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第二次世界大戦の太平洋戦争をテーマにして書かれたにしては今ひとつ重厚感がない。何より途中から大河ロマンのようになってしまい、ついていくことは難しいなと感じてしまった。また主人公についてもどこまでもご都合主義的で今ひとつのめり込めない。私とこの作風は決定的に合わないのだろう。
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邦題が良くないな〜
なんかお金儲け臭がね
ま、お金儲けは当然のことなんで、そのために知恵を絞った結果なんだろうけど
ちょっとセンスないかも
「真珠湾」のネームヴァリューに頼りたい気持ちも分かるんだけどね
中身にあってないと思うんですよね
はいじゃその中身です
第二次大戦中の物語なんですが、その割に日本人が好意的に描かれていて
やっぱり好感を持っちゃいますよね
なぜかというとこう見えてワタクシ日本人なので(どっからどう見ても日本人だろ!)
別にナショナリストでもないし、特に第二次大戦に於いては、反省すべき点は多々あるにしても、親切で忠義に厚い日本人という描かれ方をしている海外の作品を読むと
ふむふむよく分かっとるじゃないか!と鼻を膨らますと同時に、そんな日本人像を守っていかなければ!とも思うのです
したっけ主人公のジョーはえらぐかっごいがったな〜
しめぇもいがったがらおらぁまんぞくだ〜
(急な方言と内容は一切関係ありません)
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1941年11月ハワイ。刑事マグレディは白人男性と東洋人女性が惨殺された事件の捜査を始める。国際情勢が緊迫する中、容疑者が香港にいることを突き止めたマグレディは香港行きの飛行艇に乗るが、それは真珠湾攻撃の前日だった
3部構成なんだけど、1部が警察小説、2部がロマンス小説で3部がその合体版、みたいな印象。
太平洋戦争が絡むから読み応えがすごいし(特に2部はがっつり戦争中の描写)のめり込めるんだけど、ミステリだと思っていたので3部(謎解きパート)に拍子抜け。
この物語はミステリと思って読むとあかんやつ。
あと、これは多分ハードボイルド系だと思う。ハードボイルド&警察小説&歴史小説好きな方はハマるんじゃないかと。
あと、恋愛小説も。なんだかんだでマグレディと女性たちとの愛の物語なんだよなぁ。
(ハードボイルドと恋愛が苦手な私にはちょっとハマらなかったです……でも楽しく読み切れたので、お話としてはとても面白いと思う。
……私、チャンドラーの「長い別れ」を挫折しているので、当てにならない感想で申し訳ない)
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ミステリ、文学、戦争、大河ロマン、ハードボイルド等色々と詰まった満足度満点、数年に一度しか出会えない様な大作小説でした。
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思っていた以上に壮大な物語で没頭してしまった。風景や人物、感情などどれも描写がとても細かく丁寧で、読みながら常に映像が浮かび上がるようだった。日本や日本人も多く出てくるのだが、最初は巧みな訳により違和感なく描かれているのかと思った。だが、風景描写などもとても細かく自然で、後書きを読むと何度も訪日したりインタビューを繰り返していたようで、丁寧に描かれているのは元々の著者によるものだと分かった。太平洋戦争の戦中や戦後に関しても、相当数のインタビューやリサーチに基づいているようで、最後まで臨場感溢れる物語であったことに納得した。
感謝祭の前日1941年11月26日、オアフ島カハナ湾近くの納屋の梁から吊るされた男を発見したと、ホノルル署長に直接友人から通報があった。それを受けてホノルル警察のマグレディが駆けつけると、惨殺体となった若い男が逆さに吊るされていた。検めているとその場に不審な男が現れ、マクレディと争いになり射殺する。さらに納屋の奥から若い女性の死体も見つかった。同署のボールとコンビを組み捜査を進めるうちに、ウェーク島でも似た傷跡の死体が見つかり、容疑者は香港に向かったことを突き止める。マクレディが追って香港に向かうが、太平洋戦争が勃発する。そこから戦乱に翻弄されていく。
冒頭の変死体の状況からかなり物々しく、一体どうなっていくのかいきなり物語に引き込まれる。さらに、太平洋戦争がどのように関わってくるのかと思っていたら、まさかの展開になっていきハラハラしながらさらに引き込まていく。この急転直下する状況が後半に繋がっていき、最後まで中だるみなく満喫した。戦中の状況はかなり詳細に描かれているので、混乱や恐怖がリアリティを伴って伝わってくる。日本兵の行動や心情がさらにそれを強くする。この過酷な状況もしっかりと描かれているからこそ、事件の複雑さや人と人の結びつきの深さが強調されて、物語を面白くさせていると感じる。すでに新たな構想があるようなので、次もぜひとも読んでみたい。
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ジェイムズ・ケストレル初読。おそらく初翻訳?
