなかった言葉、違和感、上司の罵声。そういうものが海に落ちているゴミで、早柚はそれを拾うことで心を浄化している。
世の中には、自分を正当化して、その正しさを人にも押し付ける人ばかり。そんな世界で生きていくには、自分にとってのビーチクリーンのような活動を見つけるのが大事なのかも知れない。
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初めて読む、若手の作家さん。
「群像新人賞」受賞、本作も「群像」に発表されたよう・・・
ということは、純文系か。
・・・なるほど!
パワハラにより休職中の26才の女性が
海でのゴミ拾い(ビーチクリーン)に精を出し
その1ヶ月の日々での出会いや想いを描く・・・
舞台は、ほぼ海と、その周辺。
彼女の自宅なんて、出てこない。
登場人物も、通りすがりは何人もいるけれど、
メインは主人公と友人と、ビーチクリーンで出会った年上の女性だけ。
それだけなのに、ここまで、世界を膨らませ、
主人公の想いに共感することができるって、
さすが、「群像」!
(昭和生まれは、純文に弱くて、ひれ伏しちゃう?)
私事ながら、
最近、親しい昔からの友人よりも、
今、身近に居る、ゆるいつながりのサークル仲間とか
元同僚とかの方が、話しやすく、一緒に居て心地よい。
お互い、何でも知っている相手というのは、
結構、疲れる。
相手のことは知らなくて良い。
向こうも、わたしのあれこれを知らなくて良い。
今、目の前での出来事やら何やらを、話し合えたら、それでいい。
・・・そんな風に感じているので、主人公に共感するのかも。
それで、新しいつながりができました、
居場所ができました、ハッピー・・・ってならないところが、
純文!いや今風?
ネタバレになるけれど・・・
最後の最後。
彼女が選んだ道は?
そして、なぜあの人が、同じ場所にいるの?
・・・ってことは、あの人も、同じ思いってこと?
(そういえば、思い当たる節が多々あった)
一見、逃避にも思えるけれど、
あのラスト。
わたしは、主人公は、新しい道を踏み出し、
さらに、心のつながりー本当の意味での絆ー
ビーチクリーンの日々から作ったと思いたい。
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タイトルは、海から発生する泡だらけの現象から。
主人公がゴミを拾う中出会った女性が、その現象は、綺麗に見えても人を傷つけるものだと言っていて、それは主人公が誰かの言葉に傷つく度に、言葉を発した側はそんな意図なかったこととも重なって見えた。
ただこの本を深夜に読んだら思ったより食らってしまって夜通し泣き続けた。
精神的に落ち込みやすい人にとって、ものすごく鋭利な言葉があったので……。
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結局なんで、カプチーノコーストって題名なんだろ。作中には1回だけ出てきた。プランクトンや化学物質が混ざってるって。自然は綺麗に見えて綺麗でないって。
何を伝えたかったのかな…
「これは海中のプランクトンや化学物質が混ざってできたもの」「こんなに綺麗なふわふわの泡でも人を傷つける」「海はそんなに嫌いじゃない。綺麗だけど、綺麗なだけじゃないもんね」
世の中も綺麗事ばかりで、実は綺麗でない。
うわべは綺麗な人間関係も中身を知ってしまうと汚いことだらけ。
そう言うことかな…
この本のジ・エンド感。
私は何が伝えたかったのかいまいち分からずに終わった。
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この本を購入したきっかけは、「しんどい時ほど、周りに頼れない。自分を見つめ直すひと月の物語」という帯文でした。
今年の一月上旬。
人生でこんなに辛いことがあるのかと絶望して、会社から一週間の休みをもぎ取った時に出会った本です。
いつもより少し詳しめに物語の内容を以下に。
1ヶ月の休職中に、海岸のゴミ拾いを始めた早柚(さゆ)。波間に落ちた腕時計を探している中でボタンを拾ったことをキッカケに、海辺にたくさん落ちているゴミに気付いてしまった彼女は、一つ二つとゴミを拾い、気付けばバケツいっぱいのゴミを拾い集めていました。
時間だけは有り余っている早柚は、翌日もゴミ拾いのために海岸にやってきます。次の日も、その次の日も。
彼女と同じようにゴミを拾う人々に出会い、ここにはいない誰かのためにダンスを踊る男に出会い、自分の人生に今後関わることのない人達と出会っては、別れの言葉もなくすれ違っていく。
そんな名前も知らない人々との邂逅を繰り返す中で、自分の仕事に意味を見いだせなくなっていた早柚は、少しずつ自信を取り戻していくーーわけではありません。
休職明け、職場復帰した彼女を待っていたのは、あまりに生々しく、変わらない現実社会でした。そこに直面した彼女も、何くそと奮起して戦うわけでもなく、ただ立ち尽くしているような印象を受けます。
最後まで悩み続け、ラストシーンまでとうとう答えを見出せない姿が、リアル過ぎて「物語なんだから少しだけでも救済をくれよ」と思いましたが、最後の最後で海へ帰っていったカメの姿が仄かな希望を象徴しているようでもあります。
海岸のゴミを拾うという行為を、ただ黙々とやり続ける姿は、崇高な修行僧のようでもあり、贖罪を求める罪人のようにも感じたのは、この本を読んだ時の私の気持ちが混乱していたからかな。
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休職中に足が向かう先は海。海は色んな人工物が落ちている。一度それらを見たらもう知らなかったころには戻れない。早柚は今日も海でゴミを拾う。ビーチクリーンを通して人とのコミュニケーションを学びなおし働く意味を考える。しかし現実はそれで終わりではないよな。復職した早柚を待ち構えていたのは変わらない現実。足は自然と海へ向かう。ままならない現実のモヤモヤ、生きづらさを感じなんともいえない気分のまま読了。