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世界各国史としてのドイツ史が出たのが2001年。今回のハンディ版では、それ以降のドイツについてもページ数は少ないながらも記載されている。緑の党が与えた影響、メルケル前首相と難民問題。そして、ショルツ首相へと。
それにしても、第二帝政やヴァイマル共和国からナチ台頭、第二次世界大戦へと突入する大きなうねりは改めて読んでも凄まじい。ドイツ史ではなくプロイセン史?オーストリア史?とも思えた記述がここで大きく変わる。
どうしても、ユダヤ人虐殺ばかりに目が行くが、ユダヤ人を追い出した土地にスラヴ系の農民などを移住させ、彼らが移住して空いた土地にはドイツ人を入植させる。ユダヤ人だけを貶めるのではなく、「ドイツ人>スラヴ系諸民族>ユダヤ人」という序列を作ろうとしていた。私は漫画「木島日記」を通してこの時期にロマ族(ジプシー)への迫害があった事を知ったが、彼らへの迫害や、抵抗したとされる幾つかの村(フランスのオラドゥールやチェコのリヂツェなど)で住民のほぼ全員を虐殺した事件も忘れてはいけない。