別名義の作品があるらしく、もしかしたら別名義の作品はあるのかも。
ミステリ、警察小説、ロマンス、戦記、ロードノベルなどなど、色々な要素がこれでもかと詰め込まれた贅沢で重厚な作品。
根っこにあるのは、ホノルルで若い男女が拷問されて殺された事件が起こり、その犯人を追うもの。ただそれだけでは終わらず、日本軍の真珠湾攻撃により様相がガラリと変わる。
最初と最後はしっかりとした警察小説かつミステリ。中盤が戦争に絡んで色々な姿を見せる小説となっている。
ラストは結構意外な着地点。綺麗なエンディング。
色々な人が書いてますが、やっぱり主人公のマグレディがモテすぎるのは気になる笑。ロマンス成分があるのも嫌いじゃないけど、みんな一目惚れしすぎだろうて笑
正当な続編ではないけど(説明しづらい)、関連作を書くらしいので期待。
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1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めた彼はそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本軍に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。
日本の描写が一部気になるところもあったが、スケールの大きな警察小説。大いに堪能させていただきました。
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フィクションでありながら、とても作り物は思えない・・手に汗を握る慟哭のストーリー展開だった。
かなりの分量があり、読み通せるか時間的に不安だったものの、細切れの時間を積み重ねた分、感動がじわじわとボディブローを効かせ、ラストは圧巻。
ホノルル警察の刑事が辿る怒涛の時間は日本人がぜひとも読むべき内容と思えた。
3部構成で、骨格が明確な事もあり、中だるみは全く感じさせない。
第一部な刑事もの、捜査の執念とお定まり「上司との方向性のずれ」
第2部に入るとマクレディのプライベイトに少しずつ光が当てられていき、事態は思いがけない動きを展開・・ウェーク島、香港、日本と時空間を隔てる舞台が広がっていく。
第3部に移ると急展開。お蔵入りされたと思われていた当初の事件に再び、帰国したマクレディが絡んで行く・・そして。
パールハーバーと言えば日本人の視点ばかりやたら強調されてきたように思えるこれまで。だがアメリカで、ハワイで、香港でそれぞれに命が煌めき、生活が培われ、命がいとも簡単に踏みつぶされて行った。
野沢温泉の山道を歩くマクレディが滑落したり雪まみれ凍傷寸前の体であの人の元に辿り着く。
小説とはいえ、もう感動でした。お湯の中で心身ともにくるまれ一つになって・・これからを思っていくシーン。素敵です。
心は痛んでも優しさにくるまれると蘇っていく。。。
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面白くないことは無いのですが、正直前評判がかなり良かったので、期待し過ぎちゃいました。
なんとなく話全体を通して、主人公のキザさが強めな感じがしました。そこが良いところではあるのですが、私にはちょっと合わなかったです、、、
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こんなにも日本の描写があると思わなかった。
2章からの展開がとても好きで、とても楽しめた。
翻訳版の表紙はもうちょっと…
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とにかく壮大なストーリー
いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに…
戦争は人生を大きく変えてしまう…
“ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説”
といった雰囲気で始まるこの作品。
しかし、時は1941年11月26日。
太平洋戦争を背景にしたこの作品は、警察小説の枠を超え、舞台もハワイから香港、東京へと移っていく。
マグレディは戦争という大きな波に飲み込まれ、その人生は思わぬ方向へと転がっていく…
原題は「Five Decembers」
主人公と共に12月を5回経験した私は、まさに放心状態。
フィクションと分かっているが、戦時下のリアルな描写に胸が苦しくなる。
この本は皆さんご存知〈ハヤカワ・ポケット・ミステリ〉の一冊。
このシリーズ、海外ミステリ初心者の私には敷居が高いと思っていました。上級者の方々が手に取る本だと…
(あくまでも私の勝手な思い込みです^^;)
でも約1年前、autumn522akiさんの鬼★5レビューを読ませて頂き、読んでみたい!
と思っていました。
読んで良かった!
やはり日本人が登場したり、東京が舞台になったりで、入り込みやすいのかもしれませんね。
そしてラストは圧巻です…
私でも思いっきり楽しめました。◕‿◕。
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ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ込まれました。輪廻転生って何年サイクルなんだろう、と真剣に考えてしまったと言う話は置いといて。
紹介では犯罪捜査の途中で真珠湾攻撃が始まるとの事でしたので、そんなてんこ盛りして大丈夫?!と気になりすぎて拝読したのですが、大丈夫どころか全て繋がる歴史大作ロマンと言って差し支えない作品でした。
先ず、これを海外の方が書いて下さった事に感動。日本兵の事はフルボッコなんでしょう?と覚悟していたら、なんという中立な描写…どころか凄く泣けるシーンを作ってくれていて海の向こうのジェイムズさんに土下座しましたが、後書きを拝見するとアジアが大好きな方のようです。
凄惨な描写も少なく、どちらかと言えばあとがきで吉野さんが仰っていたファシズムへの怒りと批判という表現に納得しました。
ジャンル分けが非常に難しい本作ですが、基本的には最初に起きた猟奇殺人を追いかけるのがベースです。1941年、軍人上がりの刑事マグレディが納屋で逆さ吊りにされてお腹をパッカンされた事件の捜査を任されます。
始めは正統派の刑事物語で進むのですがこれが第一章。ここに真珠湾の基地を守っているキンメル大将が絡んできてどんどん不穏な空気になって来ます。
第二章になると舞台が中国へと移ります。当時は国を移動するのにこんなに時間と手間がかかったのかと驚きましたが(そりゃそうか)、ここで遂に真珠湾攻撃が行われ開戦。罠にかけられた上に異国の地で戦争に巻き込まれてしまうマグレディ。
中国に日本軍が押し寄せて来た時には残り200ページ以上もあったのに「あ、終わったなこれ…」と私も絶望を感じた程。
ここで素敵な日本人が登場。東郷大臣の第一秘書官の高橋。
彼との出会いがマグレディの人生の転機となります。
そして舞台は戦時下の東京へ。この東京の描写が日本人が書いたのかと錯覚する程丁寧で細かく、情景がありありと浮かんできて戦時中だと言うのになんて美しい世界なんだろうとこの辺りから読むのが止まらなくなりました。
日本人が本来持っている筈の礼節をこんなに美しく書いてくれるなんてまたもや感謝の念が湧きましたが、第3章ではいよいよ終戦。
眠っていた猟奇殺人事件の捜査が再び始まります。
舞台は再度ホノルルへ。
ここで先ず私が思った事。マグレディ…モテすぎだろ!!
