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1941年の真珠湾攻撃より前の日に起こった連続殺人事件から1945年の終戦を経て、ホノルル警察の刑事であるマクレディが謎の人物であるジョン・スミス正体を暴く過程が一人の男が恋人や職業などの大切なものを失いつつも真相にたどり着く過程が重厚なハードボイルドを呈してて引き込まれた。また、ラストで日本で出会ったサチと再会できたのも良い余韻だった。
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みなさんの高評価に感化され、
読んで見ました。
事前情報は最小限に留めた為、タイトルと
表紙からもっと太平洋戦争開戦に起因する
事件かと勝手に想像してしまいました。
個人的には戦中の香港〜東京の場面は
どハマりしましたが、ホノルル〜結末は
ちょっと微妙かなぁという感想です。
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水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。
軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。
死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。
猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンスを崩さない主人公然がもはやハードボイルドとなる目まぐるしいまでのジャンル融合小説だった。
結末は1945年12月(原題〈Five Decembers〉でもある五回目を迎える12月)。
いくつもの出来事、関係を犠牲、置き去りにして今日に至る中で、結局のところ因縁のあの事件の犯人探しに帰結していく展開と、「もしもあのとき…」の歴史の分岐点の夢想を主軸に、戦争がもたらす混沌、悲運、空虚さが刺さる壮大なミステリ。
この書きぶり、この目線の作品にエドガー賞が与えられるとは米国ミステリ文壇も捨てたもんじゃないですね。
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面白かった、後半一気に読んだ。上司のビーマーが一枚噛んでいたとは。ジョン・スミスの本名はついにわからずじまいだったが執念深く目的を忘れずに追い詰めて目的を達成したマグレディはかなりの勇者だ。
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第十五回翻訳ミステリー大賞候補作品のなか、まだ読んでいなかった3冊(他2作は『破瓜』と『破果』)のうちの1冊。
出だしを読んでみて、自分の求めるミステリーの型にはまっていたのがこれだった。人が殺されて、警察官が現場検証に呼ばれるという。
しかし、話が進むとスパイ小説のような様相に(ミステリー大賞予想会では「冒険小説」と言われていた)。間もなく主人公ジョー・マグレディは捜査のために開戦間近で緊張感の高まる香港へ。
また、マグレディはいい女にモッテモテである。それも冒険小説の特徴。また、そこをロマンス小説とも解釈されていた。
予想会がなければ自分が読むことのなかった作品。ラストを含め、「こ、これは?」という部分はあったものの、面白かった。出会えて良かった。