確かに女性に対して礼儀正しいですし頼りになりますけどフェロモンでも出てるのか?!
ここでは戦時中から戦後にかけて、不遇な扱いを受けて来た女性達が登場します。
彼女達のお陰でマグレディはどんどん事件の真相へと近づき帰ってきたサスペンス。ここにマグレディの切ない思いが重なっていよいよ読むのが止まらず寝落ちした後で読書再開。
予想もしていなかった展開に驚いていたら、最初からは絶対に想像もつかないエンディングが��
なんと美しい終わり方なんだろう…。まるで昭和時代の東宝映画を観ている感覚になり、暫く呆然としてしまいました。
上下段の474ページですがあっという間でした。一つ一つ丁寧に練られていてマグレディが恋人のモリーと出会ったきっかけも計算されているし、刑事としての捜査方法もリアルだしこんなに長いのに何一つ無駄がありませんでした。
この作品のお陰で翻訳本に対する苦手意識が薄れそうです。思い切って読んでみて良かった。
それにしても何故私は突然翻訳本が苦手になったのか原因不明です。高校の時はダ・ヴィンチ・コードやアガサ・クリスティも平気で読んでたのになあ。
そう言えば作中で山本五十六さんのお名前が出てくるのですが、もし1度だけタイムリープさせて貰えるなら山本さんに本当にギャンブルで一度も負けた事がないのですか?と聞きたいです。(私はそのまま海の藻屑となりそうですが)
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色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。
ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。
物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語である。主人公は元軍人の刑事マグレディ。タフで優しく、女性にモテる。フィリップ・マーロウの系統に属するキャラだ。私自身はあまりこの主人公に感情移入することができなかったが、とても面白く読んだ。他の多くの方が指摘されているようにラストが美しい。
タイトルに真珠湾と入れたことで、逆に色がついてしまったようにも感じる。そこは惑わされずに、原題で興味を覚えた方は手に取ってみては? 抜群の没入感が味わえると思う。
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『ヒデミス!2023 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン』に選ばれていたので読んでみました。
1941年11月。ホノルルで残虐な殺され方をした男女の死体が見つかった。一人は海軍提督の甥。もう一人は東洋人の若い女。犯人の足跡を辿り、ウェーク島へ。ウェーク島でさらに犯人の人物像に近づき香港へ。香港で犯人の居所を突き止めたところ太平洋戦争が勃発し…
ホノルル→ウェーク島→香港→東京、と場所を変え、殺人事件と戦争を絡めることで、ダイナミックで意外な展開になります。犯人と対面するシーンでは、思わず「今ここで!?」と言いたくなるほど。
だれが味方かだれが敵か予想がつきにくく、やけに真面目なロマンチックもあり、最後までドキドキして面白かったです。
すごく面白かったのですが、ドラマティックな演出のために空襲を利用して欲しくないという思いと、なんでこの家には使用人がいないの?という疑問が重なり、星は少なめです。
ちなみに原作の表紙は星1つです。がっかり過ぎ。
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真珠湾とミステリー、どう繋がるのか。
1940年代、ホノルル警察の刑事マグレディが
戦争に巻き込まれながら、国を越え、時を越え殺人事件の真実に迫っていく。
章が進むにつれ、来るぞ来るぞの開戦日、
まさかの事態に。これどうなるの?と絶対絶命の詰み状態。ハラハラドキドキがたまらなく面白かった。
アメリカ側から見た第二次世界大戦は、こうなのかと垣間見る事ができた。
ハワイ、香港、日本など当時の描写が味わい深い。特に日本の描かれ方については、著者の思い入れを感じる。美しく描いていただきありがとうと、同じ日本人女性として勝手に思っている。(似ても似つかぬタイプだが…)
ミステリーと歴史のコラボ。人間ドラマも相まって、読みごたえありの一冊となった。